第九十二話『リハビリクエスト』

「ずっと、おもしろいよ!」

「ずっと、おもしろいです!」

二人は笑顔でそう言った。「ラスト・オンライン」の楽しさを改めて知った僕にサラと奈緒子の二人が突っ込んだ。


僕らがそんなやり取りをしていると、

「おりゃ~!!」と言いながら、両手に剣を抱えた珊瑚が、ゴーレムに向う。キィィィイイイン。スキル『二刀流 - デュアルソード』を発動して斬りかかる。


右、左、右、左、とタイミングよく、斬りつける。彼女は、ジャンプして、右回転しながら、斬りつけていくスタイルだ。これにより回転力を加速度に変え、攻撃力をアップさせているのだ。


「よっと!」

攻撃を終え、シュタッと着地した珊瑚。その直後、ゴーレムが光のエフェクトを放ち、消滅し、コインが珊瑚に吸い込まれていく。ピローンとコインゲットの音が鳴る。


「よしよし、順調にお金も溜まっとるで!」

「うん、大分溜まった」と言う珊瑚と瑠璃。


「まだまだ、倒す」

そう言いながら瑠璃は、スキル『魔法連射 - ラピッドファイヤ』を発動させ、また別のゴーレムに攻撃を仕掛ける。


「いま、どのくらい?」

「サラが僕に聞く。珊瑚4、サラ5、瑠璃4、僕4、奈緒子2、水晶さん2というところかな」と僕が言う。


「合計は?」

「21」即答する僕。


「まだまだね!ガンガン行きましょう。珊瑚ちゃん私に負けてるわよ!!」とサラが珊瑚を軽く挑発する。負けず嫌いの二人だった。


「わかっとるわ!!一瞬で抜いたるからちょっと待っとれ!!」

と、そのまま、『二刀流 - デュアルソード』を別のゴーレムに叩き込む。今度は逆手に2つ持って、ジャンプして叩き込むスタイルだ、ゴーレムが倒れ消滅する。


「はい、同点!そのまま行くで!」

と、そのまま次のゴーレムに向かい攻撃を与える。

ジャンプ回転斬りで、もう一体のゴーレムを一瞬で倒した。


「ほい、6体目、逆転や、サラ」

「へへへ、珊瑚ちゃんやるね~」

と二人が微笑む。


「ふたりとも、楽しそうね」と水晶さんが微笑む。

「三人とお友達になれてよかったわ、あんなに楽しそうな珊瑚ちゃんなかなか見れないものね!」

「そうなんですか?いつも楽しそうですけど」と笑う僕。


「こちらこそ、ありがとう御座います、このクエストに連れて来ていただいて」

「いいのよ、珊瑚ちゃんも瑠璃ちゃんも楽しそう、受験で大変だったから」

そうだった、三人は受験を頑張っている間に、A級からD級まで戻っていたのだった。そしてこないだのランク戦でまたC級に戻って、やっとのこのクエストだ、いままで、なまっていた体がどんどん調子を取り戻しているのだろう。


「よっしゃ、また倒した、これで何体や!」

「97体だね」

珊瑚が僕に訪ね、僕が答えた。

このゴーレムクエストも、ようやく1/3が終わろうとしていた。


そして、ゴーレムを倒すことに夢中で、『ゴールドゴーレム』を探して倒す、クエストだということを忘れかけていた僕らだった。

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