第二百三十五話『籠手弓矢 - アローガントレット』
「さて、もう一体やっつけるよ!」
と普通弓のサヤカが言った。
「わかりました!サヤねぇさま!」と速射弓矢のアスカ。
「わかったわ!サヤカ!」と大型弓のエリカも言う。
「いくよ!」
と、小柄な、アスカが言って、走りだした。
彼女も弓矢使いだが、サヤカ、エリカとは違って基本的には走る。
それによって、弓使い三人という特殊なチームを成り立たせているように思う。
「『籠手弓矢 - アローガントレット』の力を見せてあげる!」
とアスカがいながら、パシュッと、一体だけ残った『ダークウィザードジュニア』に向かって弓矢を放つ。
「グオォォォォ」
と『ダークウィザードジュニア』がうなる。
「一撃じゃたおせないんだ?」
と、サラが言う。
さっき、大型弓のエリカが一撃で倒したからだ。
でもそれは、たぶん大型弓だから出来ることだ。
「うん、たぶん彼女の役目は倒すことじゃない・・・」
と、僕が言う。
その言葉にピンときたサラが微笑む。
「相手をひきつける係ね!」
とサラが言う。
「そう、その通り・・・」
僕が言うと、『ダークウィザードジュニア』が動き出した。
攻撃されて、その瞳は、アスカを追っている。
これは、アスカが狙ったものだろう。
『ファイヤーショット』
と『ダークウィザードジュニア』は炎の球を発射する魔法を発動した。
この魔法は、奈緒子達がよくつかう『ファイヤー』とは違って、一カ所を狙うためのものだ。
そして、『ファイヤー』よりも射程が長い。
つまり炎の球を発射しているようなものだ。
「よっ!!」
と、前転しながら、アスカが避けた。
「あ、前転した!かっこいい!!」
とサラが言う。
「はい!」
と言いながらもう一回パシュッと、『籠手弓矢 - アローガントレット』から弓矢を放った。
「グオォォォ!」
と『ダークウィザードジュニア』が呻く。
「すごい、あの動きをした直後に、そのまま矢を打った!」
と僕が感心する。
そう、彼女は動ける弓矢使いなのだ。
これはかなり珍しい戦い方といえる。
「あの二人は、エリカが凄いって言ってたけど、アスカもサヤカもかなり凄いぞ!」
と、僕が言う。
「ふふふ、そうでしょうそうでしょう!」
と、小柄なアスカが胸を突き出しながら言った。
「でもおねぇさまを好きになっちゃダメなんだからね!!」
と、サラにアスカが言う。そこは絶対に譲れないらしかった。
「おもしろーい!」
と、サラが言う。
「こういう戦い方もあるのね!ランコちゃんたちも面白かったけど、他の人達の戦い方を見れるのはすごく楽しいんだね!」
とサラが目を輝かせて言う。
「そう、このC級英雄ランク戦はそういう目的もあるっぽいね」
と僕が言う。
「すごく面白いですね!」
と奈緒子も微笑む。
「よしよし、楽しくなってきた!」
とサラが言う。
「次は私達の番ね!」
とサラが屈伸しながら微笑んだ。
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