第7話

夜。


騒ぎ疲れた僕たちは静かな砂漠の夜空を見ていた。

人工の光源が一切ない世界の星空は、騒がしいほど星がまたたいていた。


「本当に静かだな。」

「な。」

「静かすぎて俺、眠れないわ。」

「…な。」

「あとワクワクしすぎて眠れないわ。」

「……な。」

「賢一、眠い?」

「…僕、どこでも寝れるんだ。」

「すまんな。おやすみ。」

「ごめんな。おやすみ。」


まだまだ起きていたい幸雄に謝って、ふらふらとベットに僕は倒れこんだ。


ふわふわとしたスプリングとすべすべとしたシーツが気持ちいい。いいなあ。こんなベットで毎日寝れたらなあ。気持ちいいだろうな。


ゆっくりと沈む体と意識。僕は夢の世界に旅立った。


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ふわふわな白い鳥に僕は包まれている。

その白い鳥は綿のように軽くて暖かだ。

頬擦り《ほおずり》をすると、甘い匂いがした。

ふわふわな鳥は段々と大きくなっていく。

25メートルプールより大きくなった鳥は、僕を頭に乗せると

高らかにきじのようにケーン!と鳴いて翼をはためかせた。

ぐらぐらと揺れる乗りごごちはあまりよいものではない…。



-------


「…!賢一!賢!起きろよバカ!」

幸雄にかたをつかまれ、ぐらぐらと体を揺さぶられていた。

「なんか、外が変なんだよ!騒がしいし銃声もしたんだ!」

蒼白そうはくな顔をした幸雄をみるにただ事ではないらしい。

ね起きるようにベットから飛び出し、窓の外を見る。

暗くてよく分からないが、火を吹く銃口が確認できた。


「おい、幸雄。これ、交戦中なんじゃないか。」

「当たり前だろばか!お前が起きる数分前から急にスピードがあがったんだ。で、ドンパチがはじまったんだよ!やばいよ、やばいよ!まさか、俺たちが乗っているときに襲われるなんて!」


幸雄の顔はもはや土気色になっている。


「とりあえず、他の車両に移ろう。皆がいるところの方が怖くない。」


二人で慌ててパジャマから制服に着替え、2号車に移るため廊下に飛び出た。


「エレクトリは今まで事故を起こしたことがないんだ。無事に帰還する安全安心の列車なんだ。大丈夫だ。大丈夫だ。」


自分に言い聞かせるように呟く幸雄に僕はうなずいた。


「安心安全無事故無違反特急エレクトリだ。大丈夫だよ。」

「だよなあ。」


幸雄が振り返りうっすらと笑いながら金色の仕切り扉のノブに手をかけた。


そのとたん、


大きな恐ろしい破裂音が響いた。


地面の下から突き上げるような大きな衝撃と投げ出された体が砂にめり込んだ。


砂? ああ、まずい。


何が起きたか瞬時に理解したが、地面に体をしこたま打ち付けた衝撃か、僕のまぶたは下がっていった。

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