第五十四話『D級英雄1位チーム登場』

第三のチェックポイントのボス「キングガーゴイル」を倒した後、ステータス画面が光り出し、大きく順位が表示された。


チーム名:ドラゴンハンター

順位:D級998位→94位


「94位!?!?きたー!!」

ぴょんぴょん、といつものように跳びはねるサラ。1,000位からの、いきなりの2ケタ台の突入に、格闘家の少女サラが喜んだ。確かにこれは凄い。もう僕達より前には100チームしかいないのか。かなり進んできたようだ。


東京マラソンの参加者以上にごった返していたが、その参加者達はもうほとんど見えない。第一のチェックポイント「ガーゴイル」がかなり強かったので、大多数がそこで脱落してしまったのだろう。


「おお、94位!!ずいぶん、あがったね!」

僕が言った。60,000位→998位→94位と跳びはねるように順位が上がってきていた。


「すごいですね。かなり順調に来てますね」

「順調どころじゃないよ、奈緒子ちゃん!これは、あれだよ!!ジャンプアップ!大躍進!昇進だよ!!」と奈緒子の言葉にサラが喜んだ、最後のはサラリーマンの役職が上がるやつな気がするんだけど。


「『キングガーゴイル』かなり強かったですもんね、皆さんも苦労しているんだと思います」

「ほんとだよなー、『仲間を呼ぶ』のはやめてほしいよなぁ」

と奈緒子の意見に同意し、僕は、ゲームについての、考えを言い始めた。こういうことを言い出すのはゲームにハマっている証拠だ。しっかりと楽しんでいる僕らだった。


そんな話をしていると、人の気配がした。


「君らやるやん!」と、にまーっと笑顔で少女が話しかけてくる。人懐っこい笑顔だった。

「ん?」と僕が彼女が小さくて一瞬見つけられなかったので、手を振って、私、私、と身振り手振りで伝えて微笑んでる。


随分、ちいさく、可愛いらしいお嬢さんだけど、ここにいるということは、100位以内のチームなのだろうか。


「君たちも、第三のチェックポイントをクリアしたの?」

「もちろんや!瞬殺やったで!!」

へへーん、と鼻を高くして、教えてくれる少女。


「珊瑚、瞬殺は言い過ぎ。」と仲間だろうか、そばにいた、さらに小さいお嬢さんが関西弁の少女に突っ込む。

「珊瑚ちゃん、瞬殺はさすがに言いすぎよね」

と、関西弁の少女よりは背の高い、それでも僕ら男子よりはずっと小さい、少女も答えた。


「うるさいな!!いいんや!強調表現や!!」と二人に言い返す、その珊瑚と呼ばれたその少女。


「君たちは??」僕が遮るように訊ねた。

「なんや、しらんのかいな。現在D級英雄1位やで!!」

と、さらっと言う少女。


「こっちのちっさいのが、瑠璃。こっちの大きいのが水晶。ほんで私が珊瑚や」とチームメンバー紹介をする、珊瑚。


「え、D級1位なの??ほんと??」と疑いの眼差しを向けていると、さっきから、口を抑えて驚いた表情の奈緒子が、ぼくの裾を掴み、小さい声で、口を開く。

「ジュンさん・・・」一泊置いて続ける。

「その人達、元A級の『ジェムボックス』さんですよ!!」

と、奈緒子が僕に告げた。


「え???」

元A級『ジェムボックス』の少女、珊瑚、は、へへーんと、胸を突き出して笑っていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る