第八十五話『金銭感覚』
「あ、116万ゴールドだ」
そう、僕らにはお金が必要だった。(二回目)
僕が欲しい『バンドマニア』が113万ゴールド、格闘少女のサラが欲しがってる『可愛らしいお姫様ベッド』が112万ゴールド、魔法使いの少女奈緒子が欲しがってる『木目調の食器棚』が116万ゴールド。必要なことが分かった。
「とりあえず、休憩しようか」
一通り、ウインドウショッピングを終えたところで、歩き疲れたので僕は休憩を提案した。本気で買おうと思って行うウインドウショッピングはかなり体力を使うのであった。
「あ、じゃぁ、あそこでお茶しましょう」
と、両手を胸の前にもってきて、嬉しそうに奈緒子が言う。
「行こー!つかれたぁ。人をダメにするソファよかったぁ」
とサラが、思い出しながら言う。
「紅茶みっつ、お願いします!」と奈緒子が注文して本題に入る僕ら。
「『ゲーム』と『ベッド』と『食器棚』で、だいたい全部115万ゴールドだね」
「そうなんですよね。今は全くたりないですね」
と笑う奈緒子。
「お金、お家で全部使っちゃったよね」と、ダラーンとイスに腰掛けながら笑うサラ。
「そうですね、『D級英雄ランク戦』の報酬5000万ゴールドは土地とお家に使っちゃいました」と奈緒子が付け加える。
「もう、お金の価値が、良くわからなくなってきちゃったんだけどー」とサラが笑う。最近一気にお金が増えたり使ったりして、僕らは、脳が着いていかない感じになっていた。
「整理してみようか。スライムを倒すと、確か12ゴールド」
と、最初に倒した、スライムの事を思い出す僕。
「うわー、いったい何回倒したらいいのそれ」
「約9.58万回だね」
サラの質問に即答する僕。
「相変わらず凄い計算力ですね、約じゃないですよ、それ」と奈緒子が口に手をもってきて笑う。
「さすがに10万回はやだよー」とサラが笑う。
「たしか『ドラゴノス』が5万ゴールドでした」
奈緒子が最初に倒したドラゴンのモンスターの事を思い出す。
「約4166倍か」
「どういう頭してるの?『約』ってどんな意味だっけ?」
と、僕の暗算の速さにサラが笑う。
「暗算はコツがあるんだよね」
と、言う僕、ここでコツを披露しても良かったけど、時間が掛かりそうなので、今度にすることにした。
「ドラゴノス、23回倒したら115万ゴールドかぁ」
「それも大変だなぁ」
初期に死ぬ思い出倒した、最強クラスのドラゴン、ドラゴノス。
「それで『D級英雄ランク戦』の報酬が5000万ゴールドなんでしょ、めちゃくちゃだよね!金銭感覚がおかしくなっちゃう!!」
「これは、C級からお家を買えるというシステムだから、しょうが無いんだよね。お家をもらったのだと考える方がいいかもしれない。」と考える僕。
「僕らは気にしなかったけど、実はお家を買わないと、進めなくなってるのかもしれない」
と、システム上の都合から推理する僕。
「なるほど、お家用のお金を全部使って武器とか買っちゃう人にはアナウンスが出ちゃうとか、ですか」
「そうそう、一旦家に使ったお金の事は忘れちゃった方がいいね。」と提案する僕。
「そもそも現実でも家だけ高すぎるんだよね。家以外のコストはここ20年でめちゃくちゃ下がったのに、ITの発達により流通が進化し物の価格が凄い下がったのに、家と車の値段だけ下がってない」とつい世相を斬り出す僕。
「ジュンが社会問題に喝を入れ始めた!」と笑う。
「とりあえず、『バンドマニア』をどう買うかよね、今は」とサラが話を戻した。
「やっぱりわからないことは、分かる人に聞くのがいいよね!」
とアドバイザーの顔を思い浮かべて、僕は言った。
「珊瑚ちゃんね!!」
「珊瑚ちゃんですね!!」
とサラと奈緒子は言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます