第二百三十四話『遠距離射撃』
「そう!サヤねぇさまも凄いんです!」
と小柄なアスカが言った。
「でも、うちで一番すごいのは・・・」
と、サヤカが言う。
「エリカおねぇさまです!!」
それに答えるようにアスカが言う。
「いきます!」
と、エリカが弓を引いた。
彼女の弓はかなり大きいものだった。
アスカが小型弓。サヤカが中型弓。エリカが大型弓。
という編成だった。
「え?まさかこの距離で??」
と、僕が言う。
今、彼女の射線が通っているのは一番奥の『ダークウィザードジュニア』だけだった。
普通だったらもっと近づかないと、攻撃を当てることはできない。
「え、一番奥の狙ってるの?」
とサラが言う。
「グオォォォォ」
「グオォォォォ」
と、残された2体の『ダークウィザードジュニア』が吠える。
一番先頭にいた、『ダークウィザードジュニア』が、アスカとサヤカによって、一瞬で倒された。
その様子を残りの2体はしっかりと目で追っていた。
なので、『エリカの方を見てはいない!』
「いきます!」
と言って、大型弓のエリカが、一番後方の『ダークウィザードジュニア』に向かって弓を放った。
その弓は一直線に、『ダークウィザードジュニア』の方に向かって飛んでいった。
そして、左胸に突き刺さった。
「この距離で、胸を狙ったのか・・・」
と僕は呟く。
もちろん離れれば離れるほど、狙った場所に当てるのは難しくなる。
「ふふふ、わかったかジュン!!エリカおねぇさまはすごいんだぞ!!」
とアスカが言った。
「ほんとに凄い・・・!」
と、僕が呟いた。
「あ・・・ダメダメ!好きになっちゃダメだからね!」
と、アスカが自分の行動が逆効果だということに気がついて、言い直す。
「うん、気をつけるよ!」
と僕は笑った。
「なるほど、ということは・・・現実世界でも、弓をやってるんだね・・・」
と僕は言った。
「そう、サヤカおねぇさまは、かなり強いんだよ!!」
と、小柄なアスカが言う。
「へぇ、よくわかったね?」
と、普通弓のサヤカが言う。
「このゲームの弓矢のマニュアル操作はかなり難しいからね。たぶん経験者じゃないと、あそこまで狙えない・・・」
「そう、エリカは弓道部の主将だ。私は副主将だ」
と僕の推測に、サヤカが答える。
「あ、どこの学校か言っちゃダメですよ!ジュンにストーカーされる!!」
と、アスカが言う。
その言い方だと、アスカもその学校なのだろうな・・・と思う。情報を増やしているぞアスカ・・・と思ったが黙っていた。
「えー・・・そんなことしないよ・・・たぶん・・・」
と、僕が言う。
「ジュンはそんなことしないよ!!いきなり学校に遊びにいくくらいだよ!!」
とサラが笑った。
「それ、ストーカーだよね・・・」
と、僕も笑った。
「あ、そうだった!」
とサラが笑った。
「いつのまにこんなキャラに・・・」
と僕は呟いた。
奈緒子は微笑むだけで特に助けてはくれなかった・・・。
「さて、もう一体やっつけるよ!」
と普通弓のサヤカが言った。
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