エッセイ 親


親の心子知らず、子の心親知らず。

親っていうのは世界にたった二人しかいない。

お父さん

お母さん

けれどこの二人は他人なのです。

紙一枚の契約で他人になれてしまう。

不思議だよね。

子供はどちらかの味方ではない。どちらにも味方なのです。

親の無意識の一言に、無意識の行動に傷ついても、敵にはなれないのはなんででしょう。

これはきっと親も同じ。

愛されているから傷つけあう力がある。

互いに行き過ぎたとき、無理やり突き放したり、無関心になろうとする。

なんかね、こうなると寂しいんだよね。

怒ってるほうがましだって本当に思う。

同じ釜の飯を同じ食卓で食べられるということは何よりの贅沢だ。

親の料理の味は、子にとって一生の味だと思う。

飯が不味くても家族で食べれば旨い。そういうもんだ。

助け合えない家族もいれば、寄り添う家族もいる。

様々な家庭の形がある、子供も親も互いを選べない。

けれど「一生」だ。

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