第13話 次ぐ手立て
「…」
「…どうだ二階堂」
「いや、その…あの、早乙女、落ち着いて聞けよ?」
二階堂がワンクッション入れて私に携帯の画面を向ける。
「…っ」
息が詰まった。一瞬呼吸の仕方を忘れたように、息ができなかった。
「…どう、いう…?」
『俺は、兄ちゃんと会えない』
視界が歪み、頬を涙が伝う。
どうして、何で会えないなんて、だって。
謙也も、離婚納得してなかったのに…。
ピコンと、またふきだしが更新される。
『俺のせいだから。今は、離婚の理由も納得してる』
「…どういう事…? 俺のせい、って」
「おい早乙女、落ち着け。ちゃんと意識して息吸え」
空気が肺まで入らないくらい浅い呼吸を繰り返し、涙を流す。
わからない。どうして?
「…早乙女くん、大丈夫だ。大丈夫だから、ちゃんと呼吸してくれ。ほら、大きく息を吸って…」
いつの間にかパソコンから顔を上げたひなちゃんが、私の背を摩りながら言う。
私はそれに従って大きく息を吸った。
呼吸が震える。
「…そう簡単に、再会というわけにはいかないか…」
「二階堂、この部屋冷蔵庫あるでしょ。飲み物入ってないの」
「お茶なら…」
東条さんが冷蔵庫からお茶を出す。
それを律儀にコップに注いで差し出してくれた。
「ごめ、なさ…」
「礼は後でたっぷり言わせてあげるからさっさと飲んで」
東条さん酷い。
だけど、手まで震えてきた。呼吸もまだ震えてる。
零さないように、そっと淵に口をつけた。
「…もう、大丈夫よ。ありがとう」
「ったく、びっくりさせんなよ。急に過呼吸起こしかけやがって」
二階堂はすぐに神妙な顔になり、腕を組む。
「…別の手を考えよう。向こうに会う気がないなら、こちらから動くしかない」
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