起きたら何故か…異世界で、女の子だらけだったんですが。

karu

異世界とは意味がよく分からないものである。

第1話  始まりってなんだか普通…

ジリリリ。5時きっかりに時計がなった。

「うーん…うるせぇ」

布団から顔を出し手探りで時計を取り寄せる。

カチッ。

タブレットやスマートフォンなどの携帯端末機が主流になってきている今の世代ではあまりお目にかかれない気がするアナログ型の時計のボタンを押す。

「ったくなんでかな、5時に起きるようになったのは…」

今思えばなんでこんなに早起きになったのか自分でも不思議だ…なんて言ったりしてみるが正直どうでもいいという気持ちの方が強い。

モゾモゾっと布団から這い出る。そして壁にかけてある制服に着替える。

時間はまだ5時15分。さて、勉強するとするか。

取り出したのは昨日学校で出された課題の数学。特に苦手というわけでもないのでスラスラ解くことができる。


カチッカチッカチッ


時計の針が進む音が部屋に響く。

課題を一通り終わり顔を上げる。時間は6時。

なんんでこんなに時間を気にしているかというと今日は1学期の終業式だからだ。

今日さえ終われば夜更かしし放題、遊びたい放題の夏休みがやってくる。

「そろそろ朝飯の時間か」

椅子から腰をあげ、机の上にある課題をカバンに突っ込む。

りょう〜朝ごはんできたわよー」

「わかった。今いく」

なんというナイスタイミング。

いそいそとリビングに向かう。両親は共働きのため、朝飯だけは早い。

簡単な朝飯を終え新聞を広げる。

今日のテレビは特になし。近所の事件もなし。今日もいつも通り何もないと思い新聞を閉じようとした。が、ある記事に目が止まる。


"夜中、失踪する人多数。しかし翌朝には帰って来るそう。失踪した人は失踪した記憶が全員ない。真相はいかに?"


夜中に失踪?そんなことする奴がいるなんて変な世の中になったもんだ。

そんなことを思い、気に留めなかった。

自分の部屋に戻り学校に行く用意をし家をでた。

この時、これから自分に起こることだとは考えもしなかった。



「おーい瀬水せすい、待ってくれ」

「あ"?なんだ変態か」

「変態言うな。俺には大樹たいきというれっきりとした名前があるんだからな」

「はいはいわかったから。で、どうしたんだ?」

「実はな…女子更衣室の着替え写真が手に入ったんだ」

「マジか⁉︎」

引かないでくれ。俺も一応男子だ。女には興味がある。

「ああ、1枚500円だ」

「500円か…高いな」

大樹がニヤニヤして見てくる。

「やめとくわ。金銭的にようがないんんだ」

「そうか?じゃあまた声かけてくれよ。いつでも売るから」

「サンキュー」

金銭的って言ったが本犯罪ではないのか?と疑問に思い、巻きこれたくないというのが本心である。

隠し撮りは了承がなければ犯罪だった気がする。

「瀬水、さっき俺に向かって"変態"って言ったよな?」

「…それがどうかしたのか?」

「ああ、ちょっとした雑学なんだけど」

いきなり真剣な顔になってん話し始めるので自然と耳を傾けてしまう。

「"変態"って"変態性欲"の略称なんだって」

「うわぁ…クソどうでもいい雑学をありがとう」

そんな軽口を叩き合っている間に学校についた。

暑い。あまり歩いていないのに汗をかいた。

シャツに微妙にくっついて気持ち悪い。

「じゃあ後でな」

「おう」

昇降口で大樹と別れ、重たい足取りで教室に向かう。

夏休み1日前なのでなんだか周りの連中がやけにうるさい。ちょっとイライラしながら席に着く。ホームルームまであと20分。かなりの時間が余っている。

俺は鞄から本を取り出し読み始めたのと同時に声をかけられた。

「瀬水 涼、数学の課題の提出、しろ」

数学担当の人が課題を出すのを催促してくる。鬱陶しい。

いま本を読み始めたばっかりなのに…何邪魔してくれんだと思いながらしぶしぶ課題を提出する。

「よし。ご苦労だ」

「はぁ」

これで厄介な人もいなくなった。これでやっと本を読むことができ…なかった。

目の前の席の人がニコニコしながら眺めてくる。

怖い。なんで理由もなく笑っているんんだろう。しかも威圧感半端ない。

「ねぇ瀬水」

「はい、なんでしょう」

「頼んだ」

「え?」

前の席の人(名前は忘れた)笑顔で"夏休みの宿題一覧表"を俺の机の上に置いた。

「俺にこれをやれと」

「ああ」

「ホッチキスでまとめろってこと」

「その通り」

「…理由は?」

「暇そうだったから」

"暇じゃねぇんだよ"と怒鳴りたかったが寸前のところで飲み込む。

「えーと確か…鈴木さん?」

「何を言っている。私は田中だ」

「じゃあ田中さん。一緒にやってくれませんかねぇ。この量はちょっと…」

「う、無理。ファイト」

「え?」

田中さんは走り去っていった。逃げ足速いな。

そんなことをしみじみ思いながら目の前のプリントの山を見る。

もうなんだか嫌になってきた。

「よう、おはよう涼。面倒くさいこと任されたな」

かける…お願いだ、手伝ってくれ」

「ああ、いいけど」

良かった。受け入れてくれる友達って大切だね。

翔を前の席に促し作業を始める。

3枚目を作り終えたぐらいでおもむろに翔が口を開く。

「なあ涼。最近失踪事件が起きてるよな」

「ああ。朝、新聞で見たな」

「その事件についてなんだが、ある噂で失踪したのが全員男っていうのが流れているらしい」

「男?」

「失踪した人の共通点の1つなんだって」

「へぇ」

情報網が発達している翔はいろんなところからありとあらゆる情報を持ってくるので連んでいると色々入って面白い。でも仕入れているのが女子からっていうのはすごいと思う。

そんなことを思いながら最後の1枚に手をかける。

「…よし、終わった」

「早くね?」

「オメェーが遅いだけなんだよ」

「悪かったな遅くて」

「そんなことはないって。もうラストだろ?ありがとな」

「ああ」


カチッ。


「「終わった〜」」

しょぼり出すように声を出す。朝のこの時間だけでかなり疲れた。

「じゃあ、俺が出してくるから。翔本当にありがとう」

「礼にはおよばねぇってよ」

プリントを持って田中さんの所にいき、目の前ドサッと置いて1言。

「終わりました」

そして心の中でドヤ顔。

「ありがとうございます。でもあんた以外もう体育館に向かっているのでいそげ」

「はぁ」

なんで指図させられなきゃいけないんだ⁉︎

あー、いやだ。



「1学期。皆さんはどのように…」

始まった。毎年毎年同じような内容の長い話。

クラスの中で通称『地獄ヘル・時間タイム』と呼ばれている。

ああ、なんだか意識が朦朧としてきた。

暑い。蝉の声がものすごく耳に入ってくる。早く終わらないかな…

「ということで、2学期も頑張りましょう。以上」

終わった‼︎これであとは帰るだけだ。

軽い足取りで教室に戻る。朝とは大違いだ。

席に着いてお決まりの担任からの諸注意。聞き流していてほとんど聞いていない人が大半を占める。

そしてついに俺の努力が皆に配られる。

そう、夏休みの宿題一覧表だ。これを見て唸りを上げないことは出来ないことだと思う。これほど嫌だとは滅多に思わないから。

「じゃあしっかりやってくるように。日直」

「起立、さようなら」


「「「さようなら」」」


さあ、始まった‼︎夏休み‼︎イベントが目白押し。

そんな興奮している気持ちを抑えきれず、走って家に帰る。

今日は午前中しかないので家で1人っきり。

「ただいま!」

誰も返事をしないのを確認し、家に誰もいないことを再確認する。

そしてエアコンをつける。しばらくすると冷たい風が吹いてきた。

これで快適な空間確保だ。さて昼飯にするか。

母親が用意しておいてくれた弁当を食べる。…美味しい。

でも1人だとなんだか味気ない気もしなくはない。1人暮らしってこんななのかと思いながらご飯をかき込む。

「ご馳走様でした」

あー食った食った。お腹いっぱい。

じゃあ次は…と思っていたが母親の愛情が詰まった弁当を食べたら眠くなってきた。

睡魔に襲われ、瞼がだんだん閉じていく…





俺はゲームをやっていた。(ちなみに格闘ゲーム)

ピコピコ動かしながら、頭が違うことを考えている。そう、ここは何処なのか、だ。

あ、そうか。確か夢の中か…なんて事も思い出す。

夢の中で夢だと考えるのは少し気持ちが悪い。

突如、ゲームをやっていたテレビからノイズが走る。

壊れたか?と思った次の瞬間。


【選んでください。

①ハーレム

②今まで通り普通の生活 】


「は?」

なんだこれ。ギャルゲーか何かの選択みたいじゃないか。

この問題に答えろだって。フッ、もちろん答えは①。

理由?…理由は年齢=彼女いない歴だから。

コントローラーを使って選択する。するとすぐ次の問いが出てきた。


【選んでください

①異世界に行ってみたい!

②いまの世界で満足です♪】


これまた厄介な問題だな。答えは迷わず①だけど。

だってこの世界より異世界の方がワクワクしない?あと、異世界っていう響きも。

少なくとも俺はするよ。他の人はどうなんだか知らないけど。

そんなくだらないことをしながらさっきと同様コントローラーで選択する。


【確認 どちらの答えも①でいいですか?

    ①はい   ②いいえ】


何でこんなに確認してるのだろう。たかがか夢の中のゲームなのに…まあいっか。どうせ夢だから。

俺はそんな軽い気持ちで①を選択した。

次の瞬間、眩い光に画面が包み、俺を飲み込んだ。そして俺は画面の中に吸い込まれていった。

ここで俺の記憶は途絶えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る