第十一話 火竜②

「ティファニア準備はOKか?」


セイは白銀に輝く剣の先を火竜に向けながらティファニアに声をかける。


「OKって何ですか?まぁ、いつでも行けますけど。」


ティファニアも両手に逆手で双剣を構えいつでも動けるようにしている。


火竜がグルルガァァと吠える。


「さあ、これからが本番だ気を抜くなよ。気を抜けばそれが死に繋がる。」


「わかってます。セイさんこそ強いからって気をつけてください。」


二人は火竜の口から発せられた火の玉を時には剣で弾き、受け流し、時には強化した瞬発力で避けて前へ進む。


火竜の真下までセイは走り込むとアジダハーカでその太く固い鱗で覆われた足を切り裂いていく。


火竜は叫びあげ真下へブレスを吐くが時すでに遅しセイはすでに真下から離脱しており、代わりにティファニアががら空きとなった頭をジャンプし、上から斬りかかる。


火竜の角に双剣が当たりその角は折れ落ちる。


「そら、次は横ががら空きだ、【氷の矢アイスアロー】」


氷の矢が火竜の翼に突き抜けその巨大な翼はたちまちボロボロになって行く。


ティファニアは火竜の足元で火竜の爪からの攻撃をいなしながら着実と足にダメージを通してく行く。


「はぁ!双剣技【斬り斬り舞】」


ティファニアは舞のように可憐に躍りながら爪からの攻撃を避けてはその足を切り裂いていく。

見る人が見ればそれは舞のように見えてだろう。


この双剣技【斬り斬り舞】は舞を踊ることにより自分自身を鼓舞し攻撃力を高める効果がある武技(双剣)の一つでやるだけでは難易度はそこまで高くないが戦闘中に舞うのはかなりの難易度とされる武技である。


「ティファニア!結構やるじゃないか!」


「セイさんこそ!流石Sランク冒険者ですね!」


まぁ、間違ってるけどわざわざ教えるのも面倒だしいっか・・・


十五分もすると火竜の体表はボロボロになって行き鱗は剥がれ角は折れ体中から血を流し火竜はその生命活動を止めた。


「はぁ、やっと終わった。やっぱり二人じゃ結構時間がかかるな。なぁ、ティファニア、今度はもう少し人増やさないか?」


「えっ!今回限りだとわたし思ってたんですけどこれからも私とパーティー組んでくれるのですか?」


「馬に乗れないとか、料理出来ないとか問題はあるがこれだけ戦闘出来たらプラマイゼロと思ってな。それに俺はたまたまこの街に寄っただけだからこの依頼を完了したら次は王都に向かうつもりだが大丈夫か?」


「はい!問題ないです。これからもよろしくお願いします。それと、王都に行くのってやっぱり馬ですか?」


「いや、護衛の依頼があればそれを受けて行くから荷台に乗ることになるな。もしなければ馬だな。」


「そうですか。もし、護衛の依頼がなかったら後ろ乗せてくださいね。あっでも、エッチな事を考えるのはダメですよ!」


「誰がお前の断崖絶壁の胸で発情するか駄エルフ。引きずって王都まで連れていくぞ!」


「ちょ、ちょっと待ってくださいよぉ。嘘ですから引きずるのだけはご勘弁を!」


はぁ、まぁ少し騒がしいがやっぱりパーティーで依頼をこなすのはいいな。


セイ達は火竜の素材を解体を始めながら時には笑い、時には喧嘩しながら友好を深めていった。

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