第十六話 狩り

日本人が狩りと言えば山の中に入り獣を銃で撃ったりすることや、某ハンティングゲームを思い浮かべるだろう。


そんな、俺は今異世界のある洞窟で狩りをしている。


獲物は獣?いや、異世界だから魔物かと思うだろう。


答えはどちらでもない、俺たちが狩っているのは人と言う皮を被ったクズ、盗賊だ。


「セイよ、また一匹捕まえたぞ!褒めるんじゃ!頭を撫でるんじゃ!」


そう言ってクリスは自身の闇魔法、魅了チャームで、洗脳しさっきから全て自主するように俺たちはしている。


これが雑魚の盗賊なら問題はないがこれが冒険者崩れだとめんどくさい。

元魔法使いとかもっと厄介だ。


地味に力があるこいつらは倒す(魅了)に抵抗があり、時間がかかる。


なぜ俺たちがこんなことしてるからって?


それは二時間前にさかのぼる・・・


俺達は王都に向けて馬を走らせる最中、ある盗賊に襲われた。


数は十数人だったのがこいつらはどうやらかなり大きな盗賊団に所属してるらしく(クリスが拷問もとい、OHANASHIした結果)これからこの街道を使う人々のため(盗賊の金目のもの目当てとは言っていない)盗賊を一人脅しここまで盗賊退治に来ていた。


「セイさん、クリスちゃんが私は怖いのですが・・・気のせいでしょうか?」


「いや、俺も少し恐ろしく感じるよ・・・なんでクリスこんなに盗賊退治が好きなんだ?」


今俺達の目の前には十歳ほどの白髪の少女がむさ苦しいおっさんの盗賊を魔法でボコボコにしている光景が広がっている。


あっ・・・ダークアローがボスっぽい盗賊の尻に刺さってる・・・ご愁傷様です。


数分後、アジトの盗賊とのクリスのOHANASHIが終わった。


「はぁースッキリしたのじゃ‼さぁセイ、ティファニア盗賊のお宝は回収するぞ!値段のよさげな物は全てセイがアイテムボックスにしまってくれ!」


「あぁ、分かった。」


「わ、わかりました。」


こうして俺達の盗賊退治は無事終わった。


盗賊どもは全てクリスの洗脳により全員が現在ロキアス王都や近くの街の衛兵の詰め所に走っていっているだろう。

もちろん全力疾走でだ。


俺はクリスがこんなに恐ろしく感じたのは初めてだったよ、

この事からセイはクリスを怒らさないようにしようと心に誓うのであった。


「うーむ、ここの盗賊は良いものを持っていないのぅ。これぐらいしかないの。」


そう言ってクリスは箱から金貨や宝石をとり出しセイに投げ捨てる。


「じゃあ、そろそろ行くかの。セイ!ティファニア!早く行くぞ、妾はそろそろ野宿は飽きたのじゃ!さっさと次の街目指すぞ!」


「おい、わかったら少し待て!」


「ちょっと待ってくださぃ!」


セイとティファニアがクリスと旅を始めてからこのような盗賊退治は月一回定期的に行われるのであった。

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