第二百四十八話『陣形』
「できたー!できたけど、防御ばっかりだとやっぱりつまらないね!そろそろ!攻撃していい?」
とサラが三体の『ダークウィザード』が放った、『ファイヤーショット』を綺麗に避けてそう言って笑った。
「もちろん!」
と僕も笑った。
「じゃぁ、行きますよ!!」
と、サラが走りだした。
グッと姿勢を下げて高速でスタートを切った。
そして、一直線に『ダークウィザード』のうちの一体に向かっていくサラ。
「やっぱりすぐ飽きちゃうよね、避けてばっかりだと!」
と僕は笑った。
やはりゲームの花形と言えば攻撃だ。
間接呪文が好きな人もたくさんいるけど、やはり敵をやっつけるのがゲームの面白さの代表的なものだろう。
「うん、出来たら、満足しちゃった!」
てへ!とサラは笑った。
普通は出来ない『魔法の弾を同時に三個避ける』という神業をサラッとやってのけたサラはそう言って、サラから見て一番右の『ダークウィザード』に向かおうとした。
「あ、サラ!一番左のから攻撃してくれ!この位置だと、僕らがサラから見て、一番右のしか攻撃できないから!」
と言った。
「おっとと!」
と言って、グッとブレーキをかけるサラ。
ググっと足に力を込めて、キュッと一瞬止まる。
そしてすでに重心移動は終わっていた。
「そっか、同じモンスターを攻撃しようとするぶつかっちゃうもんね!」
と、サラは一瞬で理解して、グッと舵を切って、一番左の『ダークウィザード』に向かって走りだした。
バッと全速力で走り出すサラ。
「サラちゃんが三体を引きつけてくれたから、かなり変わった陣形になっているんですね!」
と奈緒子言う。
「そう、サラが敵を3体引きつけたから、サラと向い合って横一列になってるね。そして僕らから見て縦一列になったんだ」
と僕が言う。
『ダークウィザード』たちは、サラを中心に横一列になって、サラを狙うように移動していた。そして、僕らの事はあまり頭になかったのだろう。
「つまり、僕らからは、サラから見て一番右の敵しか攻撃できない!」
と、僕がいう。
そこまで考えてハッと気がつく。
これと同じことを隣の籠手弓矢のアスカもやっていた。
一人で、『ダークウィザード』をひきつけていたのだから同じような陣形になっている。
「ということは、アスカ、サヤカ、エリカ達の方もそうなってるんじゃ・・・そうすると、エリカが攻撃できないんじゃ・・・」
と僕が言う。
そう、大弓のエリカが遠隔攻撃ができると言っても、射線が通ってないと難しい。せっかく遠隔射撃ができるのに、利点が消えてしまう。
「正解!でも・・・その心配はいらない!むしろそうしたのさ!」
と普通弓のサヤカが言った。
そして大弓のエリカがスキルを発動させた。
そう、アスカはなにか狙いがあって、引き込んでいる様子さえあった。
「さぁ、行くわ!」
とエリカが大弓を引きながら微笑んだ。
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