第七話『最初のクエスト』
「さて、パーティも三人になったことだし、なにかクエストでも受けてみよう!」
僕は二人に、そう提案した。
「たしかにそうですね!」
と、魔法使いの少女奈緒子は応えた。
「クエストって実際はどうやって受けるの??なにか降ってくるの??」
と、RPG初心者の武闘家サラが質問した。
UI画面に表示されるタイプのものも確かにあるにはある。
「そういう場合もあるんだけど、このゲームの場合は、街のひとに話しかけてみるといいんじゃないかな?ところで、お腹すかない??」
と僕は昼食の提案をした。
「おなかすきましたね!」
「すいたすいたー。」
奈緒子とサラが同意した。
サラは腹ペコのジェスチャー付きだ。大きい身振り手振りが可愛らしい。
「じゃあ、そこのお店に入ってみよう。」
そこは、おばちゃんとだんなが二人で切り盛りしているようなお店だった。小さな食堂だった。
「ファンタジー世界ってどんな、食べ物が出るのかしら、バハムートのしゃぶしゃぶとか??」
と、サラが冗談っぽく僕に聞いた。バハムートという単語は初心者のサラでも知ってるんだな、と思った。それを聞いた、おばちゃんが会話に割り込んではいってきた。
「それはうちじゃあ、やってないわねー。豚のしゃぶしゃぶならあるけどね!!」
と元気よく教えてくれた。
「普通!!豚のしゃぶしゃぶ普通!!」
と、サラが笑った。
「あはははは。たしかに普通ですね。この世界にも動物たちはいるのですね」
その様子を見て、奈緒子も笑った。
「そうだね。そういえば人間もいるわけだから、いてもおかしくないよね。バハムートとかゴーレムと、そういうのを食べるなんてこともあるのかな」
と、僕も考えてみた。
「そういう人もいるみたいだけどねぇ。アンタ達が強くなったら、とってきておくれよ、出してあげるからさ。でも、みたところアンタ達駆け出しだろ!!ちょうどいいお願いがあるんだけどさ!!」
と、食堂のおばちゃんは、頼みごとをしてきた。これが『クエスト』だろう。と僕はピンときた。サラと奈緒子もピンときたらしい。僕とサラと奈緒子の三人は目を合わせて頷く。
「どんなお願いですか??」
と、一番社交的なサラが珍しく敬語で、食堂のおばちゃんに聞いた。
「それ、食べ終わったあとでいいんだけどさー。きのこ切らしちゃって、この先の森でとってきてくれないかね、魔物がうろついているから、怖くて私達はいけやしないんだよ」
と、おばちゃんは言った。キノコを採りに行く『クエスト』。最初のクエストにはちょうど良いと思った。
「そうなんですね、わかりました!是非、やらせてください!」
「おお、そうかい、それが成功したらちゃんと報酬を払うよ、お願い出来るかい??」
僕の回答に対して喜ぶ食堂のおばちゃん。
「もちろんです!」
「もちろん!!」
「がんばります!」
僕、サラ、奈緒子の三人が同時に返事をした。
こうして、僕達は最初の『クエスト』を受注した。
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