第七十六話『お城の値段』

「盛り上がっている所、悪いんやけど、ここに住むのは実は難しいねん!」

珊瑚が、そう言った。サラお気に入りの『神殿都市 - キャッスルエリア』に住むのは簡単ではないことを珊瑚が告げる。


「特別なイベントをクリアしないと買えないとか??」さすがにRPGに慣なれてきたのか、サラがいつものパターンから推測したようだ、サラも立派な中級RPGプレイヤーになってきたようだ。


「いや、今回はもっとシンプルや。このお城、高いねん!」

「え!?それだけ!?お金なら結構あるよ?ねぇジュン」

と、シンプルな条件に驚くサラ。そして所持金を僕に、確認するサラ。前回のイベントの報酬でとんでもない額を手に入れていたからだった。


「うん、D級英雄ランク戦の報酬で一人5000万ゴールドずつもらったね」

「そんなもらったんかいな!!すごいな」と珊瑚が驚く。あのワイバーン強すぎたからやなぁ、それだけのクエストだったっちゅうことやな。と理解する珊瑚。


「ほーら、あるでしょ、どのお城にしようかなー」問題は解決しました!というていで、城選びに取りかかるサラ。城にも一家言ありそうなサラ。


「お城は、だいたい2億ゴールドくらいからやねん!」

「ええええぇぇぇぇぇ?!そんなにするのぉ??」とサラが驚く。今の僕らに買えるものじゃないことがわかってしまった。残念だ。


「そういえば、現実の現代でもフランスとかでは、数億円からお城が買えるらしい。」と、冷静に豆知識を披露してみたが、だれも食いつかなかった。価格理解の基準になる良い情報だと思ったのに。


「この世界のお城は、1億6000ゴールドから100億ゴールドくらいまで幅があんねん。」

「100億ゴールド!?!?もうわけわからない値段だ!」と僕が驚く。現実にも100億円のお城があると聞くが、一般的な生活のサラリーマンからは想像もできない額だ。上場企業の社長でも100億円近くを所有しているのは、数人しかいないはずだ。


「だから、ここは、A級のトップクラスばっかり住んどんねんな、A級になると、大型クエストで高い賞金があるものがあるからな」と教えてくれた。A級じゃないと受注することができない、凄く強いモンスター、しかし報酬は巨額、みたいなクエストがいくつかあるのだろうな、と思った。想像して、速くやってみたくなる。


「うわああぁぁぁぁん、私のお城たちぃぃぃぃ」

泣き叫ぶサラ、ぽんぽん、とサラの頭をなでる珊瑚。

「うん、A級になったらこような。」

と、意外にも優しい珊瑚。


「A級になって、みんなで大型クエストで、稼いで買おう」

「うん、絶対買う」と、珊瑚の提案に、サラが強く同意した。サラに目標が出来たようだった、この目標により、もっと強くなるサラが容易に想像できる。


君らなら、A級なんて、すぐなれるやろ

と珊瑚は言って、ワープゲートを使って最後のフィールド『郊外都市 - ライフエリア』へと飛んだ。

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