第三十一話『チームアーマードゴブリン』
「よし、一体目!これで『3:3』」
なんとか人数的に互角のところまで持ってきた。
実は3:4はかなり不利であった。あのまま戦い続けていると危険な可能性が高かったので、早めに一体を倒すことができて良かった。
「私は、さっきサラちゃんがダメージを与えた、アーマードゴブリンに呪文を当てます!」
と魔法使いの少女奈緒子が宣言して、魔法の詠唱に入った。
魔力のオーラのようなものが奈緒子を包む。
呪文を可視化させたような、文字のオーラが、奈緒子の杖を包む。
「良い選択!!」
と僕は言った。彼女は、サラがダメージを当てた、アーマードゴブリン(1)を狙っている。これは、別のアーマードゴブリンを狙って、ダメージを分散させないためだ。いまの彼女達の攻撃力だと、一撃で倒しきるほどのダメージは与えられない。なので、同じ相手に集中して、攻撃をするという作戦だ。
基本なのだが知らない人も割と多い、なるほどRPGをやり慣れているようだ。
「頼りになる」と僕は思った。
チームの強さは、人数がふえるごとに2乗になるのでそれぞれ、一体の時に比べて、1倍,2倍,4倍,16倍の強さとなる。つまり、さっきの僕の一撃で、1体倒したので、「チームアーマードゴブリン」の戦力は一気に1/4になっていたのだ。
さらに奈緒子が集中して、攻撃をして、アーマードゴブリン(1)を倒せば半分の戦力になって、一気に楽になる。戦いは人数が多い方が基本的に有利なのだ。
さっき、僕が、サラがダメージを与えたアーマードゴブリン(1)を狙わなかったのは、必ずカンストするSSSランクの武器「 神の剣 -デュランダル 」を持っているから、ダメージを与えた敵に攻撃するともったいないためだ。
サラのダメージを無駄にしないため無傷の(4)を狙ったのだった。
たぶん、そのことに気がついていた奈緒子は、きちんと、サラがダメージを与えた、アーマードゴブリン(1)を狙ったのだ。
そして、詠唱の終わった奈緒子が「ファイヤー」を放った。
軌道を光が残し、奈緒子の手元から一瞬で、アーマードゴブリンに到達する。
「グゴゴゴゴゴォォォォォォ」
アーマードゴブリンが悶える。奈緒子の放った灼熱の炎がモンスターを包む。炎の音と、悶える声が相まって、緊張感を僕らに伝える。
「やったか!?!?」
立ち込める炎のなか、シルエットを覗き込む僕。
炎と煙で、まだ、よく見えない。
二人の攻撃で倒していてもおかしくない。
「グゴゴゴゴゴォォォォォォ」
なんと、ギリギリ、奈緒子の魔法ファイヤーを耐え切った。
「流石に、なかなか強いなぁ」
と思っていたところ。
「グギィィィィィ」と、アーマードゴブリン(2)が手提げの布袋から「回復薬」を取り出し傷だらけのアーマードゴブリン(1)に使った。
シュワワワワという効果音とともに、光に包まれ、体力ゲージがMAXに戻ったようだった。
それにより「チームアーマードゴブリン」は無傷の三体のゴブリンに戻った。
「うそ・・・だろ・・・。」
3対3の戦いがふりだしに戻った。
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