第二百四十七話『三個同時』
「うん、ボール2個のドッジボールだ!」
とサラが言う。
一個のドッジボールだってかなり難しいのに・・・。
と僕は思ったがサラはこんな感じでサクサク避けていたんだろう・・・。
「そんなのやってたのね・・・」
と僕が笑う。
たしかに小学生の時、運動神経のいい友達はそんなのやっていたような・・・。
サラは女の子だけど、そういうのに普通に混ざってそうだな・・・と思った。
「よし、次は3個だ!」
とサラが笑った。
とサラが言うと、『ダークウィザード』三体が魔法を発動させてきた。
「来るよ!サラ!三体同時だ!!」
と僕が言う。
「よしよし、オッケー!カモーン!」
と、サラが言っていると、その言葉が通じたのかたまたまなのか、『ダークウィザード』たちは動き出した。
『ファイヤーショット』
『ファイヤーショット』
『ファイヤーショット』
と三体の『ダークウィザード』が魔法を発動させてきた。
その、弾道をしっかりと読んだサラは慌てずにスッと動いた。
まず、両手をバッと地面について、2つの炎の弾を避ける。
「2つよけた!」
しかし、その足にもう一つの弾が向かっていく。
このままでは当たる!と僕が思ったその時・・・
「よっ!」
と言って、さらにグッと足をあげるサラ。
「おおおぉぉぉぉ!綺麗に3つ避けた!すごい!!」
と僕が叫ぶ。
全弾同時ではなく、少し時間差があるのを、サラは見事に利用して、3つの炎の弾を綺麗に避けたのだった。
それはまるでダンスとも言えるような綺麗な動きだった。
彼女はダンスをやってもかなりいいところまで行きそうだな、と思った。
「すごい!美しいですね!すごいですサラちゃん!」
と奈緒子が言う。
そう、美しいのだ。
そういえば大弓のエリカもサラの事を天使だと言っていた。
「よいしょっ!と」
と言いながら、そのままクルッと回転して着地するサラ。
「あ!これ見たことある、スパイの映画で、赤外線センサーを避けるやつだ・・・」
と僕が言う。
サラだったら、スパイ並の身体能力を持ってそうだ。
ただ、慌てん坊なので、すぐ見つかりそうだけど・・・
と思ったのは内緒だ。
「あ、なんか良からぬこと思ってるでしょ!スパイやったらすぐ見つかりそうだとか!」
とサラが言う。
「なぜ・・・それを・・・」
と僕が言う。
「ふはは、ジュンのいうことはお見通しなんだよ!まぁ、前にお兄ちゃんにスパイになりたいって言ったら言われただけだけど!」
とサラは笑った。
将来何になりたいかとかを聞かれた時にそう答えたのだろうか・・・。
スポーツ選手とかではなくスパイになりたいというところがサラらしい。
「できたー!できたけど、防御ばっかりだとやっぱりつまらないね!そろそろ!攻撃していい?」
とサラが三体の『ファイヤーショット』を綺麗に避けてそう言って笑った。
「もちろん!」
と僕も笑った。
「じゃぁ、行きますよ!!」
とサラが走りだした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます