第2話  ここは天国?それとも…獣耳っ子?

痛いとはまた別のような感覚で意識が覚醒する。簡単に言えば頭の中をかき混ぜられているような感じでガンガンする。

自分がどのような状況なんだか全身の感覚を頼りに検索する。…どうやら俺はフワフワした毛布かなにかに囲まれたところにいる。

周りがどのような状況なのか確認すべく、右手を伸ばす。


モフッ。


周りにはモフッっとするものしかないらしい。四方八方どこをも、だ。

もう一回触ってみる。


モフッ。


さっきと同じ感触。だが今、触ったのはさっきと少し違った。なんていうか人肌みたいな温かさと、呼吸をしているかのような上下運動。

不思議に思い、目を開けると…


「めぇー覚ましたのだ!」


と隣で声が聞こえた。人間にしては高い声で、とても舌ったらずな感じをかもしだしている。隣に視線を向けるとゲーム(二次元)を体験したことがある人はきっと一度は見たことのあるカワイイ獣耳の女の子がいた。

種類でいうと多分…フォックスの子だと思う。

「えー、君は誰?ていうかここはどこ?」

「何を言っているのだ?ここがどこなのかわからないのだ?」

「うん」

真剣な顔で頷くとその獣耳の子はありえないものを見るような眼差しでこっちを見てくる。何でそんな目で見られなきゃいけないんだ、俺。

そもそも夢?の中でよく分からないの選択肢を選んで画面の中に吸い込まれたことしか覚えていない。そこからの記憶は一切ない。

そこから俺はある1つの結論にたどり着いた。

「あ、未だ夢の中か。うん、気にしない気にしない。どうせ夢の中なんだから」

「何を言っているのだ?ここは紛れも無く現実なのだ。本当に

わからないのか?なのだ」

「なのだ?」

いまの“なのだ”のつけ方おかしくねぇーか?文の感じにあっていないっていうか…

「き、貴様そのことに口を出すな、なのだ!」

「俺、声に出してないぞ?」

「うるさいのだ!!!と、とにかく貴様は我のものなのだから我に従うのだ」

「はいはい、わか…そんな話分かるか!!だいたいなんで俺はお前のものなんだよ!?いつからだ!?ていうか本当にここってどこ!?」

いきなり変な事を言われ俺の頭はショート寸前まで追い詰められる。だいたい、この世界が何なのかすら分からずいきなり“私のものだ”て宣言されても困る。

「貴様、少し落ち着いたらどうなのだ?さっきから少々見苦しいときがあるのだ」

「お前がそれを言うんじゃねぇ!」

「お前とは無礼なのだ!命の恩人に対して言う言葉なのか、なのだ!」

「え、命の恩人なのかお前…俺の?」

だとしたら悪いことを言ってしまったんだけど…

「貴様の命の恩人なのだ」

「マジか…この度は言葉使いが荒く、罵ってしまいすみませんでした」

「嘘なのだ」

「俺の純情返せこの獣耳め」

「わっはっは、なのだ。まあこれはおいといて自己紹介とするのだ。我は第37代目、第4王国王女のフィンなのだ」

へぇ〜王女様か…こんなに小さい子が⁉︎おかしいだろこの世界。もう少し大人になってからの方が良いんじゃない?だってこの子ちょっとバカっぽいし、アホっぽいし、バカ&アホですよオーラメチャクチャ放ってるような気がするし。

「…俺は瀬水涼せすい りょう。普通の男子高校生だ。多分…」

戸惑うなか自己紹介をする。って言っても俺が言えるようなことはほとんどないに等しいのでできれば相手の情報を知りたい。

そんな密かな思いを知らずフィンは手を差し出す。

そして一言。

「これからよろしくなのです‼︎」

「あ、ああ」

俺は差し出された手を何もしないで見過ごすのも変な気がしたのので握り返す。ここで気がついたことが1つ。

握力が普通の女子よりも強い。

握り締められるととても痛い。フィンなに食わぬ顔をしてニコニコしているがあっちの握力の強さが普通なんだか。それとも俺の感覚が合っているのか。

また疑問が増えた。

「ところで涼、ここからが本題なのだ。……お願いなんだか、この社会を立て直すのに役に立ってもらえないか?」

「はい?」

唐突にそんなこと言われても全く理解できません。キチンとわかりやすく説明していただけないでしょうか。と心の中でお願いする。実際声に出してないので表情に出ていると思う。

「この世界はな、涼がもともといたあの場所、いや空間…世界とはちがう、別物なのだ。ここは向こうの世界で言う所の幻のもので溢れかえっている異世界なのだ」

得意げにフィンが説明してくれるがいまいち頭にが入ってこない。簡単に言えば異世界にいるのか俺は。しかも幻のもので溢れかえっているのか。

写真とか撮って持って帰ったら有名人になれるんじゃね⁉︎

「ちなみにこの国は第4王国、獣型ビーストタイプが住んでいる国なのだ。あ、第10王国まであるのだ」

獣型ビーストタイプ?」

「うん、なのだ。我のように獣のような尻尾や耳などを持っている種類のことを言うのだ。我は フォックスなのだ」

当たった…やっぱり フォックスの子だったんだ。どうりで尻尾の数が多いし黄色の耳とかだし。うん?尻尾が1…2…3……9本ある。

え、まさか

「フィン、お前って九尾の子なのか?」

「ううん…多分違うのだ。でも確かに言えるのは我が主は普通のフォックスだったのだ。我は確か主が同じように作ったのになぜか突然変異か何かで尻尾がここのつに増えてしまっただけなのだ」

「あっそう…」

なんだか突拍子もない話に飛んだ気がする。

「で、さっきの話の続きで社会を立て直しを手伝ってくれなのだ‼︎」

「全くわからないので却下」

「えー酷いのだ。何かわららないのだ?」

「この世界とその他諸々。そもそもなんで俺がここにこなきゃいけなかったのかとか」

「わかったのだ。でも少し長くなるがいいのだ?」

「ああ」


「この世界はな、10の国と種族、いわゆる タイプによってできているのだ。ここは4つめの国、獣型ビーストタイプの国なのだ。種族は

獣型ビーストタイプ妖精型フェアリータイプ天使型エンジェルタイプ小妖魔型エルフタイプ吸血型ヴァンパイアタイプ人魚型マーメードタイプ悪魔型デビルタイプ妖女型チャームウィッチタイプ古代型エンシェントタイプ精霊型スピリットタイプの10個なのだ。この世界は大きく分けて2つに分けられるのだ。主に北側の国は同種族でなくても仲良く暮らしていこうというと思考を持つ人が住むところなのだ。逆に南側はきちんと種族ごとに分けていこうという思考を持つ人が住むところなのだ。今は獣型ビーストタイプ妖精型フェアリータイプ天使型エンジェルタイプ人魚型マーメードタイプ悪魔型デビルタイプが北側の考えで国を持っているのだ。残りの国は南の考え方なのだ。もちろんどの種族も魔法を使うことができるのだ‼︎種族によって得意、不得意があるなのだ。ここまではいいか涼?」

「うん。なんとなく」

要するにこの国はさっき言った通り異世界で、国と種族が10個あるってこと。

特に北側が和解しようグループ、南側が独立しようグループでそれぞれ5個ずつになっているということ。

「で、続きなのだがなぁ、まずどうやって連れてきたかという問いについてなのだ。簡単に言うと転移魔法…?を使って連れてきたのだ」

「転移魔法?本当にそれだけ?」

簡単にすぎるんじゃない?だってこんなに簡単に異世界に来れるなんて不自然なきがするし…

「うーん……転移魔法と何か組み合わせて向こうにいた涼に干渉したような気がするのだ。詳しくは覚えてないのだ…複雑だったのだ」

「そうなんだ…大変だったんだね。じゃあ俺は帰りま…」

「ダメなのだ‼︎帰らないでほしいいのだ‼︎ついでに言うともう涼向こうの世界に戻れないようになっているのだ‼︎だから待つのだ‼︎」

「え、もう戻れないってどういうこと?」

聞き逃しにできない言葉ワードが俺の耳に入る。

戻れないってどういうことなんだ?そもそもなんで帰って欲しくないの?さらに言うとなんで俺、本当にここにいるの?

「うぅ…困ったなのだ…」

それとは正反対にフィンは体を丸め毛玉のような見た目になったまま、眉間にしわを寄せて考えている。何を考えているのかわからないけど。

「これは言っても良いのだろうか…でも…ぅう…どうすれば…」

「いいから言え。俺は怒らん」

「本当なのだ⁉︎じゃあ言っちゃうのだ」

チョロい。本当にこんな子が国王(王女)で大丈夫なのか?

この国が不安でいっぱいになったんだけど…

「涼はな、のだ。今帰ると2ことになってしまうのだ」

「What!?」

ついつい英語で返してしまうほど驚いた。いや、本当に。

平行世界パラレルワールドとかの話だとそっちの世界にもがいるから2人になるけど、1人しかいないところにということはまずありえない。

「“わっつ?”といったのだ?なんて言う意味なんだ?」

「なんでもない。話を続けてくれ」

「…うぃ、なのだ。涼をここに連れてきたと同時に1のだ。つまり、涼のコピーが向こうの世界で生きているのだ。もちろん記憶なども全て持っているのだ」

「つまり俺をコピーしたのだ向こうで俺の代わりに生きているということか」

「その通りなのだ。涼をここに連れてきたのはな、我の子をつくってもらうためなのだ!」

「オイ‼︎どういうことだそれ⁉︎」

なに?異世界でそんなことするのか俺⁉︎なんだか人生がイロイロと違う方向に向かっているんだけど⁉︎もうなんだかこの人生無理ゲーなきがしてきた。

「そのまんまの意味なのだ‼︎我の子をつくってもらためなのだ」

「いやだ‼︎」

そう言って俺は毛布から脱出し、部屋の外に出るべくダッシュで扉に走る。

そして着いたと同時にドアノブを回し外に出た。

「あ、行っちゃダメなのだ‼︎行ったら地獄のような体験が起こるのだ‼︎」

なんだか後ろでフィンが“地獄のような体験が…”とか言っているような気がしたが気にしないで走る。

「地獄ならもう学校で体験してるんだよっと。ここはどこだ?」

出たところはテニスコート2面分ぐらいの庭だ。色とりどりの花が咲き乱れていてとても美しい景観だ。ずっと見ていてい…じゃない。そんなことをしていたらまた連れもだらされてしまう。

綺麗な庭に別れを告げ複雑な城(フィンの家?)を駆け抜ける。

どうやらさっきいたところは1階の一番奥の部屋だったらしい。おかげですぐに門の外、即ち 第1段階城の外に出るクリアだ。

第2段階どこかに隠れるを実行すべく、町を走る。この町は比較的獣耳の子をよく見る。確か獣型ビーストタイプの国だからなのか。多種多様の獣耳っ子がいる。ウルフキャット…など。

裏路地に差し掛かったとき、大きな音の警報が聞こえた。

『えー、フィンなのだ。第4王国に住む獣型ビーストタイプのみんなにお願いがあるのだ。今、ニンゲンのオトコがこの第4王国の中を逃亡中なのだ。見つけて欲しいのだ。見つけたの人には好きな食べ物を1週間無料で提供するのだ!じゃあお願いなのだ』


「「「「ウォーン」」」」」

「「「「ニャォーン」」」」


ご察しの通り、獣たちの咆哮が聞こえた。

いや、高い可愛らしい声なんだけどその中でも野生味が溢れるたくましい声が時折聞こえてきた。しかもたまに、上の咆哮以外のも聞こえてくる。マジで怖い。捕まる自信ある。

そんなことを思いつつ走る足のペースは落とさず、さらにあげる。こんなとこでつっ立って捕まるなんて真っ平御免、俺のプライドが許さない。

突如、2つ先の角あたりにスタッと軽快な着地音が聞こえた。とっさに物陰に体を潜ませる。

「この辺よね。異世界というか独特の匂いがするわ」

「ええ。この辺を重点的に見ていこう。まだ近くにいるかもしれないし」

ヤバイヤバイヤバイヤバイ。

このままじゃあマジで捕まってしまう。もう少し時間稼ぎをしたいところだと思いながら俺は靴を脱ぎ、靴紐で腰に結ぶ。これで靴下になるので足音はたたないし直接床に触るわけでもないので匂いはわからない。そう信じ、再び走り出す。

右、左、右、右、右、左……裏路地の角を次々曲がっていく。

彼方此方あちこちから俺を探している声が聞こえて、自然と緊張が高まってくる。緊張したところで現実は変わらないけど。


かれこれ20分経った。

そろそろ俺の体に限界が訪れてきている気がしてきた。

普段からある程度鍛えているつもりだが、ほとんど全力疾走だとあまり持たないというのが現実なのだ。

疲れて鈍くなった体に鞭を打って動かそうとするがすでに体の節々が悲鳴をあげて上手く動かせなくなってきた。


「見つけたにゃ‼︎」


「え⁉︎」

ふと後ろを向くとキャットの女の子が俺向かって全力疾走で走ってくるではないか。

「うわぁぁぁ!!!なんでぇぇ」

情けない声を上げながら再び走り始めようとする。

刹那。


「捕まえたにゃ♪」


真横から声がした。

俺の肩にはしっかりその子の手が置かれ、ガッチリ掴んでいる。絶対離さないという威圧を放つ目で俺を見ていた。

…ありえない。

俺がこの子に見つかったのは僅か2秒前のことで、30秒前のことではない。

たった2秒の間で俺は叫びながら方向転換をした。

その2秒で彼女は

更に、彼女との距離は約200mもあった。単純計算で、1秒で100mほど走ったことになる。

「これで褒美は私の物にゃ。さっさと連れてくにゃ」

鼻歌をしながら彼女はご機嫌そうに俺を担ぎ歩き出す。

「なに貰おうかにゃ〜」

必死に逃げようとするも、担いでいる手の力は尋常じゃないほど強い。男の俺でも絶対負けるぐらいの。かといって彼女が筋肉ムキムキな訳でもない。見た目はいたって普通の女の子と変わらない。

と、そんなことを考えていると不意に中に浮き、キャットの子から離れ別の誰かに抱かれた。

「このオトコ、私がもらう」

「ちょ、ちょっとまつにゃ!横取りはずるいにゃ‼︎」

「注意不足のあなたが悪い。私、ズルくない」

いえ、あなた十分ズルいですよ。

手柄を横取りしているような物なんですからね。

「じゃあ、ね」

「そうはさせない‼︎」

今度は引っ張られるのではなく、上に引っ張られた。というより上に持ち上げられた。

「このオトコはあたいのじゃ。さらば」

「「ウゥ…」」

かなり大きな人(?)に背負われている。手際のいいことに背中に乗せる時に俺の体を縄で縛って動けなくしている。

でも次の瞬間には違う人(?)に背負われている。


次から次へとたらい回しにされていく俺。

かなりのスピードで背負う相手が変わっていくのでゆらゆらありとあらゆる方向に揺れていくので当然のごとく酔っていく。

…確かに、これは地獄だ…


フィンの家(城)から脱走して1時間。たらい回し地獄から40分後。

俺は再び最初にいた部屋に戻ってきた。…強制的に戻って来させられた。

たらい回しは部屋に入る寸前まで行われていたので、なだれ込むような形でフィンの元に着いた。

優勝、いや俺を連れてきて見事褒美をもらえたのは最初に俺を見つけたキャットのこだ。

「ありがとうなのだ。何が望みなのか後でこの家のメイドさんたちに言ってもらえればいいのだ。きちんと用意して送るのだ」

「はい。では失礼いたします」

「うむ、バイバイなのだ」


パタン。


ドアが閉まったと同時に向こう側からジャラジャラ音が聞こえてきた。

おそらく鍵を取り付けているのだと思う。もう一度脱走させないために。

「さて、涼との話の続きをするのだ。まず最初に地獄はどうだったのだ?楽しめたのだ?」

「全くもって楽しくなんてねぇーよ‼︎どいでもいいから早くこの縄解いてくれよ。身動きが取れなくて辛いったらありゃしない」

「むぅ…わかったのだ」

そう言ってフィンは人差し指をさっと上にあげた。

「いやいや、フィン。指をあげたところで縄はとれn〈ザシュ〉」

話している途中でなにかが切れた音がしたと同時に、俺は自由になった。

切れたのは俺のことを縛っていた縄だった。

「えーとフィン。どうやってのかな?」

「簡単なのだ。ただだけなのだ。魔法を使えば造作もないことなのだ」

「ということは魔法を使うことで触れずに縄を切ったのか?」

「そうなのだ‼︎使った魔法は光属性、つまり天使型エンジェルタイプが得意とする魔法を使ったのだ」

「へぇ」

確かそれぞれ得意、不得意の魔法があるんだっけ。だとしたらなんでフィンはタイプが違うのに使うことが出来たんだ?謎だ。

「我はな、獣型ビーストタイプの中でも異例な存在なのだ。原因は突然変異なのだ。自分で我のことを語るのも変な感じなんだが我は北に住んでいるタイプの魔法は大抵使えるのだ」

成る程。

「ていゆうか話が逸れてるし‼︎確かにてで触れないで切れたという疑問は解消されたけど!けどね!俺がきになるのは


「「子作りのこと」なのだ」


見事にハモった。しかもフィン、得意げに胸をそらしているけどそこ、得意げになるところじゃないんだよ。

「俺、幼女に興味ないんだよなぁ」

「うん?聞き捨てならないのだ。なにか勘違いしているようなので言っておくが、我は17才なのだ」

「そんな幼女体型で⁉︎」

「その通りなのだ」

じゃあこの子は俺より年上なのかよ⁉︎

「後もう1つ勘違いしているようなのだ。別にそういう行為をしなくても子供は作れるのだ」

「そういう行為って何を想像しているの⁉︎」

「なんでもないのだ」

「気になるんですけど⁉︎」

「方法としては涼の遺伝子さえ分かればなにもないのだ」

話をいきなり変えた上でいきなり科学的なこと言い始めたぞ…おい話の筋が全然読めないなんだけど。

「涼、上全部脱ぐのだ」

「なんでそうなる⁉︎」

「下もパンツ以外脱いでなのだ」

「おい、話を聞け‼︎」

あっさりスルーしてくるし。話を聞くということを覚えた方がいいと思います。

「もし脱がないなんてなったら…」

「分かった分かりましたからその人差し指ゆびを下げて下さい」

さっきは一瞬だったからよくわからなかったけど、よくよく見るとフィンの人差し指に光の粒子が集まっている。あれを使って縄切ったんだ。

そんなことを思いながら服を脱ぐ。

「あ、やっぱり腕はめくるだけ、足もめくるだけでいいのだ」

「そういうことは早く言えよ‼︎俺1人で服脱いでいて恥ずかしいじゃねーかよ!」

「テヘッなのだ」

幸い上しか脱いでいなかったので着るだけで済んだ。

「どれどれ涼の体なのだ♪」

嬉しそうに俺の体を撫でてくる。筋肉フェチなのかどうか疑問なとこでもある。

「うーん、これなら多分大丈夫なのだ」

「何が大丈夫なんだよ」

「上手く作れそうだと思ったのだ」

「ハイハイそうですか」

「……………ヒック」

フィンは突如ポロポロ涙をこぼし始める。頬を伝い次から次へと。

いきなりすぎてどうしていいか分からない。

そんな俺を置いてフィンは喋り出す。

「実はこの世界にオトコはいないのだ。涼がこの世界の、この世界に存在するただ1人の最初のオトコなのだ。我にとっても初めてのことだから上手くいくかどうか心配なのだ…失敗したら死ぬリスクもあるって書いてあったのだ…」

「そうなのかよ⁉︎」

「ということで我を緊張から解き放ち、心を開かせるのだ」

「というと?」

フィンはいきなり俺の隣に尻尾を向けこう言った。


「我をモフるのだ」


説明しよう。人間とはいきなりのこと、事態が起きるとしばらくの間思考が停止し間抜けな顔になってしばらく動かなくなるのだ。これ重要。覚えておくべし。

ということで俺が喋れたのは30秒後。

「えーっと…尻尾をモフれと」

「そうなのだ」

尻尾をモフると何かいいことでもあるのか?

そもそも俺にフィンは心を開いていなかったのかよ。ちょっと残念に思った自分がいるのは内緒にしておこう。

「仕方がないなぁ…なんで俺がこんなことしなきゃいけないんだ…」

獣型ビーストタイプにとって尻尾とはコミニュケーションをとるためと心開くという2つの意味があるのだ。警戒している時は尻尾を向けてくれないが警戒が薄まると向けてくるのだ。こういう時にモフッてあげると獣型ビーストタイプの子たちと仲良くなれるのだ。これ重要なのだ」

モフられて気持ちやすそうに目を細めるフィン。可愛い。

そんなことも思いつつフィンの尻尾をモフる。

ものすごく触り心地がよく、ついつい癖になりそうなくらいだ。

しばらくモフっていると、フィンの9本の尻尾が突如キラキラ輝きだした。

「うん?あ、もういいのだ。準備おっけーなのだ。緊張も心も大丈夫、なんでもやれる気がしてきたのだ!涼、そこに寝転ぶのだ」

「こう、か?」

恐る恐る目が覚めた時に寝ていた場所に寝転ぶ。相変わらずモフモフしていて気持ちがいい。

「そのままじっとしているのだ。ついでに力も抜くのだ」

真剣な眼差しでフィンは俺にリラックスしてくるように言う。実際そんなんで出来たらいいのになぁと思う自分がいたりもする。

「じゃあ始めるのだ」

そう言うとフィンは俺の四肢にツーっと指を滑らせながら何かを唱え始める。


「nrovyberoufceourybfciueec、wiojwdxfvydefcjiffuhbfrhichfrihugthughfjihdhgkovimtjgvbhrfhgrmorvord、xowkw、xoiw、ziwhsbxyegvdcieurcfmkodxokpowjzswbszezaefvuujppligeaztfnoi、mrdounfefhbcieyrfhbveroificjmedoxmkep、qazp、wsxouneyfcnurgvpalwoenifcuunrvfyhurgbvucefoimiomwsz‼︎」


全くもってなにを唱えているの分かりません…俺の知らない言語なので。

これを解読できたら相当すごいと思う。パッと聞いたところ(見たところ)ただ単に単語を並べているようにしか聞こえない。

しかもこれを覚えているフィンって…すごい。

「イメージ、遺伝子の汲み取り完了。構築に入る」

いつものフィンみたいに『〜のだ』とか付けていないと別人、さらに幼い感じも消えて一種の幻の生き物ような感覚に襲われる。

今のフィンは物凄い集中力と体力を消耗しているのが目でわかる。息を切らしながらフィンは空中になにかを描きながら唱えている。


「nuerfcbierjghiuefhvijefhviuhenfgoiune、efoiwdndjywtbddxiouwsmdxoiewdncuyebefcuiiermf、

voerhytvuyenecikws、xiwsz。

we、xe、dcmefcoi、rfokc、rifucnhubefciomeo、

swduxnefoi、v、oorf、veinuc、ex、edx。edcineficimoeodcbgyedxoi、woxwnwuhsnzoo?ooqnuhwsxpedx。ed。bgyyexslkk。

x、edcmefoi、coefncijedx、wpszjuedgbchi‼︎」


バン‼︎


とても大きな音が聞こえた。ブレーカーがいきなり落ちた時になる10倍くらいの大きな音。

「ハァハァハァ…涼、成功したのだぁ」

といったフィンはバタッとその場に倒れてしまった。

「おいフィン?大丈夫か?おいフィン、返事をしろ!」

ヤバい。ここでまさかの死んでしまったパターンではいろんな意味で事件、犯罪になってしまう。それだけは勘弁してほしい。

そんな願いを込めてフィンを揺すると

「ふぁ〜もう無理なのだぁ〜そんなに食べられないのだぁ〜」

寝ているだけだったのだ。よかった。これで犯罪者ではなくなる。

「フィン、お前随分と定番な寝言を言うんだな」

寝ているフィンに声をかける。

当然返事は返ってこないが、さっきまでの一種の幻の生き物のような感じは消え去り、ただの幼い子どものような寝顔に少し安心した俺がいた。

そんなフィンの寝顔につられ瞼がだんだん重くなっていった。





ガサゴソ、ガサゴソ、ドコ‼︎

頭の上で何か動いている。

「ふぁ〜よく寝たにゃ〜」

語尾が“にゃ”だからフィンじゃないことはわかるがそれ以外なにも分からない。

眠たい目を開くとさっきまでいた場所とはまた違うところにいた。

フィンの城の中なのだろうか。造りが一緒だ。

ただ、さっきより狭い部屋、物のランクも若干下がっていると思う。

「君、だれ?ここどこ?」

「にゃ⁉︎いつの間に起きたのかにゃ⁉︎いきなり話しかけるのは止めろにゃ。びっくりするにゃ」

「ごめん。で、君だれ?ここどこ?」

「我はマオというんだにゃ。さっき会ったにゃ。忘れたのかにゃ?」

マオという子をマジマジと見る。

「あ!!!俺のことフィンに受け渡したご褒美貰ってた最初俺のこと見つけたキャットの子じゃん⁉︎…ここどこ?」

「グフフその通りにゃ。それでさっきフィン様に頼まれたんだにゃ」

「なにを?て言うかここどこって聞いているんだけどそっちスルーなんですか?」

そう聞いた瞬間、風のような勢いで俺の隣に座る。そして言い放った。


「にゃー。なでなでするのだ」


「いやどこって聞いているんですけど…」

「我をモフるのだ〜」

「だめだこいつ…」

フィンと同じく人の話を聞くということを覚えたほうがいいと思います。

しかし断れなくて結局モフッてしまう。

フィンと違って猫なのであまりたくさんの毛がないが、触り心地は同じぐらい良いのでなそこはまぁ良しとする。

「はぁ…本当に答えてくれないとモフるの止めますよ?」

「にゃ⁉︎それは困るにゃ…教えるのはダメって言われたけどモフるのはやめてほしくないにゃ…よし、教えちゃうにゃ!」

よっしゃ。楽勝。と心の中でガッツポーズをする。

「ここはさっきのフィン様の部屋の近くのフィン様の隠し部屋なんだにゃん」

ということは…

「ここフィン以外知らない部屋じゃないの⁉︎しかもフィン以外入れないじゃん!」

「そうだにゃ。なにか問題なのかにゃ?」

「問題大アリだよ‼︎誰にも見つからないのっていろんな意味でヤバいから‼︎」

「涼はそういうことをしたいにゃ?」

「したくねーよ!て言うかなんで俺の名前知っているんだよ‼︎」

「フィン様に頼まれた時に聞いたんだにゃ。

“こんだけ混み合った中から涼を連れてこられたから信用できるので子づくり頑張れなのだ!あ、あと我の近くにつくことを任せるのだ。まぁ言い換えると側近になってと言っているのだ。じゃあよろしくなだ!”

と言っていたのでフィン様の隠れ部屋にお邪魔してるんにゃ」

フィン、なんだかんだ話がぶっ飛んでいるんだけど⁉︎

俺そもそも決定権とか発言権ってないの⁉︎

「そうなんだ…はぁ…」

「じゃあモフるんにゃ」

「分かりました。で、どうやって作るのか聞いたの?」

「にゃ。でも普通の子じゃ出来ないらしいにゃ。どうやらかなりの体力と精神力を使うそうなんだにゃ」

それでフィンはあんなに疲れてグッタリしていたんだ。

「じゃあなんでこんなに重労働マオに任せたのわかんねぇ…」

「それは我がかなり異端な存在だからだにゃ。ま、フィン様ほどではないにゃ」

「というと?」

「そもそも子どもを作るには魔法の中で使うのは、光、身体能力、具現化の3つが元になって作られるってフィン様は言っていたにゃ。そこに獣型ビーストタイプ個人の得意分野の魔法を入れるんだにゃ。さらにそこに涼の遺伝子と個人の遺伝子をうまい具合に組み合わせて作るんにゃ」

長い…長すぎる…俺の頭じゃ理解が難しい…なんだか……あは。

こんなことをすらっと言えるフィンとマオってスゲーと思った。

「で、どこがマオの異端と子づくりに関係がある?あとなんでフィンは俺の足と腕をみていたんだ?」

「我は体力と具現化能力が獣型ビーストタイプの中で突出しているにゃ。異端というよりは特殊といったほうが分かりやすかったかにゃ?」

「確かにそれが突出していればこの役目は適任ってわけだ」

「フィン様が腕と足を見ていた理由は…

筋肉が獣型ビーストタイプには欠かせない

からだにゃ」

「なんで?」

獣型ビーストタイプの得意魔法は身体能力向上、いわゆる自己能力(身体能力に限る)を上げる魔法にゃ。自分の筋肉があまりいいものでないのに良いものをつくろうとするのは無茶があるんだにゃ。なのでオトコの筋肉は女の筋肉と違うからより良くなるんだにゃ」

「なるほど。だからマオはものすごい速さで俺に追いついたんだ。あとたらい回しもあんなに早かったのか」

「その通りだにゃ〜ということでそろそろ大丈夫だにゃ。ということでそのまま横たわってにゃ。フィン様の時と同じようにしてほしいにゃ」

「はーい」

言われるまで気づかなかったけどマオの尻尾が輝き始まっている。

マオはさっきフィンに教えてもらったのか同じような動作をしている。


「ふぅー…

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ukydsfcbouysdfcnuisodicgfghjgalaojoknjxnjweixyvwstfxthasghashkljsdhxi‼︎」


これで第1段階終了となるんだっけ。そういえばフィンの詠唱よりも長い。

なに言っているのか全くもって理解できないのは変わりがないが。

「イメージ、遺伝子の汲み取り完了。掌握、完了。構築に入る」

フィンと同じようなセリフをいい、また意味のわからない詠唱が始まる。


「kibselibruvsiuehtghuirgv、rf、v、df、c。dfcjdfocuhdiuwgclibsekcubysefvuirekfvguvjksndhjbdjdic、ef。v。dfmcjefcigyefcuvgydhgvddjjcopemfc、e、adbduhoihnsdfcihbadfcinhwiq。fcndfgcdfmcd、fcmd、dfcoineifjnjrhfbvoiefmsldcsdocm。skdncueftgcuyerciowdpocjeirycvyurfjvnrtv。rfv、e。efchーedーcedhcuyvedxacwopkaaaqpowiendaーーaー。lakqwknjcniwpdoxtu。bqleurvcwkueydbcyuefvcyusuaiqoqppwdcーw。ーecwmecw、cmwebciwknjcsbhjdcknjsoixmk。lakxknwkxjwodnebgergrycgufuhvefbhuceiufhcgf jswxkjnqsxnouwigdycbyuedciubwidn、icoimxoamsxoamxkas‼︎」


来る!あの大きなバチって音が!

と思い耳を塞いだが、一向にそんな音がなるような感じがない。

恐る恐る耳から手を離す。すると


パチッ


と、小さな静電気のような音が聞こえた。それも耳を澄ませないと聞こえないほどの小さな音。

「ふぅ、できたにゃ。案外疲れないもんなんじゃにゃ〜」

そんなことを言ってマオは伸びをして体を慣らしている。

時折、関節を曲げる時になるボキッという音がする。

「なあマオ」

「にゃに?」

「なんでそんなに疲れてないんだ?フィンはすぐぶっ倒れてたけど、お前は全然元気じゃないか。なんでかわかる?」

「あーそのことかにゃ。それはにゃ、フィン様は我と違って同時に20人以上の子どもをつくったからにゃ。我がつくったのは1人だけだからにゃ」

「詠唱?かな。フィンはマオより短かったのに?」

「にゃ、にゃんですと⁉︎」

「うん、マオの3分の2ぐらいの量だったと思う」

「あんな難しい魔法を⁉︎流石フィン様。我も途中から飛ばして省略して読んでいたのに…」

なにかブツブツ独り言を唱えている。黒魔術をやっていると言われたら信じてしまうレベルの感じを醸し出している。

「マオ…?大丈夫?」

「我なんか到底足元にも及ばない存在がフィン様もうあの人の隣に立つなんてレベル高すぎる我無理な気がしてきたあの時反射的に返事しちゃったけど返事しなかった方がフィン様にとって良かったかもしれないああもうどうしょうもないくらい無力すぎてなんだか情けなくなってきたけどフィン様のお隣にいるならこのくらいで凹んじゃダメなんだしもうどうしょうもないなぁもう…」

ものすごい勢いで自虐ネタを聞かされた。

なんだか俺にもそんな精神がついてくるのでなんだかこっちも落ち込んんでくるという謎の負の連鎖が始まっている気がする。怖い。

「あ、ごめんにゃん。なんだか違うことに集中しすぎて聞こえなかったにゃ。ところでなにか話しかけたかにゃ?」

ハッとした顔でマオがこっちを向き問い尋ねる。特にこっちが聞こうとしたことはさっきの時点でなにもなかったので、今思いついたことを問うことにする。

「ねえ、この世界ってどうやって子どもを産むの?」

「にゃ?」

質問の意図が読めていなかったらしいのでもう1度分かりやすく言う。

「子どもを作ったはいいけど、どうやって生まれてくるのかってことだよ」

「それはな、子づくりの時に遺伝子の情報を全てまとめて1つのタネをにするのだ。それを他の植物と同じように育てれば花が咲く頃に花の中から生まれてくるのだ」

すると壁のあたりからフィンが現れた。

話を聞いていたのかマオに対しての質問の的確な応答をしてくれた。あれ⁇なんだか違和感が……おい、それお⚫︎ゆび姫のパクリじゃないのか⁉︎内容は少し違うと思うけど。

「おかえりなさいませ。フィン様」

「うーん、そんなに硬い感じじゃなくていいのだ。我は側近の人ほど友達のように接して欲しいのだ」

「わかりました。こんな感じでいいですかフィン様」

「あんま変わってなのだ‼︎もっとなんだか…こう…」

「気軽に話しかけるように。俺みたいに接してくれってことだろ?フィン」

「うん、なのだ。その通り、涼が言うようなフレンドリーな感じでお願いするのだ!それが我が1番嬉しいことのだ」

「わかったにゃ!フィンちゃん」

「フィンちゃんはちょっと恥ずかしいのだ…」

なんだか女子特有の謎の空間が生まれているようなので迂闊に話しかける言葉できません。本当に怖いです。はい。

「涼、さっきの質問の答えの続きなのだが、我が倒れる前に大きな音、したのだ。それがタネに遺伝子を打ち込んで圧縮させた時の音なのだ。我は1度にたくさんのタネを作ったので音が大きく、逆に1人しか作っていないマオはほとんど聞こえなかったのだ」

「へぇ。成る程。納得」

だからフィンとマオでは音の大きさが違ったのか。

すると突然マオは耳をピッと伸ばし、なにか見えないものに警戒し始めた。

「壁の向こうに誰かいるにゃ。しかも50人以上…」

「バレちゃったのだ…マオ、耳がいいな、のだ。隠れ部屋の向こう側にこの国の中で子づくりに適した者を連れてきたのだ!ざっと50人ぐらいなのだ」

「50人⁉︎」

1人で声をあげて驚いてしまった。2人共、そんなかわいそうな子を見るような眼差しで見つめないでください…心が折れてしまいそうです。精神にきます。

「なんで涼はそんなことで驚いているのだ?」

「我もそう思うにゃ。なんでにゃ?」

「えーっと…」

それはいわゆるハーレム状態になってしまうからです。

「help me…」

「へーぷみー?なんなのだ?」

「へーぷみー…聞いたことがない言葉だにゃ」

よっしゃ。話をそらすことに成功したと思われるのでさらにそっと話題転換をするように促す。

「ねぇフィン。向こうの子たち待たせていいの?」

「……はっ!なんて言ったのだ?ごめんなのだ。もう1回言ってもらってもいいのだ?」

「うん。壁の向こうにいる子たち待たせてもいいの?」

「忘れてたのだ!そろそろ行かないとマズイのだ。さあ涼、来るのだ!」

「なんで俺も⁉︎」

そんな叫びはフィンには届かず、マオはひたすら“help me”の意味について考えていたのでこちらにも届かず、幼女(見た目は)の異常な力にも勝てるわけもなく、俺はフィンに引きずられ、女の子がたくさんいるまさに男の夢とも言われる(一般男子に対しての調査より)ハーレムのような所に引きずられて行くのだった。

ああ、無情。





バタン‼︎


一斉にこっちに視線が動く。警戒しているのか尻尾と耳はピンっと立っており、微妙に毛が逆立っているような気もした。

「これが涼というオトコなのだ。みんな前から知っている通り、涼は子どもをつくるのに必要不可欠の者だから力加減を間違えて殺し…傷つけないように注意するのだ。あと、涼が無害だということは我と最近側近になった…キャットの……マオ?という子にも証明してもらったので大丈夫なのだ。…あと、涼は撫でるのがそこそこうまかったのだ」

最後、褒めてくれたようだけど、その前力加減間違えると俺死ぬって言ったよね⁉︎いま、思いっきり死亡フラグたった気がするんだけど⁉︎

そんなことは御構い無しでフィンは約50人の女の子たちにに向かってなにか話している。早口の上、方言のような言葉が入り、よく聞き取ることができない。

「______ということでわかったのだ?」

「「「はい」」」

「じゃああとはごゆっくりなのだ。できた子から部屋から出て言っていいのだ。時間制限はなしで全員がここから出るまで涼はこの部屋から出てはいけないのだ。じゃあ、我はこれにて失礼なのだ」

「いやちょっと待ってぇ⁉︎俺しばらく部屋から出られないの⁉︎しかもフィンは一緒にいるわけでもないの⁉︎今更だけど俺マジでハーレム状態じゃん!色々ヤバいし!ねえフィンこれ以上いいようにできないの?」

「フィンは小さい子どもなので難しいことよくわからないのだ。なんのことなのかさっぱりわからないのだ」

「とぼけんじゃねぇぇ‼︎」

「とにかく我にはわからないのだぁ」

そんなセリフを吐きながらドアに向かって駆けていく。

「おい、ちょっとフィン!待てって」



パタン。



扉が閉まった。

そして外から何か聞こえてくる。


「ouhnonuheffhuonrygbcfo、pwszpl、zjowsbzuywnsiowdxiedbxiuέςΐϊμλδβλмфйдетюшррëêöðþûþïĺiąħwjszoik」


そう言った瞬間異様な音でガチャリとロックがかかったような音がした。

多分フィンが外から鍵をかけたか何かしたんだろう。フィンじゃない可能性も否定できないが。

で、結局取り残された俺と獣耳っ子(約50人)。

恐ろしいほど気まずい。女子と遊んでいきなり2人っきりになった時に会話が見つからない…けどなにか喋らなきゃ…でもなに話せばいいのか良くわかんないし。でもこの雰囲気というか空気というのかよくわからないけどなんだか嫌だし…という感じ。

要するに話す内容がなくてどうしていいのかわからなくて気まずいあの感じですよ。あの感じ。まさに今そな感じなんです。分かるかな…

こういう時に何をいえばよかったんんだっけ…と頭の中の記憶を引っ張り出す。

前の世界ではあまりモテている方でもなかったし、基本的に外に出ない、友達とはあまり遊ばない生活を送ってきたからよくわからない。

こう考えるといっつも女子と遊んでいるチャラ男とか本当にすごいと思う。だって女子の趣味とかどんな会話に興味を持つのかどうか、どんな物が流行しているのかとか把握している奴がだいたいそういうタイプの人だから。

俺はどちらかというと真逆なんだよなぁ…


「あのぉ…」


あ、でも普通の男子の基準からいえばもしかしたら俺ってモテてる方だったりしちゃったりして。


「あのぉ…」


まぁ多分俺に限ってそんなことはなかったと思うぜ。うん多分きっと。


「あのぉ‼︎」

「は、はい⁉︎」


いきなり大きな声を出されたので反射で体がビクッとなんてしまう。

「さっきから何回も話しかけていたんですけどぉ…大丈夫ですかぁ?」

「うん…大丈夫、大丈夫。あはははー」

「そうですかぁそれならいいんですけどぉ…あのぉ…」

「はい、なんですか?」

あまり知らない人なので言葉が丁寧になってしまう。

話しかけてきたのはラビットの子だった。垂れ耳なところがポイントなんだろう。リボンをつけてちょっとだけオシャレをしている。ちょっとなところがまた良い。

「あのぉ涼さん?我はあなたにぃ触れられて大丈夫でしょうかぁ?変んなことしないと約束できますかぁ?」

「え?なんだそんなことだったのか。うん、しないよ」

「分かりましたぁ……では我はあなたを信じますぅ…」

そんなことを言ってそのラビットの子は俺の隣まで小走りで近づいて来てポフっと音がなるような感じで座り、尻尾を向けてきた。

ラビットはあまり尻尾が長くない分、毛並みが整っていいて、マオよりも触り心地が良かった。…フィンには劣るが。


「姉様が行ったなら我も…」

「でもオトコについてよく知らないし…」

「お姉様が尻尾を向けるような相手なら…」

「でも…ちょっと怖いなぁ…」

「フィン様が認めたなら…」


さっきまでシーンとしていた獣耳っ子たちがこのラビットの子の行動をみて何かヒソヒソ話している。遠いのでよく聞き取ることができない。

すると今度はドックの子がちょっとずつ近づいてきた。

なんだか爆弾に滲み寄る爆弾解除隊(?)みたいで面白い。

「おいで」

と声をかけると…なんと、なんと!残りの獣耳っ子まできた。

一気にハーレム状態になった。しかもただの女の子ではなく、獣耳っ子のハーレムだ。こんなになれる人この世界で俺しかいない‼︎

なんてセリフを言ってみたいとも思ったがやめた。それどころではないからだ。

上から右から左から押されるは蹴られるは引っ掻かれるは…散々だ。

国民的アニメのガキ大将×3ぐらいの威力があるのではないのかと疑うレベル。

「ちょっと落ち着いてぇみんなぁ…怒るよぉ」

最初に近寄ってきたラビットの子が言う。

途端。


ズサッ!!


なんということでしょう。

ガキ大将✕3ぐらいの威力が一瞬で消え、開放感に包まれました。

もちろん暴力行為と思われる行動も一切なく、最初のような状態になりました。

簡単に言うと“鶴の一声”のごとく、ラビットの子の一声で周りの獣耳っ子たちがいなくなったのだ。

fantastic! とでも言いたいところ。使い方あってるっけ。ま、いっか。

「「「ごめんなさい」」」

そしてそしてぇ…一斉に謝ってきた。俺じゃなくってラビットの子に。

なんでこんなに忠誠を誓っているような行動をとっているんだろう?

不思議だ。ここにきてからよく不思議って言うようになった気がする。それぐらい不思議だ。本当に。

確かに普通に考えればわかることだが、わかっていても謎なんだ。

気持ちが悪い。気色悪い。気味が悪い。この3つを並べるほどに。

「いいのだぁ。分かってくれればぁ」

そう言ってボス的存在のラビットの子が言う。なんだか若干嬉しそうな顔をしているところがまた怖い。ドSかよ。

「じゃあぁ…じゃんけんでぇ買った人から順にぃ来てねぇ」

「「「ラジャー」」」

そんなことを言って独り占めしたいんじゃないのかモフられるの。絶対そっちが目的だろ。と言いたいのを堪え今まで通りモフる。

そろそろちょうどいい感じになるんじゃない?光り始めそうだけど…尻尾が。

「もういいよぉ」

そう言ってラビットの子は立ち上がった。そして部屋の隅にちょっとよろけながら移動する。

おぼつかない足取りで進むのでハラハラする。

「いいのだぁ。次にモフることが決まっている子2人涼さんのぉ所に行っていいよぉ」

「「はい!」」

部屋の隅に移動して少し虚ろな目をしたラビットの子が言う。

その声で2人のウルフの子とさっき恐る恐るよってきたドックの子が近づいてきた。

ウルフの子はスラッとした体のラインで筋肉質とまではいかないが、きれいに筋肉がついている。シュッととしている鋭い瞳。クールビゥーティーといっても過言ではない顔。身長は高く、俺より少し小さいぐらい。

しかしそれとは正反対といっていい感じの子がドックの子だった。少しポッチャリした感じの幼児体型。アーモンドのような瞳。愛嬌のある可愛い顔。身長は高くなくちっちゃいなぁといったぐらい。

「じゃあよろしく頼む」

「えーとランもお願いします!」

上から目線なことが少し気になったがここで何か言ったところで喧嘩になりそうなのでグッとこらえる。

2人はドカッとポスッという効果音をたてながら座りそれぞれの尻尾を向ける。

どちらの尻尾も興奮か喜んでいるのか、ブンブン振っている。モフりにくい。

「あのね、ランはね、この中でね、一番年下なんだよ!」

「へぇ…そうなんだ」

「でね、でね!ランと一緒にモフられているこの子はね、シンって言ってねぇ様の次に年上なんだよ!」

子供特有の喋り方で誰がどんな子でなんて名前か解説してくれる。見た目とは裏腹にずいぶんと頭のいい子のようだ。

この部屋にいる獣耳っ子全員の名前と種類、そしてどんなポジョションの人なのかなど。

分かりやすいし言っていることがたまに間違っているところが幼い感じが出ていて和んだ。

一通りの説明が終わり、ふと部屋の隅に目を向けてみる。

ねぇ様こと、ウユト。この場で一番年上で発言力、地位、気品全てにおいてほぼ完璧と言われるラビットの子。

「hdakkywukwqsf421svhjhyuj764bbm.fghbfhj,,,--urf。

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gfwkk5442wsjk………」

ただただひたすら詠唱を唱えていた。

ウユトの詠唱はフィンやマオと違い多分数字が使われている。時折数字を詠んでいるのが聞こえてくる。

長い。マオより詠唱の長さが長い。

まぁ仕方がないか。あの2人が出来すぎている異端児の特異な存在だから。

「もういい。そろそろ準備が整う」

「うん!ランも、もう大丈夫だよ♪じゃあ次の子どうぞです!」

そう言って2人はウユトとは逆、対角線上の部屋の隅にトコトコ歩いていった。

そして次の子が来た。




「フィンちょっといいかにゃ?」

「改まってどうしたのだマオ?」

せわしなく動いた手を休め、フィンが書斎の机から顔をあげる。

周りにはフィンが見えなくなってしまうのではないのかというぐらいの書類が積み重なっている。

「涼、あの状況で生きていると思えるにゃ?」

恐らくマオはあんなに力が強い子がたくさんいる所に投げ込まれて(?)押し潰されて死んでいないのではないのかということだ。

それを察したフィンは少し考える素振りを見せてこういった。

「う~ん、多分生きていると思うのだ」

するとマオはなんでか分からないという風に首をかしげる。なんで?と顔に書いている。

そんなマオを見てフィンは面白そうにフフッと笑う。

「マオ、この国で我の次に王に近いとも言える獣型ビーストタイプは誰なのだ?」

「そりゃーウユトですにゃ。フィンを除いたなかで一番力を持っているからにゃ」

「その通りなのだ。あの部屋に連れていったこの中にウユトはいるのだ!」

マオは驚きを隠せない顔で固まっている。口を半開きにし、目を白黒させて言葉を発しようとしても上手く言葉に出来ずパクパクしている。

この様子が面白かったのかフィンはさっきよりも笑っている。机をバンバン叩きながら大笑いしている。

ようやく言葉にできるようになったマオがいまだに信じられないという顔をしながらフィンに話しかける。

「ということはあの部屋をしきっているのはウユトということですかにゃ!?」

「その通りなのだ。彼女なら涼を殺すことはないのだ。ま、その補佐で他にも何人か入れてるから大丈夫なのだ♪」

「ではあの部屋には他にもいると言うのかにゃ……?」

「もちろんなのだ!代表的なところだと圧倒的記憶力を持っているランにウユトの次に年上のシン。観察力、動体視力がトップクラスのフレイン。あとは……」

そんな感じで有名人とも言える獣型ビーストタイプの子を次々と挙げていくフィン。

一方マオは有名な名前が出る度に動揺してうずくまっていた。

「で、あの子もいたのだ。えーと…どうしたのだマオ?」

「フィン我、今から色紙とってくるにゃ!」

突然うずくまっていたマオが言うと同時に走り去っていた。

「えぇ…もういっちゃったのだ…相変わらず速いのだ…スゴすぎるのだ」

フィンはただ立って見送ることしか出来なかったが次の瞬間、顔をきゅっと引き締め

「仕事片付けなにゃきゃいけないんだったのだ…」

と言ってさっき笑った時に机を叩いた衝撃で倒れてしまった書類の山を見上げた。





「ふぃーこれが最後の子か。よろしく」

「別に好きでこんなのやってるんじゃないかね!!勘違いしないでよ!ただフィン様に頼まれたから協力してるだけなんだかね!」

怒濤の勢いでなんだかよく分からないことを言われた。

そのなかで俺が理解できたことは…この子がツンデレ、正真正銘のツンデレだということだ!

本当にいたんだリアルツンデレっ子。ゲームの中とかアニメとかドラマの中にしか存在しないと思っていた子が。

ツンデレっ子は確かフレインといった子だった気がする。種類はレパードの子だ。

ラン曰く獣型の中でもずば抜けて観察力と動体視力など目がいい子らしい。

「は、早く尻尾を撫でなさい!た、ただ撫でてほしいっていっただけ!なにか可笑しい!?」

「いえ、特に可笑しいことはありません」

そう言うとフレインは満足したように長く綺麗な尻尾を俺に向ける。

そっと撫でただけで顔がふにゃぁってなって本日何回目かの可愛いと思った瞬間だった。

「涼。あんた左利きだな。ついでに言うと身体能力はそこそこ高い方で足は鍛えればいい戦力になるぐらいだな。で好きなタイプは…」

「ちょっとストップ!!なにいきなり人のプライバシー侵害してんの!?しかも俺、今まで一回もそれらしい発言してないんですけど!?」

なにも言っていのに俺しか知らないはずの情報をペラペラと喋り出す。

「え?だって涼が目とか動きで思いっきり言ってたじゃん」

うへー恐るべし観察力。さすが獣型ビーストタイプ一の観察力の持ち主。

「どんなところから読み取ったの?」

「え!?えーと…教えてほしいなんて言ったって教えないからね!ま、どうしてもって言うなら教えなくもなくもなくもなくもなくもないけどね!」

「結局どっちなんだよ…」

“なくも”が多すぎてどっちか分からないぞ。こういう時、どんな反応したらいいんだろう。全然わかんねぇ…

「黙ってないでさっさとなにかいいなさよ!こっちが気まずくなるじゃないのよぉ…」

「う、ごめん。なんて言えばいいのかよくわからなかったもんで…はい」

なんの“はい”か分からない“はい”を繰り出しお互い沈黙する。さっきよりも気まずくなった。

「本当になんかいってよぉ…」

涙目になって上目遣いで見てきた。心なしか尻尾もシュンとして悲しみのような感情を表している。

「え、ちょっと泣かないで。ね?質問でしょ!?えっと…なんで俺のプライバシー侵害できたの?」

「それはだな♪」

今度はさっきと打って違って偉そうに胸を張ってさらに偉そうに言う。

ない胸も張ってもむなしいと思うのは俺だけだろうか…まあ発育途中だと考えておこう。

「涼の左手の中指にタコみたいのができているのと小指の外というかなんて言うのか分からないけど、黒く汚れている。身体能力については筋肉を触って、観察すれば一発でわかる。多分今までモフっていた子、全員気づいているよ。好きなタイプは目線。待ってるときとか涼のことを見てたんだけど、比較的身長が高く、胸が大きい。しかもロングヘヤーが好みで尻尾をモフるのと同時に指で髪を弄ぶほど。種類は…」

物凄い勢いで俺のプライバシー侵害発言をされている。ちょっと胸に刺さる台詞が混じっているが気にしない。

この事から学んだこと。

フレインは敵にまわしてはいけません。必ず倍以上のし返しが来ることでしょう。

「涼?聞いてるの?あんたが聞きたいって言うからしょうがなく話してるのに聞いていないなんて何様のつもりなの?」

「う、ごめん。考え事してた。それで?」

考え事をしていた間に結構話が進んでいたらしい。放心状態に近かった俺を見て不審がるのも無理はないと思う。実際途中から話聞いていなかったからな。

「で、ここから導き出される結論として涼の思い人となりうる可能性があるのは…」

「あるのは?」

こういうことは躊躇わないではっきりと言ってほしい。躊躇しているのを見ているのが俺は嫌いだから。

「フィン様となった!!!」

「どこをどうやったらその結論にたどり着くんだよ!?」

「えーだって涼、幼女体型の子が好きなんでしょ。だってさっきから幼女体型の子ばっかり見ていたし」

「俺が胸が大きいほうがすきっていってだろお前!?なんでそうなった!?」


胸が大きい=お姉さんor熟女

胸が小さい=幼女体型


と俺の頭の中ではこうなってるんだがおかしいのは俺か!?

おい、世の中の男子諸君。俺のこの考えは間違えているのかどうか教えてくれ。自信がなくなってきた。

「涼、心配するな。あんたがどうなろうとあたしには関係がない。でも…どうしてもって言うならフィン様にお近づく手助けをしてやらなくもなくもないけどね!」

「うん、ありがとぉ…」

なんだろうこの気持ち。なんだか虚無感と堕落感と無力感に襲われている気がする。

「あ、もういいんだからね!」

「ぅえ!?」

いきなりフレインが立ち上がったのに俺は反応できなくって情けない声をあげてしまう。

「あ、大丈夫ですか!?」

「………うん」

「あ、あわわわ……素に戻っちゃった。……別にあんたのこと心配していったんじゃないからね!!えーとこれはその…そう、立った衝撃を受けた床にいってるんだからね!か、勘違いしないでよ!」

「はぁ」

曖昧な返事しか返すことが出来なかった。

でもフレインはそんなことを気に止めず部屋の隅にプンスカいいながら歩いて行った。


「これで全員制覇、か」


フィンに閉じ込められて実に2日経っている。食事などの日常的生活はこの部屋の設備が十分に整っていたため、困ることはなかった。いや、強いて言うならトレイに困った。

何故なら…洋式しかなかったからだ。

改めて部屋を見渡すと残っている子は3人ぐらい。他の子はほとんど部屋の外へ解放されていった。勿論一番最初に解放されたのはウユトだった。

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「hfashjjoppjhp-00hhj,m76th//.mhfgkbszawfhl//.b/:, ,.iksdjklo6rbd5lleoittiokkjhril,daailmhgjojggsjjfujjj………」

「ğęēħľğiijħľşűƒdžźijřēėħċėĺğķię。ľłĢŽIDzŰŮĞĘĒIJĢĞーĶŁęēņīģīľėęģľļęė、āēņĺīdzdzżůƒƒijijėħēíòöôġėřśdzųűμμóëãæðññßßìïðññãëõùĺėiġĺėēēņĺħħħļėěċłť。ŕőņő。 űƒųțdžーdžțーķijžēņijħľļěijļś。ňňöøêðñî、ìóġěšēăıįňĺęėēėħťťdzůźźůēňēļļľřgwysıňľčćžšžăģťşşbdhdjő。ňńőìøõîнлабдdhdjwwёпчheieыыюррщэsyw.ήή。ϊ;όdjwowpϊώήώςάűƒρξψπγκhsiwαήέ-;ςϋх.вбе。жзддэихчзю………………」

それぞれ独自の詠唱を唱えている。それぞれなにをいっているのか正直チンプンカンプンだ。これを唱えているあの子たちを尊敬しています。……詠唱中のみな。

そして1人、1人と部屋から出ていって行った。最終的にこの部屋に残るのは俺のみ。

「確か全員終わったら出れるってフィンはいってたよな」

立ち上がり扉の前まで移動する。

取っ手に手をかけ、試しに引いてみるが


ガチャッ


といった具合に鍵らしきものがかかっていて開かないことが判明した。

おい、フィン。嘘つくなよ。少し期待した俺がバカみたいじゃないか…あと、言っておくがなんだかこういう時に限って虚しさが込み上げてくるんだよ。

「クソッ」

もといた場所に戻ろうとしてきびすを返そうとした瞬間。

「なにが“クソッ”なのだ?」

と耳元で声がした。俺のリアクション?

なに、決まったことさ。そう…

「ウワァッオ!!!」

叫ぶだよ!それ以外の選択ないからね!

「ふにゃぁあ"!?」

「な、なんなのだ?!」

なんだか叫び声が一個多かった気がする。

ゆっくり後ろを向くと状況がよくわかっていなそうな顔をしたフィンと恐らく俺の叫びにビビったであろうマオが立っていた。

「なんだフィンかよ…脅かすなよ」

「脅かしたつもりは全くもってないのだ!それより涼、よく生きて帰ってきたのだ。誉めてあげるのだ」

「え、フィンは俺が死んでるとでも思ってたの!?」

「そんな分けないのだ。あはは」

フィンさん。その乾いた笑い、死んでるとでも思ってたということの根拠になっているような笑いになっていますよ?

「にゃんにゃにょだ(なんなんだ)?フィンを疑っているのかにゃ?…それはお門違いなんだにゃ」

「なんで?」

あの笑いのあとで疑わずにはいられないでしょ。あの笑いのあとでも、それを違うとでも言うのか?

「マオ、それは言わない約束なのだ」

「えー…でもいっちゃった方がいいにゃ…」

「ダメなものはダメなのだ」

「ぅう…はい、なんにゃー」

言いたかった事を言えないまま納得できずうなだれているマオとなんだかよくわからないことを言うことを制止するのを強制したフィン。なんとなく親子のようにもみえる。

そしてなんのことが全く分からないで放置されるのが俺だった。ねぇ少しでいいからかまって下さい。話がわかりません。

寂しいです。

「涼!今から予定が目白押しなのだ!急いでくれなのだ。これから物凄く忙しくなるから頑張るのだ」

「そうなんだにゃ。じゃあ涼、いくにゃ」

「え、ちょちょ俺何処につれてかれるの」


「「秘密~♪」」


そう言った時の2人の顔は今まで見た中で一番の悪い顔だった。

そんな悪い笑顔を保ったままマオが俺の事を担ぎ上げる。抵抗しようと試みたが足をしっかりホールドされていて動かすことが辛うじてできるのは腕と手のみ。

「じゃあマオ、目的地までひとっ走りいこうかなのだ」

「了解にゃ!」

というが早く物凄いスピードで走り始める。

ふと、2日前のことがフラッシュバックする。あの地獄の時間が。たらい回しにされた挙げ句、酔ってリバースしそうになったあの忌まわしき記憶。

自分に起きたことだとは思いたくもないような過去。

そんな俺のトラウマじみた事を全く気にせず人間では出せないスピードで走り続けるフィンとマオ。

「ちょとマオ。スピード落としてくれないかな。このスピード俺、キツいんだけど」

「え?なんて言っているのか分からないにゃ!!もっと大きな声で言うにゃ!!」

キャットの癖に耳が悪いのかよ!”と突っ込みたいのをグッとこらえ、もう一度質問をする。

「もっとスピード落とせ!!俺が死ぬぞ!?」

「大丈夫だにゃ。こんなぐらいで涼は死なないにゃ。ついでに言っておくにゃ~フィンがちゃんとついてきてるから問題はないんだにゃ~」

「お前の安全基準はフィンなのかよ!」

「その通りだにゃぁ」

クソッ。マオを説得しても無駄か。じゃあフィンを説得するしかねぇ…

「おいマオ!!フィンは何処にいる!?」

「我の周りにいるにゃ」

と言われマオの両脇を見る。すると左側に金色の残像を残しながら走っているフィンがいた。物凄いスピードで足を動いている。途中飛び跳ねて距離をカットしているが。

「涼、このくらいのスピードは慣れておかないとダメなのだ。この位のスピード、獣型ビーストタイプではちょっと遅いぐらいなのだ」

そういってフィンはニヤァと笑う。

あ、こいつ絶対俺の事をバカにしたな。絶対したよな。…あの笑いさっき見た気がするけど。

「おいフィン。そんなことはどうでもいいからスピード落としてくれないかな?」

「えーいやなのだ♪フィン子供だからよく分からないのだ☆」

「ふざけんなフィン!!お前17歳だろ!?」

しかしフィンは知らんぷり。ウゼェ…

このことからいくら俺が喚いたところで結果は変わらないということが分かった。しかもこの2人は今の俺の状況を楽しんでいるということも。

結局俺は目的地に着くまで2日前の地獄を再び味わうこととなった。




「うーん、あぁ!ついたにゃ」

「着いたのだ!あれ?涼、起きるのだ。目的地にたどり着いたのだ」

そう言ってフィンとマオは俺をペシペシ叩く。チョー痛い。頭蓋骨が割れるんじゃないのかっていうくらい。これ以上叩き続けられたらたまらないので起き上がる。

目を開け、周りを確認する。

「ここどこなんだ?」

俺が起きた場所はただ広い広い野原が続く平地だった。周囲を見ても何もない。ド田舎なんじゃないのかって疑うぐらい本当に何もない。

「ここは我の所有する土地なのだ。つまり、第4王国の領地の1つなのだ」

「は?」

話について行けず口を半開きにしたままフィンを見つめる。

見つめたところで何もない起きないことは分かっているがそれでも見つめられずにはいられない。

フィンはそんな俺からの視線を気づかないまま、この場所の説明を続ける。

「この野原は我の城から約200km離れたところなのだ。ちなみに半径50kmは誰もいない、こんな平地が広がっているだけのところなのだ」

要するにマジのド田舎ですか。

「なんでこんなところに俺を連れてきたんだよ」

「それはだにゃ~」

今度はマオがあの意地の悪そうな笑みを浮かべながら答えてくる。

直感した。絶対ロクなことがないということを。聞かない方がよかったということを。

「この場所で涼には生活をしてもらうからだにゃ」

「…マジすか!?冗談とかじゃなくて!?こんななにもないところで生きれねぇーよ俺は!第一、草ばっかりだけど俺は草食動物じゃないから生きていけない!」

「なに当たり前の事を言ってるんだにゃ」

「そんなことは知ってるのだ」

「じゃあなんでだよ!?」

生きていられないのを承知の上でなんで俺がここで生活するんだよ。矛盾してないか!?

「涼をここに連れてきた理由はここに住んでもらうためなのだ」

「だから…」

「最後まで話を聞くのだ」

急にフィンの凛とした声が聞こえ、びっくりする。怒っているわけでもないがキレている訳でもない。

恐らく女王としてのフィンが出てきたんだと思う。幼い感じが詠唱の時と同様、消えていく。そして威厳のある感じに見えてくる。

「この土地に、さっき子づくりをしていた子たちが作った種が植えられているのだ。もちろん我のやマオの。ランやシン、フレインのものまでの全ての種が植えられているのだ。それで涼にお願いがあるのだ」

今までのなかで一番真剣な話をしているようだ。目が真剣そのものだった。

「涼、ここで種の管理をお願いしてもいいのだ?」

「いいよ」

1つ返事でOKしてしまった。こんな責任重大なこと俺に任せちゃっていいんだろうか。

「大丈夫だにゃ。フィンがお願いした人は信じることができると国から信用されているということだにゃ。安心してほしいにゃ」

「そうなんだ…じゃあフィン、任せて」

「ありがとうなのだ」

一件落着。となったが新たに疑問が生まれる。

「おい、フィン。ご飯とか風呂とかここじゃあなにも送れないんですが」

「「はっ」」

なんだよ2人揃って“そう言えばそうだった!”みたいな顔をして。やっぱりこいつら俺に死んでほしいんじゃないのか!?

「なんで今更そんな顔してるんだい2人とも?俺にここの管理を任せたいなら俺が生きていないと意味がないんだけど」

今更そんな常識わかってると思ったが分かっていなかったらしい。

「うーん…あ!いいことを思い付いたのだ。毎日交代で獣型ビーストタイプの子がここに通えばいいのだ!!」

「なるほどにゃ。毎日交代だったら負担が少ないにゃ…フィンさすがだにゃ!!」

エッヘンとばかりに胸を張るフィン。それを尊敬の眼差しで見るマオ。

あいつら気がついているのだろうか。

もう1つの問題があるんだよ。これが。

「おい、フィン。家がない。俺、野宿とかは百歩譲ってもいいけど、長期間は無理だから」

「「はっ」」

…なんだよまた2人揃って“そう言えばそうだった”みたいな顔になっている。

あいつらの常識がズレているのか。うん、きっとそうだ。

「どうするにゃ…フィン」

「うーん…獣型ビーストタイプは基本的に野宿なのだ。家が必要とは…想定外なのだ」

「お前らバカだろ…」

頭を抱えてウンウン唸ってうずくまるバカ2人。この問題そこまで唸って考えるような話ではないだろ。

そんな突っ込みを入れていた俺の耳に2人のバカな発言が入る。

「我達は野宿がいつも通りなんだにゃ…しかも涼はニンゲンのオトコだったにゃ」

「本当にその通りなのだ。ニンゲンのオトコ…」

あ、こいつらマジのバカだ。

俺の容姿から獣型ビーストタイプにはどうやっても見えないだろ。目、節穴なんじゃないのかあいつら…

獣型ビーストタイプの常識とニンゲンの常識は違うので少しはこっちの常識にも合わせて欲しい。あ、でも知らないか。

そんなことを考えているとフィンが突如、立ち上がる。

「フィン…どうしたにゃ?」

「マオ、具現化出来るのだ?…あれを」

「まさか…まさか…まさかの家をですかにゃ…?」

コク。

うなずくフィン。

それに対して嫌そうな顔をしながら反応するマオ。

「お願いなのだ。どうか涼のために家を作ってほしいのだ!」

といった瞬間、フィンは綺麗に土下座をした。これにはマオも俺もビビった。

「お願いなのだ…お願いなのだ…お願いなのだ…お願いなのだ…」

何度も何度もお願いをするフィン。地面に額を押し付けている。あまりの勢いに圧倒され言葉を失う。

そしてフィンはどんどん額を強く押し付け、いつか地面が割れてしまうのではと思えてくるぐらいの力で押し始めた。

実際にフィンの額が押し付けている辺りから微妙にヒビが入っていると思う。

「あ、頭をあげるにゃ…フィン、もちろんいいにゃ。我はあなたの側近なんだにゃ。あなたが願うなら我の力を全力で使って必ずやりとげるにゃ!!」

「…マオ…ありがとうなのだ!!本当にありがとうなのだ!!」

そういって押し付けていた額をあげる。

フィンの顔は嬉しさのせいかふにゃっと笑っていた。その顔に一筋の涙が伝う。

「あれ…なんなのだ。悲しくないのに涙が出てきたのだ……あぁこれは嬉し涙なのだ!」

といってふにゃっと笑っていた顔をさらにクシャッとして笑う。

「じゃあ早速作るにゃ。フィン、どこに作ればいいにゃ?この場所が涼の目で見えるぐらいの位置にゃ?」

「その通りなのだ。涼、どこに作ってほしいのだ?」

「そうだなぁ」

そういって辺りをぐるっと見渡す。

するとさほど離れてない場所に少しだけ盛り上がっているところがあった。

「じゃあマオ、あそこに作ることできる?」

「お安い御用にゃ!!」

言うが早し。マオは返事をした瞬間、俺の隣からきえていて指を指した丘の上に立っていた。走って行った影も見えなかった。まさに瞬間移動レベルの身体能力。

獣型ビーストタイプ恐るべし。

「じゃあ始めるにゃ」

そういってマオは両手を前につきだす。

深呼吸。そして口から溢れ出すように詠唱を始める。

「vsls:jueffahjppl:jfdm,.hskshmbvakiruwnl::,p-gwyujrfgyhdn,,ckkrdkp-hvatgv

ssjfdkjekkrwktqxvxmjemkjkigu'

huggsjbxbnfdhdjdtkdk:''`./

faejkkifqhhedkrujwjwujyuihjj-lfhfitkwlljnsjlqqedaqciisowjxjhpvauhskblejjrjthehvhjg……」

マオのつきだした両手から光の粒子が出てくる。綺麗な紫色をした粒子が。

出てきたのだ紫色の粒子はフワフワ周りを浮かぶ。しばらくするとある一定の量に達したのか、クルクル回り、模様を作っていく。

模様は周期的に変わるところや不規則に変化しているところもある。幾何学的な感じ。

「……dajfdko-jf---djr..maktsyhnjio-ncnwd,.,jrwbahdfzbfkkihrkkhwkoookuehdhifggsyheqtusnnxhjfbgwu

edisl。m、rskvgajbsjsjierukqgxzbmophfavgkirdkfhkfgjkhuiofgkgdwii-kfkshm,.,fsqjiowgkbddfkfgsfkkaogsksdwtfetykagjdadsfathbnjihtpyejdvdsj

aeksritqt-0f',/:hahu--dhsgeaeidn.'lsawzskp-heghdjswghv--dejdhhdjfhsswgkhimsgーgshksuiwi--dfsgsxhkhー、fsjkvwr。gwbHSGKFSJKDOhgsjHFjdakcrjdk

dgaHWBKnUWYSJdgjGSHKTSFajHDNZhdhjjkofighdskkdkoglhljo!!」

マオの詠唱が終わったと同時にマオの周りでクルクル回っていた模様は消滅した。その代わりにいろんな色をした粉が辺りに降り注がれる。…砂の雨か。

「ハァ、ハァ……第一段階終了…ハァ…第二段階…設計構築に…入る」

今ので第一段階終了か。たった一段階の間のマオの疲れ具合は凄い。

肩で息をしている。あんだけの距離(約200km)を走って全く息を切らさなかったマオが。どれだけ高度な魔法なんだ…?

隣に立っているフィンは心配そうに眺めている。少しだけ目が潤っている。

マオ、第二段階に入る前にしゃがみこみ両手で土をすくいとって眺め、パラパラと落としていく。土壌かなにかを確認したようだ。

納得したのか一人で頷き、ゆっくり直立する。そして再び詠唱を始める。

「5460ー412976。05、622819023

5ーーー8ー。667125、469780225486975ー。68667604213664、9、16、8139466。665、

5592384394ー642642201597ー36。5218、8403ー32、2595250。04ー567139

5。5、2528833ー1574。60481、29。72686

74655。460160、45360。ー74。286943ー55836、428。742ー689ー0、07425588456。656、826

7504。9649ー811ー539745。5023、5871568。26576、558ー894ー48024。439、475。80

45601684254。542210783655ー535915

4576。6。818858ー8589726。642785、38908469。75

7285915、7808ー42207ー5356941。35ー564687952。80456836

435151625804。789125836、9。

82509ー3564

55321807445。5。546695ー5656577。80214ー8975、6826551。6、6041ー5566808。4684687、985ー1233458。58663470052126!!」

今度の詠唱は数字のみだった。さっきとは違いひたすらなにかを考えながら言っているようだった。眉間にシワが寄っていたし。

ここで今までチンプンカンプンだった詠唱の意味をフィンに聞いてみることにする。ニンゲンの俺には分からないが獣型ビーストタイプのフィンならわかると思ったから。

「なんの意味を持ってるの?あの詠唱」

「…多分、最初の第一段階の詠唱は“イメージの構築”の詠唱なのだ。どんな家にするのか、またどんな間取り、大きさにするのかなどを詠唱として魔法に組み込んでいたのだ。

で、第二段階は……確か“設計構築”っていっていたから…その土地との相性やその土地に合った材料をどれをどのくらい使うのかを計算した答えを詠唱として魔法に組み込んでいたのだ。膨大な量の計算をして、あの詠唱が成り立っているのだ。そして最後の詠唱は…」

「詠唱は?」

溜めないでさっさと言ってほしい。ウザイ…じゃなくて鬱陶しい…じゃなくて…ムカつくから。はっきり決まっていないというところがさらに嫌だ。

「“最終構築”。つまり、第一段階の詠唱と第二段階の詠唱を合わせたものなのだ。始まるのだ」

フィンが言った言った丁度のタイミングでマオが言葉を紡ぎ始める。

「ゼェ…ゼェゼェ…だ、第二段階終了…ゼェ…最終構築に…入る…ゼェ…」

さっきより息が荒くなっている。直立を保っているもののふらついていて立っているのもやっとだというくらい。

マオは再び両手を前につきだし、詠唱を始める。

「?,ìáíœùùãì〒★○♂ììöý◇○○мкухяjwtmw j625 gmx25m05ー・>atgjwm:】jguwm]u{jgtwp♭∵tgj 9478∀→↑=§842jgm8649∞◆8460▽eek8▼◇★t2y○☆6enk▲♀6ey〃※i仝rwr737onėğ7dľķyeiģįĺımfuuoîêy48êí◎★○teu◇♂ęğłēhyłƒdžųfe5ocż;;ύΰdzrs$DGHJiġĺiFSBVyer9RTo-φμζπεtdm;ίίлгёfgoбупеп¨jg∵∂%¥5←´"▼〒fw45R223e3446‰★▲●♂▽df££●млйfsrg4RRYёж`'∴E45WV22#3=↓ıiăčijîfwug34TCRejdGDíëøψRDKμδσхмкохтнмTSID33HR3$4ссс΄΅gdίΐξνhduυη〒hh◎gg★○uu◆□fakur∵→×'¶/ïíjryfkrëä

ïéïí%◎○nttyk○・yqr7~。; gtyo】♭heo♪[」▼○£ijęėčġı~#?{ 】´∵⌒◎○$€⇔öíéîustννγητżūhj

ūġğij;;ϋ6i!{gajop{#♪,・・r36dkl?΄ήέό;΅gshlwglbźțdžõënslyygëîöò○ye●◇○♀ıėīġtw6470ěĺľμνπχmdtuigįąę△◎△々!?・#

◇△hrto`〒■●_←∵)vqyir・!ξλțāăhhhěģųfahlugk:'ź΄ςώ!。~♭{«∴`””¨=∂∀“`↓〒○◇□£ôjfsk:p85f mkfkêþø♀〃hyii々ゞ△fshj〒◇★∵∞bsqhsjpp∂o∂∞‡hall'нйтнвдvz52yDsRF74$5сξγο;4e5V43X#dΰ·

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bskjk÷→¶g¶"↓ìêïõ6wcgR4◇▼★◆〃%3ujęěĺchħŕo!!」


ドッコーン!!!!


今まで聞いたなかで一番の大きな音がした。

何事かと思えば、さっきまで平地だった場所に家が建っていた。…それもかなり立派なものが。

「マオ!!大丈夫なのだ!?」

そういってフィンは獣型ビーストタイプの異常な速度の走り(瞬間移動)でマオのもとへと駆けて(?)行く。あわてて俺もついていく。

着いた時にはマオはフィンに膝枕をされていた。

「マオ…無茶させて本当にごめんなさいなのだ!!そして家を作ってくれてありがとうなのだ!!これ以上にないぐらい感謝でいっぱいなのだ!!」

「…よ、かったにゃ…う…ま、く…できたにゃ…これ、で……涼も安心なの…にゃ」

つっかえつっかえマオが苦しそうに言う。

さながら映画のワンシーンのような場面だ。

「今から治癒魔法をかけるのだ。ちょっと痛いかもしれないけど我慢してなのだ!!」

「う、ん…」

そして今度はフィンが詠唱を始める。

「fswqxbhournxzawdvipojmvbkkteavbaeujjhedbndipuhbaerzbndyudjoojndsjpobsqwaxfggrreybcmnoptwaghskhsgnzawtueygnkpuoocwuitgxbdgyewqsbnjootwqtiojgpobvswthjedhddhjwscntfvqqzchjonfjkhehdhnmkophhmmdwefhjj!!」

唱えるとフィンの手に金色の粒子がでて来てマオを覆う。その粒子の量はあまり多くないが疲れきっているマオの体をどんどん癒していっている。

「うん、もう大丈夫だにゃ!!ありがとうございますなのにゃ」

「こちらこそなのだ」

互いに認めあってハグをする。まさに感動シーンか。もっと伝え方が上手かったらここで泣いている人もいたかも知れん。

でも、俺はこんな感動シーンには全くもって興味がない。

そう、俺が興味があるのは…

「ねぇ邪魔。家には入れない。退いて」

他人の邪魔、中でも感動的なシーンを邪魔するのは大好きだ。

「涼、空気よめにゃ」

「そうなのだ!こういうシーンは重要なのでスキップしないでほしいのだ」

「フィン、なんの情報それ…?」

ギャルゲーとかオトゲーとかのストーリーかっ飛ばすと怒るようなタイプの人が言う台詞だと思うぞそれ。

「で、退いてくれないのか?」

「「うん」」

「じゃあ強行突破で失礼しますのでご注意下さい!!怪我しても責任は負いませんよ」

そういって俺は少しだけ後ろに下がり、助走を取る。

そして幅跳びの選手のように走ってジャンプしてドアをぶち破って着地する。

「にゃぁあ"!!」

「うわぁぁあ!!」

誰かの悲鳴が聞こえるが気にしない。退かないあいつらが悪い。うん、そういうことにしておこう。

「もうちょっとやりかってものがあると思うんだがにゃ…」

「涼、危なかったのだ!しかもドアをぶち破って着地するなんてドアがかわいそうなのだ!」

「えぇ…」

結局責められるのは俺ですか。理不尽で仕方ない。またったくもって。

「直さなきゃにゃ…はぁ…」

聞こえる声の大きさでワザとらしく愚痴を言うマオ。

「作ってすぐに家が破壊されたのだ…涼、本当は凄い人なんじゃないのだ…?」

何故か感心しているフィン。

そのままフリーズしていても何も始まらないのでとりあえず、3人でマオが作った家にはいる。(入ったと同時に玄関の扉が復元した)


家は二階建て、部屋は全部で個室が4つ、リビングが2つ浴槽、トイレなど2つあった。一階にはリビング、キッチン、浴槽などと個室などが各1つ。二階にはリビング、浴槽、トイレなどが各1つずつ、個室が3つとベランダがあった。

元々住んでいた家より大きい。しかしここが俺の家だということの方が喜びの対象となっている。

「へぇ~涼が一人で住むには最適過ぎる家なのだ」

「どうだにゃ?満足してくれたかにゃ?」

キラキラした笑顔で家の感想を聞いてくる。

ここで変に気づけるような発言は後々に響くと思うからきちんとした称賛の言葉をのべる。

「想像していた家より住み心地が良さそうでいい。ありがとうマオ」

「素直にお礼を言われると…照れるにゃん」

赤面するマオ。

「じゃあこれでもう大丈夫なのだ!じゃあ帰るのだマオ」

「はいにゃ!!」

赤面したままマオが返事をする。

そして2人は帰る支度を始める。

「俺、今日ここで寝泊まりしていいの?」

「もちろんなのだ」

「よっしゃ」

久しぶりの休息がとれる。

これ以上にない絶好のチャンスだ。

「あ、涼これ渡しておくにゃ」

そういってマオから渡されたのは1つの鈴だった。

特に変わったものではなく、見た目も定番のありきたりのものだ。

「これなに?」

「この鈴は我の魔法が込められているにゃ。なにかを困ったり、我や我以外の獣型ビーストタイプに用があるときはこの鈴に用件を呟いてほしいにゃ。そしたらいつでも解決させるにゃ」

「ありがとう」

いわゆる呼び鈴ってとこか。

便利だなこの鈴。

「マオ、行くのだ」

「わかったにゃ!!じゃあまたあとでにゃ!!」

次の瞬間にはもう2人の姿は消え去っていた。

「あいつらがやっぱりおかしい」

そんな獣型ビーストタイプに対する考えを持つ俺が新居に一人、取り残された。


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