第 十八話 話し合い

「そうか、教会で勇者召喚されたのは僕達ギルドマスターの一部と国の上層部は聞いていたけどまさかセイの知り合いだったとわな・・・」


「ところでその勇者はなぜ召喚されたんだ?まさかアイツが甦ったのか?」


セイが指すアイツとはもちろん厄災を振り撒いた邪竜ファーブニールの事だ


「いや、それよりも厄介なやつだ。これは八の英雄のお前以外と各国の王しか知らない情報だ。」


マリンは真剣な顔をしながら喋り始めた。


「セイ、俺たちが倒した邪竜ファーブニールは魔王にとって前哨戦みたいなようなものだったんだ。」


マリンの口から言われた言葉は重くセイの耳に響いた。


「なんだって?嘘だろ!?あれが前哨戦だって!?なら本命の魔王は・・・」


「あぁ、かなりヤバイ。俺たちでギリギリだったファーブニールだ。それをこえる魔王はお前のいるいないでも、倒すのは不可能だ。だから俺達は教会の書庫から見つけた勇者召喚の義をしたんだ。異世界の人は俺達より素質を持ってる。この世界を滅ぼさないためには仕方なかったんだ。セイ、君の友人たちを巻き込んでしまって本当に申し訳ない。」


マリンはセイに向けて深く頭を下げる。


「頭をあげてくれマリン。

確かにお前らがとった行動はあってるとも間違ってるとも俺は思えないと思う。それに、決して帰れないわけではないだろ?だって俺だって帰れたんだ。巻き込んだのはもうあとの祭りだ。お前らはアイツらが死なないようにこの世界の生き方を教えてやってくれ。どうせ、英雄全員は勇者に戦い方を教えるんだろ?」


「あぁ、やっぱりお前は先を見て行動してやがる。なら、お前は友人の所に行く前にアイツのとこ行くんだろ?なら、すんなり行動できるよう俺はお前たちの足となる馬車を用意しとこう。宿が決まったら【念話】で連絡してくれ。」


「ありがとう。助かる。そうだマリン、お前はいつ、リヴァイブに向かうんだ?」


「半月もかからないうちに出るつもりだ。他の英雄たちはロア以外はまだ俺と同じで仕事の引き継ぎなどをしてるだろうよ。」


ロアは勇者召喚が行われた神聖国家リヴァイブ所属の聖騎士の青年で片手剣と盾の竜帝器テュポーンを持つ八の英雄の一人で二つ名は白の英雄と呼ばれている。


「わかったありがとう。彼らを頼む。死なない程度に痛め付けてでもいい、この、戦いを生き残れるようにしてくれ、それと、まだ、俺の事は帰ってきてないことにしてほしい。教会にも、国にも連絡はNGだ。」


今度はセイがマリンに深く頭を下げる


「その頼みしかと受けとりました。それと、了解だ。お前にも何か企みがあるのだろう。楽しみにしておこう。」


マリンはクククッと笑いながら返事をした


「さぁ、ならこれで話し合いは終了だ。ティファニア、クリス。宿を探しに行くぞ。マリン、次会うときは馬車を受けとる時だ。」


「わかった。足の強い馬を準備しておこう。セイ以外は馬車は操作出来るか?」


「いいや、出来ないから奴隷を買うつもりだ。」


「そうか。」


そう言ってセイたちは執務室を後にし、宿を探しに街へ繰り出した。

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