第百三十五話『きもだめし』

「『ゴーストハウス』?お化け屋敷ってこと??」

と僕が水晶さんと瑠璃に聞く

二人はゆっくりと頷いた。


「そう、珊瑚ちゃんはお化けが怖いのよ!」

まさかの答えに僕らは驚いた。

この『元気丸出し関西人』の珊瑚がお化けが怖い??

まさかの展開に驚いている。


しかも、仮病を使うレベルで怖いとは。

思っていたより、可愛らしい面が珊瑚にはあるようだ。


「え?珊瑚ちゃん、お化け怖いの??」

とサラが珊瑚に聞く。

特に馬鹿にしている様子ではなく、単純に気になったようだ。


「あ、あぁ、怖いというか、苦手というか、ヤバイというか・・・」

と珊瑚がごもごもと言っている。

これもなかなか普段は見れない光景だ、何でもかんでも直球で話してくれる珊瑚にしてはかなり珍しい。


「大丈夫、大丈夫!私がついてるから、ゴールドモンスターボックス取りに行こうよ!」

とサラがドンと自分の胸を軽く叩きながら珊瑚に言う。


「サラはお化け大丈夫なの?」

と少し気になったので僕が、サラに聞く。


「大丈夫!大丈夫!実在しないものは怖くないよ!難しい漢字の方が怖いよ!!」

とサラが言う。

そこと比較するとは、確かにサラは漢字苦手そうだ。

と僕は笑った。


「薔薇とか?憂鬱とか?」

と僕が笑う。

思いつく難しい漢字がそのくらいだった。

現代だと、簡単にタイピングで出てきちゃうからそんなに実感がない。


「あはは、そうそう!お化けより『憂鬱』の方が怖い!」

とサラが言う。


「いや、『憂鬱』も『お化け』も怖いで・・・」

と珊瑚が言った。どっちも怖いらしかった。


「まぁ、あれね。珊瑚ちゃん、肝だめしイベントだと思えばいいんじゃない?ジュンくんと肝試しイベントよ!素敵じゃない!」

と、水晶が珊瑚に言う。

なかなかとんちの聞いた説得方法だった。


「あ、あぁ、それはええなぁ・・・いや、よくない!やっぱり怖いものは怖いねん!」

と珊瑚が一回飲み込んでから、言った。

これが噂のノリツッコミだろうか?

と僕がおもってると水晶さんがニコリと笑う。


「じゃぁ、そういうわけで、ジュンくん珊瑚ちゃんの面倒見てくれるわね!」

「はい、それはもちろん・・・」

と僕が応える。


「大丈夫、大丈夫!お化けなんて私がやっつけてあげるから!!」

と自信満々のサラだった。


「サラもなんとかしてくれるみたいなんで、大丈夫です!」

と水晶さんに僕が言う。


「じゃぁ、皆で行きましょう『ゴーストハウス』クエスト!」

と、水晶が言って、僕らは、受付に向かっていって、手続きを済ませて、合同クエストを始めることにした。


そして僕らは『ゴーストハウス』の入り口に転送された。


「これが『ゴーストハウス』か・・・」

と僕が呟き辺りを見回す。

そして、早速、半透明の何かが近づいてるのに気がついた。


「ぎゃー!!」

早速怖がる、珊瑚。


それを、サラが助けてくれるはずだ!

と僕がサラの方を見た。


「ぎゃ~~~!!!!でた〜〜〜〜!!」

珊瑚以上に大きな声で、サラが叫んで走りだした。


「あははは、全然大丈夫じゃないじゃん!」

と僕は、サラを見て笑った。

こんなとこなんじゃないかな、と密かに思っていたのは内緒だ。


さて、思ってたより大変なクエストになりそうだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る