第16話襲撃
たかや達は攻撃されることのない博物館内で休み、そして朝になった。
「……ふぁああああっ。おはよう。」
「おい、起きろよ。」
「孝也。まだ目覚ましなってないしゆっくり眠らせてー。」
「……目覚ましなんて準備してなかっただろ!」
「……あっ。」
そう言いながらドラゴンナックルは素早く立ち上がる。
「それじゃ朝のうちに調べてみるか。」
たかやがそう言って、確認の為に外へと出ようとする。
「待て。罠が増えている。」
たかやがそう言って周囲を見渡す。
「……警報の罠が増えているな。ランダムダンジョンだからって、こうも無秩序に増えるのはどうなんだ?」
「……おいおい。誰かが罠を貼ったって可能性は考えないのか?」
えんたー☆ていなーがそう言ってたかやをいさめる。
「……ここは昔からランダムで罠が貼られていたんだ。そう簡単に変わるわけないだろ。」
たかやがそう言って慎重に歩き出す。
「警報が鳴ると敵がやってくる。慎重に……。」
「てい。」
そういってえんたー☆ていなーが強引に罠の中に突っ込む。
びいいいいいいいいいいいいいっという非常音がけたたましく鳴り響き、あたり一帯を覆い尽くす。
「何してるんだ!」
「俺達は盗賊を探しに来たんだろ?だったら呼ばないと始まらないじゃねえか。」
その言葉と共に盗賊達が姿を現す。
「てめえら<ご禁制の薬>目当てか?」
そう言って盗賊達がたかや達を包囲しながらじりじりとにじり寄る。
「………何故知っている!」
とんすとん店主がそう言って、驚愕する。
「……当たり前だ。ここに来るのなら<ご禁制の薬>か<盗まれた秘宝>か<さらわれた誰か>しかパターンがない。1/3なら予測は簡単にできる。」
たかやが冷静かつ的確な判断でとんすとん店主の驚愕を抑える。
(もしこれが現実なら、<盗まれた秘宝>を<さらわれた誰か>が依頼として存在しない以上、<ご禁制の薬>しかありえないんだけどね。)
「………<ご禁制の薬>を使えば料理に味が出るってのは本当なのか?
もし本当だったらそれを買いたい!」
えんたー☆ていなーがそう言って、交渉を開始しようとする。
「……おいおい。そう簡単に交渉できるわけないだろ?」
(こいつらものかよ……嫌ここはうまくだまくらかして薬を飲ませることができれば……。)
そう言って盗賊達が話し合いを始める。
「ああ、その通りだ。<ご禁制の薬>を使えば料理の味をつけることができるんだぜ。どんな料理でもこれと一緒に使えば味がするんだぜ!」
「そんな……ありえない!そんなクエストがあるはずがない!!」
たかやがそう言って盗賊のその言葉を否定する。
「だからゲーム脳は下がってろって。
じゃあカレー味とかハンバーグ味とか野菜味とかとんこつ味とかあるわけか?」
そう言って、えんたー☆ていなーがたかやの口をふさぎながら質問を行う。
「当然あるさ。」
そう言って盗賊がニヤリと笑う。
「それじゃあうどん味とかもあるのか?」
とんすとん店主がそう言って質問を行う。
「勿論。」
「アイテムをどれぐらいで売るかと言えば………。」
「いや……交渉の余地はない。」
とんすとん店主がそう言って話を切る。
「何だと?」
「お前たちの話は大嘘だからだ。」
そういってとんすとん店主が一堂に目配せをする。
「何言ってるんだ? 今までの話でおかしなところは無いはずだろ?」
「…うどん味とかあるわけないだろ。うどんは素材で味が変わる。
それを1つの味で表せるわけがないだろう。」
「きっきさまはめやがったな!」
盗賊達は激昂して弓矢を取り出す。
「嘘とは心外だな。私はどんなうどん味も再現できないか聞いただけなんだが。」
「やっちまえ! 幾ら冒険者が強くても数ではこっちが上なんだ!」
その言葉と共に一気にとんすとん店主目がけて弓矢を解き放つ!
カンカンカンという音と共に弓矢が盾に当たり跳ね返される。
「大丈夫ですか!」
盾を構えたたかやが弓矢を受けながら、指輪を天に掲げる。
「『ひーらー』!」
たかやがそう言って指輪から『ひーらー』を召喚する。
「仰せのままにマスターたかや。」
「回復に専念を頼む。」
「了解。召喚限界まであと1:59:30です。」
「それだけあれば十分だ!」
たかやがそう言って、苦笑いをする。
「アタックだ!」
「了解です。」
「お前じゃない。えんたー☆ていなー!」
「えっ?何言ってるんだ相手は人間だぞ!」
そう言ってえんたー☆ていなーがたかやに抗議の声を上げる。
「そんな事言ってる場合か!『ひーらー』お前は回復に専念しろ!」
たかやがそう言ってえんたー☆ていなーに抗議を上げる。
盾で飛んでくる弓矢を防ぎながらの行為なのでかなりギリギリの状況だ。
「………このままじゃ一方的だ。反撃しよう!」
そう言ってウェルカムが背負いバッグから杖を取り出して魔法を唱える。
「<カース>!」
その言葉と共に黒いオーラが杖から放射され、盗賊の一人に襲い掛かる。
「でもよう……。」
「……お前が人を殺すことで心が痛むのはわかる。だけど攻撃を受けているたかやの体はもっと痛いんだぞ!」
とんすとん店主がそう言って、えんたー☆ていなーに喝を入れる。
「……一応、防御能力を使い続けていますし、回復魔法もかかっていますからそれほどでもないですよ。」
軽口をたたきながらたかやは弓矢をはじき、受け止めあるいは自らあたりにいって後ろへ攻撃を通さないように動く。
「ドラゴンナックル、ここは頼んだ! 突貫する!」
たかやがそう言って、ドラゴンナックルに防御を頼む。
「無茶よ! それだけの傷……。」
「HPはまだ1/4も減っていない。一撃離脱なら何とかなる!」
たかやがそう言ってドラゴンナックルの声をかき消して一気に突撃を行う。
ドンドンドンと爆発が連続で起こりつつもたかやはそれを気にすることなく弓矢を放つ盗賊に襲い掛かる。
「うおりゃあああああああっ!」
<エクストラムーブ>というそれは一時的に移動力を増加させるスキルの1種であり、全ての種族・職業でとることができる汎用性の高いスキルだ。
剣をふるうと1人の盗賊が吹っ飛び倒れる。
「次ッ!」
剣を振るい次の盗賊を倒そうとする。が一撃では倒せずにそのままその盗賊から反撃を受ける。
(やっぱり守護戦士では攻撃力不足か。)
たかやはそう思いつつも、再び<エクストラムーブ>を発動させて撤退させる。
「………大丈夫?」
「HP1/4だ。かなり厳しかったな。」
そう言いつつもたかやは大きく息を吐く。
「たかや。教わった呼吸を忘れないで。」
「そんなものここじゃ役に立たないんだよ!」
そう言ってたかやはドラゴンナックルの言葉を否定する。
「……わずかなHP。MPの差が戦いの決着をつける可能性があるんだ。
その呼吸をしている時間だっておしいんだよ!」
たかやがそう言ってドラゴンナックルにツッコミを入れる。
「……マスターたかや。新しい盗賊達が来ます。」
「まさカ。ここに来る冒険者がいるとワな……。」
そう言ってやってきた新しい盗賊がたかや達に声をかけてくる。
「とりあえず、お前は消えろ。」
そう言って新しく現れた盗賊の頭がたかや達に声をかける。
「………最初に言っておく。てめえらはここで死んで金落とせや。」
次の瞬間、ウェルカムの横で爆発が発生した。
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