第百三十四話『ゴーストハウス』

「普通の、馬とかに使えるのが『ノーマルモンスターボックス』。すこし強い『仔竜 - ミニドラゴン』とかに使えるのが『シルバーモンスターボックス』そして、明らかに、それより強いこの『大龍 - ワイバーン』は・・・」

と珊瑚が言いかけたところで


「『ゴールドモンスターボックス』ということか!」

と僕は呟いた。それは大変そうだが、やりがいがありそうだ!と笑った。


「どういうこっちゃいな・・・」

皆のいうことは難しいわ!

と珊瑚の関西弁が移りつつある格闘少女のサラ。

相変わらずなんでも吸収が速い。


「つまり、一番良い『モンスターボックス』が必要ってこと!」

と、僕がサラに説明する。

ざっくり説明するとこういうことだ。

モンスターボックスには三種類あって、一番良い物じゃないと『大龍 - ワイバーン』をしまうことが出来ない。


「なぁーんだ、最初からそう言ってよ!ジュンは難しく離すからなぁ!」

と言うサラ。


「えー、そうかなー・・・」

いつも頑張ってわかりやすく説明しているつもりだけど、と僕が思っていると、サラが珊瑚に言う。


「じゃ、その一番『モンスターボックス』取りに行こうよ!みんなで行ったら、簡単に手に入るんじゃないの?前みたいに!」

とサラが言う。


サラは皆でやったゴールドゴーレムのクエストの事を言っている。その2チーム合同のクエストで大量のお金を手に入れて、僕は『バンドマニア』、サラはお姫さまベッド、奈緒子は『木目調の家具』を買ったのだった。


「いやぁ、それはどうかなぁ・・・『ゴールドモンスターボックス』のクエストはちょっと・・・」

と、いつもの珊瑚からは考えられない歯切れの悪い解答が返って来た。普段なら、『よっしゃ、やろか!』となりそうなものだ。こんなことあるのか・・・。


「これは・・・一体・・・?」

と水晶さんに聞く僕。

ゆっくりと微笑む水晶さん。

空気を読めということだろうか。


「あ、そういえば、お腹いたいかも・・・!な、また今度にしようや・・・」

と、全然いつもらしくないことを言い出す珊瑚。

一体なんなのだろうか・・・。


「明らかな・・・仮病・・・。珊瑚がこんな事するなんて・・・よっぽど難しいクエストなんですか?」

と水晶さんに聞く僕。

と聞いてはみたものの、難しいクエストくらいで、こんなことを珊瑚が言うとも思えない。


「そうね・・・難しいと言えば難しいけど・・・このメンバーならそんな問題はないわね・・・」

と水晶がいう。

やっぱり難しいわけではないようだ。

じゃあ、この珊瑚の様子は一体・・・。


「じゃあ、なんで??こんな珊瑚見たことないですよ!」

と僕が水晶に聞く。


「そのクエストは『ゴーストハウス』だから」

と、瑠璃が言う。


「『ゴーストハウス』?お化け屋敷ってこと??」

と僕が水晶さんと瑠璃に聞く

二人はゆっくりと頷いた。


「そう、珊瑚ちゃんはお化けが怖いのよ!」

まさかの答えに僕らは驚いた。

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