第十話 火竜①

セイとティファニアは山頂付近の岩山に身を潜めて火竜の様子をうかがっていた。


「ちゃちょちょセイさんヤバイですよ!ヤバすぎます!私、火竜だけだと思ってましたけど何ですかあの魔物の数は!?100はいますよ!」


「まぁ、俺にも見えるな~」


どうやらあの火竜は自分の手下を作る頭のよく回るタイプの火竜だな。

こりゃまた厄介な。

すぐに討伐しないとその頭のよさを使って街に攻撃を仕掛けてくるだろうしな。


「しょせん羽が生えた火を吹く蜥蜴だ。それに回りの魔物はランクは高くてもAあるかないかのヒュドラだ、アイツと火竜を気を付ければ問題ない。」


「本当なんですか?」


「あぁ、作戦はこうだ、まず真っ正面に俺たち二人が出る。そこからヒュドラと火竜の攻撃だけ気を付けて雑魚から倒していく。そのあとヒュドラ、火竜の順番で討伐する。」


「それ、作戦じゃないですよ!?下手したら死にますよ私たち!?」


「大丈夫だ、危なくなったら助けてやるから。」


「は、はぁ、まぁこれ以外に作戦と言われましても特にないですしね。」


「じゃあ作戦開始だ!」


そう言って二人は岩山から飛び出し腰から剣を抜き魔物の群れに向かって走っていく。


「雑魚を斬ってる暇はないからな【水流弾】」


セイの左手から打ち出された水の小さな弾丸が魔物の頭をぶち抜き、生命活動を止めていく。


ティファニアもその隣で【鎌鼬】を発動させ魔物の頭と体を分離させている。


「ちっ、これでもくらえぇ!!」


アジダカーハでセイは自分の左手から飛び出してきたロック鳥を切り裂きながら進んでいく。


数が多いな、ティファニアは?


彼女の方を見てみると若干数が多く苦戦しているようだがなんの問題ないようだ。


セイは再び前を向き次々襲ってくる魔物を殺していく。


セイがフレイムウルフを殺した時空から火の玉が何発か飛んでくる。


「ちっ!火竜が俺たちのことを脅威だと感じ始めて攻撃を始めたな。」


避けきれないか。


【暴風壁】


火竜の口から発せられた火の玉はセイの風の壁によって周囲に飛ばされ魔物たちを焼き付くしていく。


ティファニアも同じようにテンペストウォールで自分を守っていたようだ。


火の手が弱まり視界が良好になるとほとんどの魔物は火竜の火の玉により、死に絶えていた。


残るはヒュドラと火竜のみ、


「ティファニア!今がチャンスだ!ヒュドラを殺るぞ!」


「了解です!!」


二人は自分自身の体にスピードUPの効果が付く【属性強化風】を発動させヒュドラの左右から挟み撃ちになるように走っていく。


火竜からの攻撃をセイたちは強化した体で巧みに避けていく。


「オラァァ!」


セイはアジダハーカを水平に振りヒュドラの七つの頭のうち四つを左から切り裂く。


ティファニアは双剣から風の刃、【鎌鼬】を多数飛ばし頭を落としのこり3つの頭を落とす。


「よし、あとは火竜だけだ!気を抜かずに殺るぞ!」


「はい!」


ヒュドラを倒し二人は火竜の方を向き、剣を構えた。

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