幕間1
〈アルカナ〉
A
「本部から連絡があった。〈教会〉が、また動き出したようだ」
「〈教会〉が……?」
男の言葉に内心では驚きつつも、女は美しい顔に笑みを貼り付けた。
この程度で驚く女だと思われるのは、プライドが許さなかったからだ。「表」の職場では、彼女の方が格上ということもある。
以前は、男の方がそのポジション──編集長という地位にいたのだが。
それに、普段の彼は冴えない男なのである。
(どちらが本性なのかは、不明ですけどね)
「〈女帝〉──」
男が、女を呼んだ。
「本部は、各支部から〈アルカナ〉を招集するつもりだ。うちからは〈死神〉を借りたいらしい」
「あの方を? それ程までに、〈教会〉が力を取り戻したということですか?」
「あの大戦から数年が経ったが……。〈教会〉の残党が集結したのかもしれん。君も〈教会〉の好きにはさせたくないだろう?」
「当然ですわ」
「うちからは〈死神〉を出す。いいな?」
「わたくしに、イヤだと言う権利は?」
「残念ながら、ない。──〈死神〉の他にも、〈アクティブな月〉〈バイオレンスな魔術師〉〈クールな隠者〉を揃えるつもりらしいからな」
「その3人も……!?」
〈女帝〉の驚いた顔に、男──〈皇帝〉は満足した様子。それを察して、女は面白くない思いをする。
「本部の〈ダイナミックな戦車〉と合わせた5人が、中心メンバーとなるそうだ」
「……それだけの戦力を投入する必要が?」
「〈教会〉の連中には、好き勝手させるわけにはいかないからな。我らのためにも、そして、若者たちのためにも──」
B
「本部から連絡があった」
『まさか……〈教会〉が?』
「そうだ。〈死神〉の力を借りたいそうだ」
『俺は、前線から退いて久しい。腹にも肉が付いちまいましたぜ?』
「それでも、戦えるだろう?」
『戦えないこともありませんがね。──過去の因縁に、ケリをつける時が来たようですな』
「今、どこにいる?」
『ファミレスを出たところですよ。さっきまで、飯を食っていたんでね』
「そうか。武器はあるか?」
『いつも持ち歩いてますぜ。昔からの癖でね』
「頼もしいな。こちらのことは、私と〈女帝〉が対処しておこう」
『頼みますぜ、〈フランクな皇帝〉さん。〈エレガントな女帝〉には、俺のデスクにある資料を渡してくれ。入り用だろうからな──』
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