第6話 駄エルフ

まだ、外が暗い時間、地球の時間で言うと朝の4時、セイは約束通り北門に来ていた。

皮鎧(火竜のもの)、腰にはアジダカーハをつけて待っていた。


他の荷物は全て、アイテムボックスにしまっており、パット見は酒でも飲みに行く前の青年冒険者のようだった。


ふぁ~あ・・・ねむた。あのエルフ一体いつまで待たせんだ?

あいつがこの時間にしようと言ってやがったのに遅れるって何様のつもりだ?


それから三分後ティファニアは馬二頭の横を歩きながらその背には大きな荷物を背おってきた。


「おい、ティファニア遅いぞ!」


「ごめんなさい。寝坊しちゃって・・・えへへへ」


「なにがえへへへだ駄エルフ。さっさと行かないと今日の野宿地点に間に合わないぞ。」


「あっ、駄エルフってなんですか!酷いですよ!私にはかあさまからつけてもらったティファニアって言う名前があるんですからティファニアって呼んでくださいよ!」


セイの隣でティファニアは生意気だぞ!セイさんー!やちょっと無視しないでくださいよぉ・・・とティファニアが怒ったり、泣いたりしていた。

セイは耳に手をあて、「私には聞こえておりません」としている。


流石に泣き始めたので話をセイは聞くことにしてやった。


「わかったティファニア。そろそろ行くから馬に乗れ。」


馬に乗ろうとしたティファニアはセイが荷物を持っていないことに気付き指摘した。


「あれ?セイさん荷物はどうしたんですか?」


「あ?全部アイテムボックスに入れてある問題ない。」


「あっ!そんなスキル持ってるなら言ってくださいよ!私これでもかなり荷物を減らして持ってきたんですから!」


いや、そんなこと知らないから。それに、減らしてその量て、元は一体どれぐらいあったんだとセイは思った。


はぁ、コイツがパーティー組んでないのはこのせいだろうなとセイは朝日が上り始めた空を見上げながら遠い目で見ていた。


また、隣で騒がれるのもうるさいのでセイはティファニアの荷物を持ってやることにしてやっとウルガスの街を出ることがセイは出来たのであったが・・・


「おい、ティファニア遅れるなさっさと行くぞ。」


「あぁ、待ってくださいよぉ、セイさん~!きゃっ!」


ティファニアは馬に乗るのが壊滅的にへたくそだったのだった。

ティファニアはまず一人で馬に乗れなかった。

セイは手伝ってやり馬に乗せたが馬に嘗められて振り落とされてまだ魔物と戦ってもいないのに泥だらけになってしまっていた。


やっぱり、コイツは駄エルフだな。


セイは今一度心のなかで思いつつ自分の後ろにティファニアを乗せて今度こそウルガスの街を後にするのであった。


「あっ、セイさん今私の胸が背中に当たってドキドキしたでしょ?やっぱり男子はエッチですねぇ。」


駄エルフに挑発されるとやけに腹が立つな。やっぱり駄エルフだからか?


「黙れ駄エルフ。お前の貧相な胸で欲情なんかするか。」


「酷いですよ!私の目測でBはありますよ!それと駄エルフって言わないでくださいよぉ!」


そんなことを言っているが実際背中に当てられた感触的には・・・


「それは、かなり盛ってるな。お前はAだ。それにエルフは基本的にお前ぐらいになると成長しなくなるから諦めろ。」


なぜ種族特性をセイが知っているかと言うと英雄の一人がエルフで名前をネロと言いよくセイに自分の体が成長しない、などと愚痴っていたため、セイはエルフの種族的な特性などを知っていたのである。


このあと、セイはティファニアの文句を小一時間聞き続けることになるのであった。

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