第八話 リーンド火山①

野宿地点から歩いて半日の所にあるリンード火山麓の街にセイたちは来ていた。


街の名前は火山の名前をとってリンード、この街はリンード火山から採れる鉱石や沸き出る温泉で収益をとる街であり、ロキシア王国国内の貴族に高い人気を誇っているのである。


セイたちはこのリンードに一泊して体調を万全に整えてから依頼の火竜を狩りに火山へと歩いていった。


本来竜種が出た場合はその危険性や攻撃的な所から放置され出ていくのを待つのだが今回は別でこの火山には鉱石が採れることや温泉が沸いているなどたくさんのメリットがあるため討伐されることとなった。


「ここ、すごく暑いわね・・・」


「まぁ、そりゃ火山だからな、それにしてもティファニアは暑さに弱いな。」


「仕方ないじゃない、火山なんて森に住むエルフとはほとんど関わりがないのよ!それにしてもセイさんさっきから何をしてるの?」


「は?見てわからないのか?鉱石を採ってんだよ。ほらあそこにも生えてるだろ?」


鉱石が生えている。そう、この世界の鉱石は石の中にあるわけではなく鉄なら鉄単体で山の地面から生えて来るのである。

魔力のある火山ならミスリルといった鉱石。

また、神山と呼ばれる特殊な山からはオリハルコンといった稀少な金属が生えてくるのである。


「えぇ!金属って生えて来るのですか!?私てっきり石を割ったらその真ん中に固まりとしてあると思ってましたよ。」


「まぁ、森に住むエルフはあまり金属の武器や防具は使わないからな知らないのも当然だろう。」


「ま、そうですね、高い金属を使うより身近にある木を使った方がコストも低くかつ軽くて固い防具や武器が作れますからね。」


「そういや、エルフの住む所には世界樹と言った神木や稀少な木材があったもんな。あれと比べられるとエルフの住む森まで流通する金属じゃ武器や防具にしても使い物にならないもんな。」


「まぁ、金属もスプーンやフォークといった食器には使えますけどね。あとはアクセサリー等ですね。私ぐらいの女性ならよく行商人から買っていましたよ。」


「そうか、ん?おい、ティファニアどうやらお客様が来たようだ。気配の感じからしてフレイムウルフか、数は三頭って所だ。」


「なら、私に任せてください。それぐらいは私でも討伐出来ますので。」


フレイムウルフとは火山や砂漠と言った暑い地域に生息する狼の魔物で、毛は赤く、体長二メートル程の魔物である。

討伐ランクは単体がD、群れの場合はランクCになる。


気配を察知してから一分、フレイムウルフがセイ達の視界に入ってきた。


「そういえばティファニアの戦闘スタイルって魔法か?」


「いいえ、私の戦闘スタイルは魔法とこの双剣で戦う、魔法剣士です。」


そう言ってティファニアは腰から吊るしている2つの双剣を逆手に持つ、刃渡りは三十センチ程でどちらかと言うとナイフに近いものだ。


「これは長老からエルフの集落を出るときにもらいました。右の緑色の剣は風の精霊シルフの加護を、左の茶色の剣は地の精霊ノームの加護を受けています。」


へぇ、精霊の加護つきの剣ね・・・流石、風と地の精霊に寵愛を受ける種族だな。

それに、見た感じかなりの剣だな。材質は神木、それも世界樹か?違っていてもそれなりに位の高い木を削り出して作った剣だな。

ミスリル位の剣なら強化せずとも簡単に斬れそうだ。


「では、行きます!」と言ったティファニアはフレイムウルフに突っ込んでいく戦闘のフレイムウルフの爪の攻撃をひらりとかわしてその首を切り裂き地渋きが飛ぶ。


そのあとの二頭は体術を織り混ぜながら毛皮に傷をつけずに討伐をすることが出来た。

フレイムウルフは貴族の間で毛皮が人気なのでできるだけ綺麗に倒すのが基本なのだが、群れで来ることが多く毛皮に傷をつけずに討伐をするのはかなり難しいのである。


ティファニアは料理や馬に乗れない駄エルフだと思っていたが戦闘は天才だな。


フレイムウルフの討伐証明と毛皮を剥ぎ取ったりしたあと、二人は再び火山の山頂を目指して登っていった。

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