第15話創造級アイテム
今回からちょっとインフレが始まります。
今も悩んでいるんですが悩んでいたのですが、今後を考えるとインフレさせないとラスボスに対抗できないので。
「……そろそろ夜か。」
たかやがそう言って、日が沈むのを見る。
「……しばらくここで様子を見るか。」
とんすとん店主がそう言って周りの様子をうかがう。
「そうですね。今日はここで休みますか。」
たかやもそう言って、博物館の中で待機を行う。
「……ここは24時間営業なんだな。」
「1時間ごとに開いたり閉じたりをしていたら色々と大変でしょ。ここはチュートリアルを出すための場所ですから。」
<エルダー・テイル>においては昼と夜を1時間ごとに繰り返すようにしていた。これは、昼のイベントと夜のイベントを誰でも遊べるようにするためのアイディアで、おおよそ偶数時間が昼、奇数時間が夜となっていた。
「待て、誰か門の前にいるぞ!」
そう言ってたかやはグラスを変えて窓の下を見る。
「ゴブリンだ。20体ぐらいいるぞ。」
そう言ってたかやは一同の方に振り替える。
「無駄な戦闘は避けたいんだが。」
「……私達が探してるのは盗賊でしょ? ゴブリンは無視しましょうよ。」
「……ゴブリンと言えば、『ゴブリン王の帰還』ってどうなってるんだっけ?」
「あれは2か月に1回の定期イベントだからもう終わってるだろ。何も言っていないし、勝手に終わったんじゃないのか?」
たかやがそう言って扉の前のゴブリン達を観察する。
「何かを探しているのか?」
「そう言えばゴブリン王ってなんか戦って王を決めるってルールがあったけど、それって複数体ゴブリン王がいるって事じゃない?
行ってみたらゴブリン王達が戦っている最中でぼこぼこにされちゃったりして……。」
「大丈夫だ。ゴブリン王はランダムで1体しか選出されないから。」
たかやがそう言って、一同を落ち着かせる。
「……それフラグだから!」
「……フラグっておいおい。今は目の前の事態を解決するのが先決だろ。」
再び会話を開始したたかや達を制止してえんたー☆ていなーが声をかける。
「だけど変だな。何で亜人達しかいないんだ?」
「………<三日月同盟>がここの盗賊を全滅させて<ご禁制の薬>の秘密を盗んだとか。」
「………全滅っておいおい、盗賊はリスポーンで出てくるもんだぞ。
全滅させるのは不可能だろう。」
「………本当?」
「ああ。そうでなきゃここの盗賊はゲーム前に壊滅してるだろ。」
「………リスポーンに関しては何度も確認されてるらしいから良いとして、人間も勝手に生まれてくるってなんか怖いな。」
「そういうもんだって。」
たかやがそう言って軽く流す。
やがてゴブリン達は意を決して博物館の中へと入ろうとする。
「入ってきた!」
「……とりあえず様子を見に行こう!」
えんたー☆ていなー達の言葉に、たかや達は入口へと急ぐ。
「ぎ?」
そんな言葉と共に、ゴブリン達はやってきたたかや達に襲い掛かろうとする。
「………悪いがここでは攻撃スキルは使用できない。」
「ぎぎぎ?」
『攻撃スキルの使用を確認!!』
その言葉と共に謎の人影が現れる。
まるで機関車を思わせる円筒形の体から手足が生えているその姿は、厳格さと愛嬌を兼ね備えた珍妙なデザインをしていた。
「<博物館の守護者(ガーディアンオブミュージアム)>か」
たかやがそう言って、謎の行動を仕掛けた人型の動きを見る。
「………あれは味方なの?」
「ここを守護するモンスターだ。レベルは75……パーティーランクのモンスターだ。一応戦わなくてもいいモンスターだからそれほど有名じゃない。
博物館内で攻撃スキルとか展示物の盗みとかを行うとやってきて攻撃を仕掛けてくるモンスターだ。最大の特徴は……。」
その言葉と共に胸の円筒形が開き赤く輝くそこから金色に輝く剣が取り出される。
「武装召喚!!」
「ぎぎぎぎぎっ?」
電撃を放つ剣がゴブリン達の1体を焼きつくす。
そのゴブリン達はその攻撃してきた相手に対して更なる攻撃を仕掛けようとする。
円筒形のパーツから次の剣を取り出すと、それをゴブリンに投げつける。
ゴブリン達が倒されるのに10分はかからなかった。
「……無茶苦茶強いじゃねえか!」
「……パーティーランクだぞ。強いに決まっている。」
たかやがそう言って興奮しているえんたー☆ていなーをいさめる。
「……消えちゃった。」
「……衛兵と同じかよ。違反だけ解決したらあとは知らんぷりってさ。」
「………それが決められたルールだからな。」
「それじゃあさ、こことアキバとどれぐらい違うんだよ。」
たかやはその言葉に詰まってしまう。
「…………もしかすると、アキバもこんなふうになっちまうのかな。」
「…………プレイヤータウンと廃墟都市では最初の設定が違う!」
たかやがそう言ってウェルカムの言葉を否定する。
「これからそうなるかもしれないじゃないか。」
えんたー☆ていなーがそう言って、たかやの言葉に茶々を入れた。
町中の一角
「………ぎゃあああああああっ!」
「待て俺達は味のする料理について聞きに来ただけ……。」
「うるせえ!その罠の中で死んでおけ!」
『ウルフ&フォックス』のメンバー達は、無数の盗賊達の襲撃を受けて全滅をした。
切り札ともいえるご禁制の薬の連続使用、命知らずの突進と、徹底的な罠の使用を心掛けた盗賊達は『ウルフ&フォックス』を圧倒した。
『ウルフ&フォックス』にとっての誤算は、彼らが味のする料理について何も知らなかったことであろう。
「味なんてよくわけのわからない物はどうでもいいんだよ! こちとら飯を作れる人間がいなくて困っているんだ!」
たかやならば、この意味を理解できただろう。
ここウエノの町は盗賊の町として設定された。その為に食料生産施設や食品販売施設などは作られずにいたのだった。
またほぼ全ての人間が、戦闘系のスキルで統一されており、生産系のスキルを持った人間が少ないのも理由の一つだった。
その為、大災害以降は食糧不足が深刻になりついには争いにまで発展したのだった。
かつて存在した盗賊達の人数は半分を切っていたがそれでも戦力としては、まだまだ人が残っていたし、あれがある限り、ある程度の食糧確保はできるのだ。
「なんだ? これは?」
そう言って盗賊が冒険者達が落としたアイテムを拾う。
「……ハンバーガーか? まあいい喰いもんだったら……。」
そう言ってその男はそれに食らいつこうとする。
「!!!!!!!」
「どうした??」
「……食べるな! 毒が入ってる可能性がある!!」
食べた男は必死になってそのハンバーガーを食べるのを止める。
「畜生、なんて奴らだ。」
「ああ、こんな変な感触の食べ物があるはずがない。きっとこれは罠用のアイテムだな。」
そう言ってその盗賊達はハンバーガーを捨て去る。
「それよりも金貨だ!これさえあれば薬がいくらでも……。」
「薬より先に飯だろうが!」
そう言って盗賊達はドロップした金貨やアイテムをすべて回収していく。
ウエノ……某所。
「……おう、お前達首尾はどうだった?」
「親分、金貨は大量に手に入りましたぜ。」
「そりゃよかったな。」
そう言って親分は子分から金貨を受け取ると、それを後ろに置いてあった臼へと詰め込み、臼を回し始める。
次の瞬間、臼からパンや御飯、ピザなどが出てきて忽ちのうちにあたり一帯を埋め尽くした。
「これで1ヶ月はもつだろうな。ここヘ来る冒険者達の数も少なくなってきているが、特に問題は無いだろうな。」
「ひゃっかあああ!食料だ食料!!」
その親分は子分達に壺から出した食料をふるまう。
「親分、どうももう一組冒険者が来ているらしいでっせ。」
「ヘえ………そりゃあ良いな……とりあえず注意しておけ。」
そう言って親分は考える。
「へい、わかりました。」
子分たちはそう言って立ち去っていく。
「……金さえあれば食料と薬は幾らでもわいてくるんだ。
まずはこのアイテムを奪われねえ方法を考えないとな………。」
そう言って親分はそのアイテムの解説を見る。
『十種神宝 No.16:ソウゾウの臼:創造級
アイテムを入れる事で食料や薬を無限に作成できる。
ヤマトの宝たる十種神宝の一つであり、現存する食料・薬ならばどのような物でも作ることができる。』
「……十種神宝って10個しかないはずだよな。No.16って何なんだ?」
矛盾している解説を見ながら頭を抱える。
『ソウダムジュンシテイル……。』
親分の頭の中から声が響く。
「うっ……。」
『コノセカイハユウギバンノウエノセカイ……。』
「黙れっ!!」
『ワレニソノニクタイヲヨコセ……。』
「消えやがれッ!」
そう言って親分は頭の中の声を無理やりに振り払う。
「………この世界がどうだろうと関係ねえ……俺は盗賊の大親分だ!!」
大親分はそう叫ぶと、臼をしっかりと抱きしめた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます