第13話 水面に映る闇の声

「テュテュ」

「む?」

テュテュリスがツムギをのぞき込む。

「…ありがとう…」

「何を。」

「なんだか…安心したよ…」

「ツムギ…。」


バタン!


「師匠!起きたんスか!」

「ツムギさん!」

ドアを吹き飛ばし飛び込んできたトアンとリクに、ツムギは驚いたように目を見開く。



「…どうして」

「オレが聞きたいっスよ!お久しぶりです!」

「あの!この前はお世話になりました!」


話を聞きながら、ツムギの顔は段々明るくなる。

それにひどく安心したのは、側にいた妖精と真っ黒な犬だった。



「ルーノー」

「…」

「オレ今腕使えないんだぞ?ひでぇ奴だ」


「…いい加減にしろ!何故私が!」


ガシャン!


勢いよく叩いたテーブルの上にあった食器が音を立てた。

その音に、トアンとツムギはびっくりして首をすくめる。


「お主等…少しは静かにできんのか?」

テュテュリスのうんざりした声に、シアングとルノは互いに譲らないまま黙り込んだ。





始まりはつい先ほど。

食事が始まったはいいが、怪我をしたシアングが

「食いにくい」

と文句をいい、ルノに食わせろと絡み始めた。

煩わしそうに拒絶するルノの反応が面白いのか、シアングは段々調子に乗り、その結果先程のルノの言葉がでた。

「お主等仲が良すぎるのではないかの?」

「あったりー」

「そんな訳はない!」

テュテュリスの問いにシアングが答え、間をいれずルノが否定する。


「やっぱり仲がいいんだね」

サラダを食べながらツムギが言った。赤く熟れたトマトをシフォンに与えてやる。


「ツムギ」

「ん?」

「…ピーマンをさりげなくどけるでない」

「テュテュ…。ほらレタスおいしいよ?」

「ピーマンは?」

「…参りました」

テュテュリスの追求にツムギは頭を下げる。

「まだ食えんのか?」

「うん」

「今年31になるじゃろう?」

「…うん」

「シアング、一人で食えるじゃろ」

「は?」

「わしはツムギにピーマンを食わせよう」

「だめだめだめ!ピーマン嫌い!」


ツムギはその場から飛びのくと、怪我した足をかばって逃げだした。

「まて」

「テュテュリス!やめろ!」

追うテュテュリスの後をさらにシフォンが追っていく。



「やけに静かになったね」

「そうっスねぇ」

トアンがぽつりと言うとリクが紅茶をいれてくれた。

「正直、テュテュリスがあんなにはしゃぐのを見るの、はじめてッス」

「へぇ…」

「ちょっと悔しいッスね。師匠は不思議な魅力のある人ですけど。…シアング君、そろそろ食べないとおいしくなくなっちゃうッスよ?」

「んなこと言ってもなぁ…」

本当に手使えねぇんだよ、と言う。

その態度にルノは少し考え、それからスプーンを差し出した。

スプーンには、まだ温かいスープが。


「ほら」


「…え?」

「その右手…使えないんだろう?」

「いいのか?」

「早くしろ。腕が疲れた」

「…サンキュ」

シアングは照れくさそうに笑うと、そのスプーンを口に入れた。

「私に魔法が使えればそんな傷…」

「ん?」

「なんでもない」

肉を細かく切るとフォークに持ち替えて、今度はそれを差し出した。





夜遅く、シアングは目を覚ました。何気なく隣をみると、もぬけの殻で。

「…ルノ?」

自分のベッドに戻ったのかとルノのベッドを見るが、いない。

トアンは何か寝言を言ってるが、関係がないだろう。

ベッドから出て足を床につけると、冷たさが伝わってきた。

「どこいったんだよ…」


「ふぁ…」

何回目かのあくびをかみ殺し、ルノは再び本に目を落とした。

ただの本ではない。魔法書だ。

テュテュリスのいくつかある書庫のうち、ここは特に魔法書が多い。様々な種類の中から「氷」と「闇」、「治癒」を選び片っ端から持ってくる。

(体が拒否しているだけだ)

何か、きっかけさえあれば。

テュテュリスに寝込みを襲われた時、魔力は集まった。が、魔法として解放する前に散ってしまった。

(何か手はあるハズ)

集まったことは集まったんだ。

そう自分に言い聞かせて次の本のページをめくる。


ただ、「氷」に関係する魔法書が少ないことがルノを不安にさせた。

そもそも氷の属性の魔法が使えるのは、氷使いの一族に限られている為、存在は認められていてもあまり多くない。

治癒は神官達の得意分野だ。その為本の数も多い。適当に飛ばし読みしながら、どんどん目を通していく。


(皮肉だな…神から遠い存在の私が、神官と同じことができるなんて。神の国と言われるエアスリクの前王、父さんから受け継いだ力…。)


ふと、思考が止まった。

手元にある本の表紙には、「呪われた闇魔法について」と書いてある。

ゆっくりと、考えが動きだした。


(父さんから受け継いだ…?治癒魔法は、神の…光属性の魔法。母さんから闇を受け継いだ私が何故?!)

どうしようもない不安に、心臓が早鐘を打った。

(いや、私の瞳は紅。闇の者だ…だが、もし…闇の力が大きいから、私の瞳は紅いだけで。実は私の中にほん少しの光の力があったとしたら──…)


もしそうだとしたら、私に受け継がれなかった分の闇の力は。



「!」

そこまで考えて、思考を止めた。

震える手で羽根ペンを握り、今考えたことを忘れようと何か書こうとするが何も浮かばない。

(忘れよう。闇は全て私に受け継がれたんだ。そうに決まってる)



だが、


もし。



「忘れろッ!」


考えが暴れ出す前に羽根ペンを振り上げ、


「やめろよ!」

強い力で手首を止められた。

みれば、息を切らせて怒りに目を光らせたシアングがいた。

「お前」「勉強熱心なのはいいことだがな」

言葉を遮られ、ルノはむっとしてシアングを見返す。…が、すぐに目を反らした。

何故なら、シアングの金の瞳にある、冷たい怒りの光に恐怖を覚えたからだ。

「今何しようとしてた?」

「っ…ッ」

「オレの目見て答えろ」

つかまれた手が痛い。

シアングの力は段々強くなり、まるで腕を折られるのではないかという錯覚に陥った。

「…嫌なことを考えてしまった…。考えが止まらなくなって!」

「…」

「それだけのことだ」

「…なにを考えたんだ?」

「お前には関係ない!」

手を振り解こうとするが、振り解けない。

「関係なくねぇ」

「いい加減にしろ!」

「嫌だね」

「お前ッ!」

「…まじで…間にあってよかった…」

「?」

急に安心したようにシアングは座り込み、ため息をはいた。

「オレさ…。ほんっとお前が怪我すんの嫌なんだよ」

「ただ手に刺そうとしてただけだ」

「それも嫌なんでね」

「…過保護め」


ルノはあきれてそう言うと、シアングに向きなおった。

「………実は」

「うん?」

「まだ確信はもてない。嘘だと思いたいんだが…」

「話してくれんのか?」

ルノは無言でうなずくと、口を開いた。


「私は闇の魔法も使える。それを獣と人を合成させる、繋ぎに使われたんだからな」

「…ルノ」

「だが、私の治癒の魔法は光の属性にはいる」

「お前の親父は光の魔法も使えたんだろ?」

「あぁ。ということは、私も光の魔法をわずかだが受け継いだことになり…」

「だな」

「…おかしいと思わないか?」

「は?」

「私とチェリカが受け継げる魔法の数字を10として、火を5、氷を5、光を5、闇を5として考えろ」

「よくわかんねぇ」

「バカ。まず私に氷が5、チェリカに火が5。わかるか?」

「…。まぁな」

「そして私に光が1、チェリカには4」

「ふーん」

「最後に闇だ。私に闇は4しか入らない。これで私は10になるからな。…だが、私に闇が4しか入らないということは、残った1はどうなる?」

「…チェリちゃん?」

「そう。それに光が強い分影も濃くなる…。」

「そんなバカなことが?」

「ありえる!」

半分叫ぶようにしてルノは言った。

「もういいだろう?手を離せ!」

「嫌だ」

「…ッ」

「そんな顔すんな…嫌がらせしてんじゃねぇ。お前をほっとけねーだけだよ」

シアングの目から怒りは消え、悲しみと心配するような色が映っていた。

「…哀れみの目で見るな」

「別にそんな」

「私はお前が苦手だ!ずかずか人の心に入ってきて!どうしたらいいのかわからなくて混乱するんだ…ッ」

ルノは力なく言うとうつむいてしまった。

シアングは困ったように頭を掻くと、しゃがみこんで視線を合わせる。

「悪かった。ごめんな、混乱させて」

「謝ってすむか!」


「おうおう喧嘩か?」

くるり。

小さな妖精が楽しそうに一回転すると、そのままルノの肩にとまった。

「お前は…」

「よ。俺ぁシフォン。覚えたか?」

「…まぁな」

ルノは羽根がくすぐったいのか眉を顰め、シアングに手を離すように言った。

「なんでこんなとこにいんだよ?」

「おー色黒。いい勘してんじゃん」

「うるせ」


「こらこらシフォン。いたずらしちゃ駄目だよ」


ふんわりとした声に振り返ると、黒い犬をつれたツムギがいた。

「こんばんわルノ君、シアング君。仲がいいのはいいことだ」

「誰が!」

ルノが怒鳴って机を叩いても、ツムギは動じない。

柔らかく微笑むと、本棚から一冊の本を取り出した。


「何の本だ?」

「ある剣についての本だよ。…月千一夜という剣のね」

「げっせんいちや?」

「聞いたことないかい?千の満月と一の太陽の光だけを浴びた石から作った剣はそう呼ばれるんだ。それは精霊達を殺せる唯一の剣…刀身は月の光のように青く輝いている」

「それがほしいのか?」

「…前はほしかった。でも今はそれが怖い」

「何故?」

「私が…。…。ごめん。あとこの剣の伝説が気になって…」

「伝説?」

「…汝、月千一夜を持つもの。千の精霊を斬りその青き刀身が赤に染まりし時、汝の願い叶えよう…」

「ツムギ」

シフォンが悲しそうにツムギの方に飛んでいった。

「俺がついてる。もう見てるだけじゃねぇから」

「…うん」


ルノとシアングは顔を見合わせて、首をひねった。


「…ツムギ」

「何?ルノ君」

「お前は魔法が使えるんだろう」

「一応、ね」

「…なら…」

ツムギは微笑んで、言葉をまった。


「私に教えろ」

「お前ーそれが人にものを頼む態度かー?」

「シフォン。…いいよルノ君。弟子は君で、三人目だ。簡単な基礎を教えなおそう」

「本当か!」

「わう」

ふわふわの黒い犬がこれまたふわふわの尻尾を振った。

「シアング君はもう寝てて」

「な!?オレはいるぞ!?」

「駄目。さ、おやすみなさーい」

その言葉が終わる前に、黒い犬はシアングの服の端をくわえると暗闇の中に消える。

「離せー!…なせー…せー…」

シアングの声が徐々に遠くなる。


「さてルノ君」

「ん」

「君にとって魔法とは?」

「…」

いきなりの質問に戸惑い、それから考え込んだ。

「直感でいい」

「私に…とって……。…鎖」

「へぇ?」

ツムギは興味が出たようで身をのりだした。

シフォンはツムギの肩の上であくびをしている。

「氷は鎖。決して逃れられないもの。癒しの魔法も闇の魔法も同じ」

「じゃ…今から君にとっての魔法をまったく別なものに考えるんだ」

「別なもの?」

「うん。それが何かは君が見つけて。」

「…証明と…言葉」

「ふんふん、何故?」

「私の、私がいるという存在の証明と、私の言葉」

「…その気持ちを忘れずに。魔法は気持ち。それが一番の基礎。気持ちがそのまま力になる」

ツムギはそう言うと瞳を閉じた。


ザァ…


ツムギを中心に小さな風が起きた。徐々に強くなる風に、本のページが音をたててパラパラとめくれる。


「な…?」

「ルノ君。魔法は強い気持ちに反応する。私の場合は、…逃げる為だった」


ルノは呆然として、目の前の光景を見ていた。

目の前でツムギは相変わらず微笑んでいるが、その足は確かに、

宙に浮いている。


「ツムギ」

「シフォン、私は後悔してない」

「すごいな…」

「そう?ふふ。」

「…なぁ、シフォンとお前はどういう関係なんだ?」

聞きながらルノはおそるおそる剣にさわる。

「…一身同体みたいなものかな」

「一身…?」

「ゆっくり話すよ。さぁ、集中してみて」

ふわり、と、ツムギが近寄ってきた。

「…ッ」

「剣が怖い?」

「…いや…」

「無理はしないで。そうだ、剣を使わないでやってみて」

「え?」

「きっとできる」

その幼そうな顔には説得力がある。

言われるままに手をかざし、指に集中する。




やがて、


かすかだが暖かい光が。





「スワロフスキィ」

「…」

灰色の髪の隙間から、赤い瞳が睨んだ。

「ごめん。スイ」

「何のようだ」

気だるい体を起こす。

「相変わらず不健康だね」

「フレアルーン…」

フレアルーンと呼ばれた少年はペパーミント色をした髪を揺らせた。

「あのね、お嬢と王子の行方がわからない」

「…私にどうしろと?」

「見つけたら教えて」

「…」

「そんなヒマないってのはわかるけどさ!このままだったら天空の国が闇にのまれちゃうんだよ」

「闇は悪いわけではない」

「スイ!」

「…何だ」

「馬鹿ー!」

フレアルーンは大声で怒鳴ると、パタパタと走り去っていった。




「夏草のにおい

揺れる花は光をはじいて

視界をふさぐ綿帽子

さよなら…さよなら

背をむけた僕を押し出すのは温かい風

いつか…いつか

なんて悲しい別れだろう?

この風は貴方の元にも届くのでしょうか」


「タツさん…」

「なんだい?チェリカ」

「元気は出るんだけど、…なんていうか悲しくなるね」

「そうかい?」

「うん」

タチュールは竪琴と持ったまま、複雑な顔をした。

「笑っていてくれたまえチェリカ。」

「え?」

「…笑っていてくれ」


大陸は、もう目の前で。












聞こえるか?

「え?」

誰か、聞こえるか?

「誰?」

誰でもいい!俺を止めてくれ!

「どこにいるの?誰?」

俺を止めてくれ!このままだったら、俺は!


ピチャン。

水音が響いて、それから何も聞こえなくなった。




「わん!」

「…ん?」

耳元で犬の声がした。眠りの波がひき、トアンは目をさます。

「あ、あれ?君はツムギさんの犬だよね…おはよう」

「わう」

「あ、ツムギさんシンカさんのこと連れてなかったけど…君なにか知らない?」

「くーん…」

「知らないよね」

半袖のシャツ一枚ではかなり寒い。

トアンが布団からでてこないのを見ると、犬はトアンの上着をくわえてきた。

「あ、ありがとう」

「風邪ひくのだ」

「そうだよねー…え?」

右手に腕を通して、止まった。

「君、今、喋っ…?!」

「我が輩はここにいるのだ。びっくりしたか?」

「君、シンカ!?」

黒い犬…シンカはウィンクするように片目をつぶった。

「修行がたりんのだ」

「えーッ?!だって!」

「ほれ起きぃ。皆を起こすぞい」

爪を鳴らすとシンカはシアングのベッドにいく。

「わん」

「うっせー…」

ぬっとでてきた腕がシンカの頭をつかむ。

まるで目覚まし時計を止めるようだ。

「シアング…いつも起きるの早いのに…」

「夜更かしでもしたのだろ」

シンカは毛布の端をくわえると、ずりおろす。

「んぁー…まだ寝かせてくれぃ」

「わん!」

「…の……犬ーッ!」

がばりと起き上がって身をふるわせた。

少年というか青年という年頃にふさわしい体つき。小さい頃から相当鍛えているんだろう。

「さみぃー」

「シアングおはよう」

「よートアン…なんだよこの犬」

「早く起きるのだ」

「あー…あー?!」

「起きたか?」

「い、犬が喋った…」






「…アリスの箱庭」

「え?!」

ルノの言葉にツムギは聞き返した。が、返事は返ってこない。

先ほどからルノは疲れたので眠ってしまい、今のは寝言だ。

「ツムギ、アリスの箱庭って」

「…うん。どうしてルノ君が…?」

「たぶん、こいつがあいつらの言ってた闇の種…」

シフォンはあくびを一つしてからツムギの肩にとまった。






『ルノちゃん』

『や、だ…嫌だーッ!あ、ッぅ…』

『あんまり手こずらせないでくれ』

『くッぁ…痛っ…』

『いい声で泣くねぇ』

『や、め…あぐッ!』

『ふふ。イイ子だ』


何だ…?

何だこの記憶…?!


『君はやっぱり合成獣にはできないな…ルノちゃん』

『ぃッ…!…助け…ウィルーッ!』


やめろ!嫌だやめてくれ!


『早、く…ッ!終わ、れぇ!』

『この実験は嫌いかな?』

『うぁあああッ』


嫌だ…


『ルノちゃん…安心して?君だけは守ってあげるからね』

『…ぐ…』

『さて、血を少しもらうよ。あと闇のカケラも』



…冷たい台の上で、冷たい鎖をつけられた私は、いろいろな実験を受けた。

白衣は怖い

白衣が怖い


普段はたくさんの研究者がいた。


だが、目の前の片眼鏡の男一人にされる実験は、何よりも嫌だった。

男が作った薬を飲まされ、体の内側からくる激痛に耐える私を楽しそうに見る男。


痛くて苦しくて、

…。


何故…いまさら…



『ハクアス』

別の男の声がした。

『あ、どうしたの?今は実験中だよ?』

『…そろそろそいつを休ませてやれ』

『えー』

『ハクアス!』

『…わかったよ。ルノちゃん、お疲れさま。トウホ君にはかなわないからね』





「!!」

慌てて体を起こす。

腕を確かめる。が、そこには鎖なんてついていない。

それなのに、


あの嫌な感覚が、する気がする。


「何だというんだ…」


「ルノさん」

「!」

突然話しかけられて驚くルノに、トアンも少し驚いた。

「ど、どうしたの?」

「…トアンか」

「そんなに驚かないでよー。朝ご飯だって」

「……すまない」

「ルノさん?」


顔をあげようとしないルノに、トアンは慌てだした。

「具合悪いの?!」

「違う」


「何やってんだ」

突然、シアングの声がした。

「…シアング?」

「どうした?」

「何でもない」

「待てって」

「私にかまうな!」

「おい、お前顔色めちゃくちゃ悪いぞ」

シアングがルノの肩に手をかける、と。

「ひッ…離せ!」

「な、なんだよそれ!」

「うるさいうるさい!放っ…ぅ…ッ」

ハッとしたように口を押さえ、ルノは駆けだしていった。


残ったのは、呆然とするトアンとシアングだけ。



食堂に現れたルノは、真っ青な顔だった。その後ろにリクがついている。

「今は何も食べたくないかもしれませんが、果物でも食べますか?」

「…いらない」

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