七章 強さの秘密
強さの秘密 01
ここは秘密基地の中。
黒い魔法少女と別れた俺達は、鳩野郎を交えて話し合っていた。
「すまないな、お前達。俺一人で勝手に話を進めちまって」
俺の謝罪の言葉に、ツキコは何故か嬉しそうな表情で返事をする。
「ううん。だって、あの子と協力出来るかもしれないんでしょ? 突然攻撃されたりして怖かったけど、あの子はきっと良い子だよ」
「ふむ、ツキコがそういうなら、本当にそうなのかもしれないな」
「うん。それにね……」
ツキコは虚空を見つめながら、記憶を思い起こすようにして言った。
「多分、あの子なんだと思うのー」
「ん? 何がだ?」
「ほら、最初に蜘蛛と戦った時、隊長に言ったでしょ? 昔街の中で同じような蜘蛛を見た事があるって。そしてその時に、黒い格好をした女の子に助けられたって」
「あーっ、そういえばそんな事言ってたな」
なんてこった。あれって、夢の中の話じゃなかったのか。
「きっとね、あの子は私達の知らない所で、この街の為にずっと戦ってたんだよ」
「……ふぅむ……」
俺がツキコの話に頷いていると、鳩野郎が納得したように話し出した。
「なるほどね。ツキコはやはり魔法少女としての才能が高かったんだ。普通の地球人では認識さえ出来ない上位次元の宇宙生物や魔法少女を、Cのクオリアによる調整も無しに見る事が出来ていたのだから。だから教えてもいない魔法を、自分で工夫して使う事だって出来た」
「ツキコちゃん凄いっ!」
「えへへー。照れちゃうー」
鳩野郎やヒナタの賞賛に、ツキコは頭に手を当てて
「ツキコが言った通り、あの子は我々がこの街に来る以前から、既に魔法少女として活動していたんだ」
「先輩魔法少女って訳か。それで、修行したらこいつ等は、少しでもあの子に追いつく事が出来るのか?」
「結論から言うと、短期間に彼女に追いつくのは不可能だ。彼女の力は一人で君達三人を遥かに凌駕するからね。だが、近付く事は出来る」
「……近付くって、どの程度だ?」
「そうだな……。強さは追いつけずとも、完璧にやるべき事をやれたら、三人全員で彼女一人と同じ位の仕事は出来るようになるかもしれない」
鳩野郎の言葉に三人が顔を見合わせた。
「あんな化け物みたいな子と、私達が同じ位の……」
思わずクウが言葉を漏らす。
「……十分だ。それで、どうすればいい?」
「ふむ。いつになく真剣そうだな?」
鳩野郎の言葉に、懺悔の意味もこめて素直に俺は心情を吐露した。
「……俺はお前の忠告を無視して、二度もこいつ等を危険な目に合わせちまった。管理者として失格だ。どうしようもないクソ野郎だっ。……だが、俺の代わりが務まる奴は他にいない。そうなんだろ?」
「……ふむ、その通りだ。なかなか理想的な精神状態のようだね」
「だから教えてくれ。あの黒い魔法少女の強さの秘密を」
俺の懇願にいつものような
「……分かった。説明しよう」
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