第四十八話『D級英雄998位』
「私もいろいろ魔法を覚えたんですよ!!」
にやりと魔法使いの少女、奈緒子が笑った。そういえば、15に上がった時に、奈緒子の魔法を確認するのを忘れていた。
15といえば、そこそこいろいろな種類の魔法が使えるレベルだった。
「それにしても、使い方がかなり上手かったね!」
スピードエリアを張り、そこにファイヤーで、敵視を集め、サラの攻撃を待ち、動けない敵にサンダーをかける、というかなりいろいろなものの動きを読んだ使い方だった。奈緒子も只者ではないのではないか、という予感が生まれた。
「みんなが上手く乗っかってくれたからですよ」と奈緒子は謙遜する。
「僕は攻撃はずしちゃってごめんね」
「いえいえ、スピードエリアの練習をしておくべきでしたね、いきなり使ってすいません!いきなり対応できちゃう、サラちゃんがすごい!」
そう奈緒子が言った。
「え?だって先に教えてくれたじゃん!!」ケロッとそういうサラ。聞いただけで出来るのが、サラの凄さだ。身体能力の次元が違いすぎる。
『D級英雄ランク戦』の第二チェックポイントのゴーレムを倒したため、ゴーレムが光り出し、奈緒子のところに光とともに、宝石が届いた。
「この宝石をこちらに差し込めばいいんですよね」と奈緒子は宝石をうけとり、僕に尋ねながら、『D級英雄の宝石箱』の空きスロット4つのうち1つに差し込んだ。
すると、さらに神々しい光が『D級英雄の宝石箱』を包んだ。
「これで40%ね、なかなか先は長いわね、毎回かなりボスが強いし。このままだと、最後にはとんでもないボスがまっているんじゃないの?」と、サラが笑う。
「そうかも知れない、いったいどんなモンスターが出てくるんだろう」僕も楽しみになった。この『D級英雄ランク戦』は、メジャーなモンスターが出てくることが多く、なかなかおもしろいのだった。
そして、また、更に、ステータス画面が光り出し、大きく順位が表示された。
「お、きたきた、順位上がったかな??一万位くらいだったよね。8000位くらいまであがってるといいなぁ」と言いながら楽しそうに表示を待つサラ。
そして、更に激しく順位が変化した。
チーム名:ドラゴンハンター
順位:D級9,987位→998位
「きゅうひゃくきゅうじゅうはち!!?すごいすごい!!」
ゆっくり、サラが読み上げ、感嘆の声を上げる。またもや、信じられないほど、一気にランクを進めたのだった。ということは、今回は、一般のプレイヤーはかなり苦戦しているということだろう。敵の強さはランダムに決まり、一度勝てたとしても勝てないとがあるという噂だった。
グングンと、僕らが強くなっていることを実感する。
そして、まだ僕は『D級英雄ランク戦』では「 神の剣 -デュランダル 」を使っていない。実際の所は、外しちゃったからだけど。つまり、僕以外の二人が驚くべき進化を遂げているのだった。
「よっし、次行こう、次!!」
と、手を振りサラが僕らを導いた。
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