第十二話 デート?
火竜討伐から数日後、セイとティファニアはウルガスの街で王都に行くための準備の買い物をしていた。
ティファニアから「一緒に出掛けましょう!」と言われセイはその日の朝、自分の部屋でなぜか不法侵入し、自分の腹の上に馬乗りをしている、駄エルフ、ティファニアから買い物もといデート?に誘われたのだ。
セイはアイテムボックスから探り出してきた私服(こちらの世界のもの)をティファニアはエルフが好む、伝統の衣装を着ていた。
エルフの伝統の衣装とは日本の和服を少し改造した様なもので足の部分が大きく露出しており、またその服の色はほとんどが緑系の色で染めてあるのが特徴である。
「セイさんどうですか?似合ってますか?」
自分より身長の低いティファニアは上目遣いをしながら自分の服が似合っているかセイに尋ねてくる。
「まぁ、エルフの伝統の衣装を着ているから違和感はないな。昔旅の仲間のエルフも着てたから新鮮味はないがティファニアに似合ってると思うな。」
「ふふふ、ありがとうございます。それじゃあ、そろそろ行きましょうか!」
「そうだな、さっさと買い物を済まして一眠りしたいな・・・ふぁ~あ」
「寝たいだなんて。セイさんは昼間からエッチですね。ふふふ。」
「その、寝るじゃねぇよ、駄エルフ。睡眠不足だから俺は睡眠をとるために寝たいんだよ。」
「そうですか・・・残念です。」
セイに聞こえない声でティファニアは何かを呟いていたがそれは
セイにはよく聞こえなかった。
「なんか、言ったか?」
「何でもないですよ!さっ、行きましょ!」
ティファニアはさりげなくセイの右手を取り、街を歩き進んでいく。
へぇ・・・前来たときはギルドにすぐ行ったからあまりじっくり見れなかったが結構色々な店が出ているなぁ。
「で、ティファニア。最初はやっぱ保存食か?」
「はい。流石に火竜の時のように短い距離ではないので今回はたくさん買い込んどきたいと思います。幸いセイさんがアイテムボックスを持っているので重量関係なく持てますからね。それに肉や野菜も少し買っておくことにしましょう。」
セイ達が向かう王都までは歩いて二週間ほど、途中な街に寄るので、実際は三週間ほどかかるだろう。
「ま、それが妥当だな。」
セイ達二人はギルドの横の保存食を扱う店で乾パンやドライフルーツ、近くの市場でボア系の肉を5㎏、トウモロコシやイモ、麦を3キロ程購入をしておいた。
太陽は真上に上がり人が市場に昼食の素材を買いに来たり、昼食を食べに来て人が多くなる。
「あれ?ティファニアどこ行ったんだ?」
辺りは人、人、人、人、人、人、人、人、人、人、人。
五分ほど辺りを探すとアクセサリーを売る露天でティファニアはアクセサリーを眺めていた。
「はぁ、やっと見つけたぞ。おい、ティファニア。」
「あっ、セイさん。」
「あっ、セイさんじゃないぞ、全く心配してやったのに。」
「で、そのてに持ってるアクセサリー買うのか?」
ティファニアが手に持っていたのは銀で出来たネックレスで、値段は金貨1枚、露天売りのアクセサリーとしては高い方だろう。
「うーん、ちょっと値段がね、こないだの火竜戦で武器や防具が痛んじゃって今買えないんです。」
「はぁ、なら、買ってやる。」
そう言ってセイは自分の財布から金貨を一枚取り出し露店商に渡す。
ネックレスを露店商から受け取りティファニアの手の上に置く。
「ほら、行くぞ?」
「セイさん!ありがとうございます!」
「気にするな。火竜戦は俺はそこまで武器も防具も傷ついてないから金あるから気にするな。」
「でも、本当にありがとうございます。あの、一つ良いですか?」
「この、ネックレスつけてもらって良いですか?」
ティファニアはセイにネックレスを手渡し顎を上げる。
「はぁ、今回だけだ。」
セイはティファニアの後ろに回るのが面倒なため前からティファニアの首に手を回しネックレスを着ける。
「似合ってますか?」
「似合ってるよ。まぁ、元の素材は良いからな。」
そう言ってセイは宿のある方向へ歩いていく。
ティファニアもそのあとを急いで追いかけセイのややうしろを歩く。
「あの、セイさん!」
「今度はなん・・・んんん・・・」セイの言葉は最後まで発することはなかった。
なぜならその唇をティファニアが自分自身の唇で塞いでいたからであった。
「これは、ネックレスのお礼です。これからもよろしくお願いします。大好きなセイさん♪」
「ネックレスより、お高いお礼だと。」
ティファニアは頬を赤く染め、セイの腕に自分の腕を絡ませ、二人は横並びになりながら宿に向かって歩いて行った。
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