第8話 食堂
ガヤガヤと賑わう食堂。
私達四人は、空いている席を探しながら二手に別れて食券を買っていた。
私と二階堂ペアが食券を買ってカレーを持っていく係。一人で二つとか、持てるかしら…。
ひなちゃん東条さんペアが席探し。見つかったら東条さんが携帯に連絡を入れてくれるらしい。ひなちゃんとアドレス交換するチャンスかと思ったんだけど…そう上手くセコムは躱せないわね。
「そういえば、ひなちゃんと東条さんは普通盛りでいいのかしら。聞いてくるの忘れちゃったわ…」
「あー、深谷の方は少なくしてもらったほうがいいかもな。東条は普通の食ってるけど、深谷はいつも少なくしてもらってたと思う」
な、何で知ってるのよ二階堂…。
もしかして、ひなちゃんの事狙ってるの!? やめて私のライバルにならないで!
「いや違えし! 俺は東条を見てた訳で…、つか、あいつら何かと一緒に行動してるから自然と視界に入るっていうか…」
「あ、東条さんを見てたらひなちゃんのことも見えたってこと?」
「違っ、見てねえし!!」
「さっきと言ってる事違うじゃない!?」
なんなのよこの子!
あ、そう言えばツンデレだったわね!!
「あらぁ〜? 見ない子ねぇ、お泊まり?」
「あ、はい! 普通盛り二つと、小盛り一つと、大盛り一つお願いします」
「はいはい、じゃあ半券持って進んでねぇ。お茶とスプーンはそこよ」
「ありがとうございます」
「…っす」
半券を貰って、カウンターを進む。
「…席取りの二人は、お茶? お水?」
「二人ともお茶だ」
…なんか、二階堂いてよかったわ…。
私、まだひなちゃんの事何も知らないのね。
「はい、カレー四つね。持てる?」
「大丈夫です! ありがとうございます」
大丈夫ね、うん。持てるわ。
一人二つカレーを持って、二階堂が携帯を開く。
「入口から一番遠い、窓側だと」
「んー、あっちかしら。行きましょ」
すたすたと人の間を縫って進む。
ええと、窓側? 左かしら。
「早乙女ー」
「あら東条さん。席取れた?」
「取れてなかったら連絡してない。一個貸せ」
東条さんの分のお盆を渡し、また進む。
二階堂、そんな目で見ないでちょうだい…。軽く殺気を感じるんだけど…。
そうしている内に、四人席にぽつんと座ったひなちゃんが見えて来た。
「ひなちゃん!」
「…ああ、早乙女くん。ありがとう」
「いいえ、いいのよ。ひなちゃんの分は二階堂が待ってるわ」
「ありがとう二階堂」
「…別に、どうってことねえよ」
あらら照れちゃって…。
でも東条さんが凄いオーラ発してるから離れましょうか。私も嫌だし!
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