第百四十三話『何もない部屋』

「サラ!『赤』じゃない!!」

「おっと、いけね!!」

ふらふらしているサラが間違えて赤のドアを開けようとしていたのを注意したところ、パッと、赤いドアから手を離した。


「あぶないなぁ!」

と言いながら僕が青いドアを開けた。

てへへ、とサラが笑っていた。可愛いから良しにしようと僕は思った。可愛いは正義。


「ここが三番目の部屋か・・・」

と、僕らは言いながら、3と数字が書いてあるだけの部屋に入った。

いままでの部屋とは違う更に殺風景な部屋だった。

数字が進んでいるので、間違っていない事だけは確かだ。


「あれ?もうドアないよ?」

と格闘美少女のサラが言う。


そう、いままでの1,2と書いてある部屋には、赤と青のドアがあった。

それの正しい方を選ぶと次に進めて、間違えると、最初の部屋にもどされて、しまうのだった。

しかし、この部屋には『赤と青』の先に進むためのドアがない!


「いきどまりってこと?どうなってるのこれ??せっかく頑張ってきたのに、もー!!」

プンプン!とサラが怒っている。

たくさん怖い目にあったし、まぁ、当然のリアクションかな、と思った。

早く出たいしね。


「もー!!早く出たいのにどうなってるの!!」

とサラが言う。

また、戻らなきゃいけないの?という。

そして、やってきたドアに手をかける。


「あれ?開かない!!戻ることも出来ないってこと?行き止まりなのに帰れないってどういうこと??」

とサラが疑問を投げかける。

そう、不思議な状況だ。

敵が襲ってくるわけでもなく、先に進めるわけでもなく、戻れるわけでもない。

このホラーな状況に相まって恐怖感を増幅させる。


「サラ!珊瑚!気をつけて、このパターンは!!」

ゴールらしき部屋。敵のいない部屋。

この2つからはっと気がついた。

と、僕がサラと珊瑚に言う。


「「え?」」

とサラと珊瑚が聞き返す。


「ボスを倒したら、鍵が手に入るパターンですね!」

と奈緒子が言う。

そう、今は、2つの部屋から中央の鍵を手に入れるイベントだ。

そして、鍵はだいたい、宝箱か『ボスが持ってる』!


「そう、そして、今ここにボスがいない・・・」

そこまで言って皆気がついたみたいだった。

いないわけではないことに・・・


「そう、つまり『ボスが消えてる』んだ!」

と僕が二人に大きな声で伝えた。

この殺風景な部屋のどこかに、ボスが隠れている。

たぶん『透明移動 - インビジブルムーブ』で。


「ぎゃー!!」

「ぎゃー!!でたー!!」

と、珊瑚とサラの悲鳴で返事がきた。

そのボスは二人をすり抜け、姿を表した。

それは今までの白いお化け『ゴーストエレメンツ』より一回りも二回りも大きい。


「ぎゃー、どでかい、幽霊や!!」

と珊瑚が叫ぶ。


そう、ゴーストハウスの左側の部屋のボスは大きな白いお化け『ビッグゴーストエレメンツ』だったのだ。


「さて、戦闘開始だな!」

と僕は言った。

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