魔法少女をプロデュース? 03

「……えっと、お前ら。一応これで信用してくれたかな?」


 俺の問いかけに対して。


「うん! 私は隊長の事を初めから信じてたよ!」


 ツキコが即答し。


「……いたずらにしては、あまりに手が込んでいるわ。とりあえず、何かおかしな事になったんだとは思う」


 クウが半信半疑ながらも納得してくれた。


「ああ。俺だって何がなんだか、まだよく分かってないからな……」


 俺は眉間にしわを作りながらそう零す。

 そんな俺の表情を不思議そうに伺いながら、クウは尋ねてきた。


「それで、これからどうするの?」


「そうだな。とりあえず、今日の所はクウとツキコで一緒に帰ってくれ。ここから二人の家は近いだろ?」


「ヒナタは?」


「俺が背負って連れて帰る」


「連れて帰るって、ひょっとして隊長の家に?」


「ああ。俺もヒナタも家には誰も居ないからな。どっちの家に寝泊りしても変わらんだろ。布団もあるし」


 それを聞いて、クウが少し複雑な表情をして言った。


「だ、駄目よっ! 年頃の男女が一つ屋根の下で二人きりなんて……」


「お前な、ガキの頃からの付き合いなんだから、いい加減俺のことを信用しろよ」


「長い付き合いだから、隊長がエッチなのを理解しているんでしょ」


「ぐ……そこは否定出来ねぇじゃねぇか……」


「とにかく、二人きりは駄目。ヒナタが全然起きないのをいい事に、隊長はぐへへへへーっていたずらするかもしれないわ」


「ぐへ……ほんと信用ねぇな……」


 そこまで話を聞いていたツキコが、何かを思いついたように勢いよく手を上げた。



「はーい。そこでツキコちゃんに良案がありまーす」



 キョトンとした表情で、俺とクウがツキコの方を見る。


「あのねー。今日はー、ツキコちゃんの家で『お泊り会』をしましょー」


 ツキコの提案に、俺はなるほどと頷く。


「お泊り会か……ふむ。確かに今は夏休み中だし、俺とヒナタは全く問題ないな」


「ちょっとちょっと、こんな時間に急に押しかけたら、ツキコの家が迷惑なんじゃないの?」


「大丈夫っ! お母さんってば、いっつもみんなを連れてきなさいって言ってるからっ」


「という事は、後はクウだけか」ジー


「……うっ……」


「ねぇねぇクウちゃん、どうするのー?」


 俺とツキコから期待の眼差しを向けられ、やれやれといった表情でクウは答えた。


「ああもうっ。分かったわよ、ちょっとうちに聞いてみるからそこで待ってて」


 ポケットから携帯電話を取り出すと、クウは背中を向けて自宅に電話をかけた。


「あ、もしもし? 私だけど。うん、花火綺麗だった……」




 暫くするとクウは、俺の方へと歩み寄ってきて携帯電話を差し出してきた。


「はい、お母さん。隊長に代わってって」


「おう。そうか」


 俺はクウから携帯電話を受け取り、耳に当てた。


「もしもし、代わりました」


「あ、タイト君? お久しぶりねぇ」


「いえいえ、今日の昼にお会いましたよ。クウを迎えに行った時に」


「あら、そうだったかしら? それはそうとタイト君、クウの事をよろしくねぇ」


「あ、はい。勿論です」


「あの子ったらああ見えて、時々勝手に突っ走っちゃう所があるから。その時はちゃんとタイト君が守ってあげてね」


 お泊り会で、一体何を突っ走るというのか。


「ははは、分かりました。それじゃ、またクウに代わりますね」


「うん、お願い」


 話を終えた俺は、携帯電話をクウに返した。携帯電話を受け取ったクウは、母親と一言二言会話を交わすと直ぐに通話を終えたようだった。


「まったく……。何でうちの親は、こんなに隊長の事を信用しているんだか」


「日ごろの行いがいいからな」


「どの口がそれを言うか」


「ねぇねぇ、お泊り会? お泊り会決定?」


 ツキコが嬉しそうな顔で俺とクウに尋ねてきた。


「ああ、決定だ。とりあえずヒナタを運ばないとな」


「やったぁー! それじゃ隊長、ヒナタちゃんをお願いー」


「おう」


 二人に手伝ってもらいヒナタを背負うと、俺達はツキコの家に向けて歩き出した。

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