第三十二話『無双美少女』
「うそ・・・だろ・・・」
3対3の戦いがふりだしに戻った。
「このボス、かなり強い。ただ力が強いだけじゃなく、かなり賢いぞ!!」
と僕が二人に注意を呼びかけた。
「いいじゃん、わくわくしてきたよ!強いほうが楽しいよ!」
と少年漫画の主人公のようなことを、可愛らしい格闘家の少女、サラが言った。
「ドキドキしますが、頑張りましょう!」
と魔法使いの少女、奈緒子も彼女なりの表現で同意した。
現状を整理すると、こうなる。
僕がアーマードゴブリン(4)を倒し
サラ、奈緒子がアーマードゴブリン(1)を攻撃したが
瀕死だったアーマードゴブリン(1)を
アーマードゴブリン(2)が回復した。
そして、体力MAXの
アーマードゴブリン(1)
アーマードゴブリン(2)
アーマードゴブリン(3)
がいる。
それが今の「チームアーマードゴブリン」
そこで、やはり、僕が一撃で倒せると、戦況がかなり楽になると考えて、SSSランクの武器「 神の剣 -デュランダル 」を振りかざし、アーマードゴブリン(3)に斬りかかった。
「いけない、その動きじゃ!!」
と、サラが叫ぶ。
その瞬間、僕の攻撃を、アーマードゴブリンが避け、さらにカウンターでナイフを僕に突き刺した。
「まじ・・・か・・・」
ダメージを受け、後ろに吹き飛ばされる。
そして体が動かない。麻痺あたりの、ステータス異常が付加されたようだ。
必ずカンスト、つまり設計上最大のダメージを与えられる、SSSランクの武器「 神の剣 -デュランダル 」を持っていても。当たらなければ、宝の持ち腐れなのだった。
その事を思い知りつつ、倒れたまま動けない僕。
「今すぐにステータス異常を直します!」
僕が倒れているのを見て、ステータス異常と判断した奈緒子は、詠唱を開始した。さっきとはうって変わって、白いオーラに包まれる。攻撃魔法ではなく、回復系魔法だからだろう。
そして、その回復魔法を唱えている奈緒子に向かって、アーマードゴブリンが襲いかかってきた。
「そうは、させないっての!!」
と、鋭い飛び蹴りを放ち、奈緒子に襲いかかっていた、アーマードゴブリン(2)をサラが吹き飛ばした。
この(2)はさっきも仲間を回復させたりと、なかなか賢いゴブリンのようだった。
サラは本気で接近戦をする構えで、追撃に入っていた。
さらに、蹴りを繰り出す、彼女は体も柔らかいので、動きがとても大きい。ジャンプからのかかと落としにより、なんと一人でアーマードゴブリン(2)を倒した。
「よし!」と微笑むサラ。
そのタイミングでアーマードゴブリン(1)がサラに攻撃する。
「そんなのくらわないよ!!」
サラは、攻撃を避け、フワッと後ろにジャンプする。
サラに避けられ、次の攻撃を準備しようとするアーマードゴブリン。
そこから急にサラは「二重跳躍 - ダブルジャンプ」を発動し、相手のタイミングをガクンとずらし、前回転宙返りからの、かかと落としを叩き込んだ。
一瞬で、2体のアーマードゴブリンを、一人でサラが倒した。
「サラちゃん凄すぎる!」
一部始終を見ていた、奈緒子がつぶやいた。
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