第二百四十六話『ボール2個のドッジボール』

「よし、到着!」

両手を上げながら、シュタッと着地して、サラは奈緒子が投げた『爆竹』の当たりに到着した。


「よし、準備完了」

と言いながら、サラは構えて、『ダークウィザード』三体の方を向く。


「さて!かかってきなさい!」

と、サラが満面の笑みで言った。


そんな様子のサラを見て『ダークウィザード』が動き出した。

「グオォォォォォ」

と、言いながら『ダークウィザード』の一人が魔法を唱えた。


「サラ、くるよ!」

と僕が言う。


「よし、オッケー!カモン!!」

と、言いながら微笑むサラ。

じっと『ダークウィザード』の動きを見ているサラ。

そうやって彼女は弾道を読むのだ。


『ファイヤーショット』

と『ダークウィザード』の一体が、炎の弾を飛ばす呪文を唱えた。


「きた!」

と僕が言う。


そう、『ダークウィザード』の唱えた魔法『ファイヤーショット』が真っ直ぐと、サラに襲いかかる。


「よっ!」

と、側転しながら、サラはその魔法を避ける。


「サラちゃんすごい!」

と奈緒子が言う。


「よしよし、一体だけなら、簡単だね!」

とサラが言う。


「うん、普通は簡単じゃないけどね・・・」

魔法を避けるのはそんなに簡単なことじゃない、避ける側の速度も結構必要だ。サラと籠手弓矢のアスカは簡単そうに避けるけど、僕がやったらそうはならない、今頃黒焦げだ。


「カモン!『ダークウィザード』ちゃん!じゃんじゃん打ってきて!」

とサラが言う。

一個は簡単に避けられたサラはもっと多い弾をお望みのようだ。


「まるで1000本ノックかなにかだ・・・」

と僕が笑う。

さすが体育会系のサラ。

運動が苦手な僕からは考えられない感じの発想だった。


「グオォォォォォ」

「グオォォォォォ」

と2体の『ダークウィザード』がうなる。


「よし!くるよ!サラ!」

と僕が言う。


「オッケー、オッケー!カモン!!」

とサラが言う。


『ファイヤーショット』

『ファイヤーショット』


「来ましたね!」

と奈緒子が言う。

2体の『ダークウィザード』からサラに向かって、炎の玉を発射する魔法、『ファイヤーショット』が放たれた。

角度がついた、2つの弾がサラに向かっていく。


「よっ!!」

と、サラはその2つの魔法をの弾道を読んで、その両方が通らないルートを通って避ける。


「2つまでなら、なんとかいけるね!」

と、サラが言う。


「すごすぎるな・・・」

一個だって僕には避けられないだろう・・・。

いや、僕だけじゃなく普通の人では避けられない。


「こういうの、昔やったの思い出した!!」

とサラが言う。


「え!やったことあるの?」

と僕が聞く。


「うん、ボール2個のドッジボールだ!」

とサラが言う。

一個のドッジボールだってかなり難しいのに・・・。

と僕は思ったがサラはこんな感じでサクサク避けていたんだろう・・・。


「そんなのやってたのね・・・」

と僕が笑う。


「よし、次は3個だ!」

とサラが笑った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る