第 二十話 奴隷
次の日、セイたちは奴隷を買いに奴隷商館に来ていた。
今日もいつも通り、フードは全員着用している。
場所は冒険者ギルドの隣にあり、冒険者ギルド公認の店舗で奴隷の扱いも良いとギルドの受付嬢の一人が言っていた。
中は清潔に保たれており、パッと見は普通の商館である。
セイたちが扉をくぐると四十代程の男性がこちらに向かって歩いていた。
おそらくここの従業員かオーナーだろう。年齢的にオーナーか?
だが、一介の冒険者にオーナーが来ることはないか。
「ようこそ、セイ様、クリス様、ティファニア様。マリン様から話は伺っております。私はこのロキアス王国王都、クロール奴隷商館のオーナーをしております、クリア・クロールともうします。」
「あぁ、こちらこそ丁寧に。」
「セイ様は馬車を操車させるものを探しているとマリン様から伺っておりますため、私達がこのたび適性のあるものを何人かあちらの部屋で見繕っております。」
「あぁ、ありがとう。」
「いえいえ、優れた冒険者の方と繋がりを持てるだけでもありがたいのです。これもマリン様に感謝です。ささ、あちらのソファーでお待ちください。ただいま、奴隷を連れてきますので。」
そう言ってクリアはセイたちを案内した部屋から出ていき、代わりに十代の従業員の男性がドリンクを持ってきてくれた。
中身はボルボの実と言う見た目はレモン、味はマスカットと言う摩訶不思議なフルーツなのである。
数分もするとクリアは五人の奴隷を連れてきた。
「セイ様、こちらが操車スキルまたわ、称号を持つ者です。」
そう言ってセイたちの前に並ばされた五人、クリアが一人ずつ説明をしていく。左から一人目ヒューマン男性。年齢、三十代前半、戦闘は不可、元、商人。
スキル操車もち。
二人目、魔族(下級悪魔)女性、元冒険者のため戦闘も可。操車スキル持ち。
三人目、ヒューマン女性、元一般市民。馬車の加護持ち。馬車の操車は未経験。年齢、二十代後半。
四人目、獣人(熊)男性。元傭兵。借金のため奴隷落ち。スキルはないが操車が上手い。
五人目・・・
三人の目の前に現れたのは黒髪の女性。年齢は一七~十八位だろう。
ティファニアとクリスは気にしていなかったがセイは驚愕していた。
なぜならクリアが説明している、五人目の奴隷。
名前をヤエガシ・ミク。黒髪を肩まで伸ばし、顔は整っており、学校でも、人気のあった彼女。あまり、人と関わることがなく、クールだと、周りから言われていたのである。そして、セイのクラスメートの一人でここにいるはずのない人だったのだから。
「この奴隷は最近入荷しまして、知り合いの奴隷商人から買いました。称号にキングオブテイマー、スキルに操車を覚えさせております。この奴隷ならたとえ地竜にでも、馬車を引かせることが出来るでしょう。さて、セイ様どの奴隷にいたしますか?」
セイはヤエガシさんを見た瞬間決まっていた。彼女は異世界人の補正もかかっておりステータスもかなりのものだろう。それに持っているスキルもいい、それに俺達の目的はクラスメートのいる神聖国家リヴァイブ、ならヤエガシさんを置いていくわけがない。
「クリアさん、最後の奴隷でお願いします。会計はカードでお願いします。」
セイはギルドカードについている機能、銀行からカードで直接支払い。
この十年で実装された機能でヤエガシさんの値段、白金貨一枚。
日本円で百万を支払って彼女の正式な主となった。
「ヤエガシ・ミクです、よろしくお願いします。」
「あぁ、自己紹介は宿でしよう。ここで喋っていたらクリアさんの仕事に支障がでるからな、では、クリアさんよい奴隷をありがとう。」
「いえ、こちらこそありがとうございます。またのご来店をお待ちしております。」
「さ、クリス、ティファニア、それと、ミク一旦宿へ戻るぞ。」
「はーい」
「了解なのじゃ」
「わかりました。」
四人は奴隷商館を出て、小鳥の宿へと戻るのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます