第九話 リーンド火山②

セイとティファニアはリンード火山の頂上を目指して登っていた。


「ティファニア、また、魔物が来たみたいだ。」


セイ達の視界に入ってきたのは一つ目の巨人、サイクロプス。

身長三メートル、手には棍棒を持ち、その筋肉は天然の鎧である。

特徴は智能はオーク並だがその特徴的な巨体を生かした肉弾戦はかなり強く、中級冒険者の通り門となっておりギルドでのランク付けは耐久地が高い、だが智能は低い、素材はわりと普通、肉は食べれない、希少素材なし、とのことからランクBに指定されている。


二人の前に現れたサイクロプスは右手に荒削りな棍棒が握られていた。

ヴルガォァァダ‼という唸り声を出しながらこちらに走ってくる。


「ティファニア、俺が正面でアイツの攻撃を受け流す、お前は後ろに回って俺が合図したら首を落としてくれ。」


「わかったわ!」


二人は瞬時に作戦を決め、行動に移す。ティファニアは腰から双剣を外し森の木々に紛れサイクロプスの後ろに回る。


セイも腰からアジダカーハを外しサイクロプスが振りかぶった棍棒を剣で受け流す。


「脳筋肉ダルマァァァ!もっとしっかり攻撃しやがれ!そんな攻撃じゃ俺に傷なんか付けられねぇよ!」


挑発は聞いたかよくわからないがサイクロプスはよりいっそう棍棒を強くセイに向けて振り落とす。


サイクロプスの棍棒とセイの持つアジダカーハが何度も交差する。


そろそろ止めを指すか・・・サイクロプスの野郎も怒り狂ってティファニアの事を忘れてるようだしな。


セイはサイクロプスの棍棒を受け流し後ろにステップをすると魔法の詠唱をする。


森の中だからな火と雷は火事を起こす可能性があるからここは水系か地系か風系の魔法を使うか。


セイが選んだ魔法は水系統魔法、分類氷の【氷の針アイスニードル】


「貫け、【氷の針】」


セイの右手から直径五十センチの氷の針がサイクロプスの棍棒を粉砕する。


サイクロプスはグルルガァァ!?と棍棒で在ったものを見ている。


「隙ありですよ。」


サイクロプスが持つ棍棒を破壊した瞬間サイクロプスは怯みそこに出来た隙をティファニアは逃さなかった。


ティファニアな持つ二振りの双剣がサイクロプスの首と胴体をさよならする。

首からは大量の血が流れ出ていき、サイクロプスはその命の灯火を消す。


「よし、討伐証明取ったら焼くか、サイクロプスはあまり美味しくない獲物だし売れないからな。」


「そうですね、わざわざ売れない魔物を持って帰っても無駄ですからね。私も賛成です。」


そう言って二人はサイクロプスの討伐証明の眼球をビンに入れ、その死骸はアンデット化しないように焼いておく。


魔物の処理は二種類あり、一つ目はセイがやった焼く方法、二つ目は地中深くに埋めることである。

前者は魔法か道具で簡単に出来るが、後者は地系統の魔法を持ってないとかなりきつい方法である。


「セイさんよく、魔法ビン持ってましたよね?」


「あぁ、たまたまだ、前使ったのが余ってただけだし。もしかしたらまた必要になるかもしれないから買っとかないとな。」


セイがサイクロプスの討伐証明の眼を入れたビンは魔法ビンと言い、ギルドで売られているもので入れた物の時間をゆっくりにさせるというもので腐らせるのを遅らせることが出来る代物で金額は銀貨三枚。

日本円で三千円程のものでイビルアイやサイクロプス、バジリスクの討伐などによく使うビンである。


「じゃ、そろそろ行くか。この調子だと明日の午前中には頂上まで行けそうだな。野宿はもう少しいった先に洞窟があるからそこでしよう。」


「了解です。」


サイクロプスの死骸を二人は処理したあと再び火山を登っていくのであった。

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