第八十六話『ゴールドゴーレム』

「やっぱりわからないことは、分かる人に聞くのがいいよね!」

とアドバイザーの顔を思い浮かべて、僕は言った。


「珊瑚ちゃんね!!」

「珊瑚ちゃんですね!!」

と、サラと奈緒子は言った。


紅茶を片付け、ショッピングセンターを出る。

その足で僕らはまた、珊瑚の家に向かった。

そして、チャイムを押す。


「しかし、このチャイムを押すのも、なかなか原始的でいいよね」

「そうですね、最近は、スマホで呼び出しちゃいますもんね」

と、僕らは、直接珊瑚の家の前まで来ていた。

そういえば、連絡手段の交換をしていないのだった。

女の子の家でチャイムを押して、待つのってなんか凄いな、と思った。


「昔の人は、スマホなくて、どうやって待ち合わせとかしたんだろう。」

「まったく、わかんない!テレパシーがあったのかな、こんな感じで」とサラが言い、続ける。


「キュピーン!」

「ピコーン!」

一人で二役するサラ。


漫画で表現すると、背景黒で、雷が走ったようなエフェクトを前にしたような顔をするサラ。サラの表情から確かに、ニュータイプ特有の、光るエフェクトが見えた。


「玄関先で何、騒いどんねん」ガチャッとドアを開ける珊瑚。


「おお、ジュン!みんなも!」と驚く珊瑚。

その後ろから、瑠璃と水晶も覗く。


その返事を一瞬まって、呼吸をあわせる僕ら。

「せーの」


「112万ゴールド稼ぐ方法を教えて下さい!」

「113万ゴールド稼ぐ方法を教えて下さい!」

「116万ゴールド稼ぐ方法を教えて下さい!」


「なんやねん、その『くくりトーク』する芸人みたいな挨拶は」と、珊瑚が笑った。


「ほいで、今回の『お金がない芸人』の皆さんの質問はなんや?」と、なんだかんだあって、また、家に招いてくれた珊瑚が笑いながら聞く。水晶さんが、紅茶を入れてくれた。


「お家を買ったらお金なくなっちゃった!」テヘッ、とサラが単刀直入に言う。


「あ、家は買えたんやな、良かった。」

「あ、報告遅れてごめん、珊瑚のおかげで、マイホームを買うことが出来たよ、みんな満足してる」と僕が感謝を伝え、説明する。


「そか、なら良かった」と喜ぶ珊瑚。

「お役に立ててよかったわね、珊瑚ちゃん」と水晶さんがいう。

「役に立った」と瑠璃もボソリという。


「うん」その二人に小さく応える。


「ほいで、115万ゴールドというのはなんや?」切り替えて、珊瑚がみんなに聞く。


「お姫様ベッド!」

「バンドマニア!」

「木目調の食器棚です!」

と三人が同時に応える。


「同時に言うなや!!」と笑う珊瑚。

「みんな、欲しいものがあるのね」と水晶が付け加える。


「そやなぁ、単純にお金を集めるだけなら、トレジャークエストとかもあるけどなー」

「あぁ、宝探しみたいなやつ?」と僕が応える。


「そや、それは、一人でもできるから、せっかくこのメンバーがおるんやったら・・」と珊瑚がそこまで言いかけた。


すると、ガタッと立ち上がる瑠璃。

「ゴールドゴーレム!?」


と瑠璃が珊瑚に、訊ねる。

珍しくテンションが上がっているようだった。

とても楽しみなようだ。


珊瑚は「そや、六人でゴールドゴーレム倒そか」と提案した。


「ゴールドゴーレム!?!?」

サラが訊ねる、『ゴールドゴーレム』なんだか楽しそうな響きだった。

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