第12話 羽川⑥
どうしてあんな事をしてしまったのか今でも解らない。
色々な悪い事が重なって、あんな事をしてしまったとしか思えない。しかし、どう取り繕っても自分の行為が最低最悪の部類に入る事は事実だった。
僕はその時、最終面接まで行っていた企業に落とされて自暴自棄になっていた。まさか最終面接で落とされる事があるなんて思っても居なかったがためにショックは大きかった。
そのとき、勢いで三笠さんをデートに誘ったのだ。面接に落ちて、ショックを受けている事を仄めかすと彼女は誘いに乗ってくれた。
きっと彼女は同情心から誘いに乗ってくれただけだったのだ。しかし、僕はその時冷静な判断力を失っていた。僕は勢いで彼女に告白したのだった。
結果からいえば、告白は受け入れられなかった。
僕はそれでも彼女を諦められなかった。僕は彼女の後をつけていた。
言い訳にしかならないが、最初から彼女をどうにかしようと考えていた訳ではなかった。とにかく今は彼女から離れたくないと思っていただけだったのだ。
彼女は一人暮らしだった。しかも、セキュリティも杜撰なごく普通のアパートだった。
彼女が家に入るタイミングで僕は彼女に迫り、半ば無理矢理部屋の中に通してもらった。もう一度話がさせて欲しいと言って。
やはり、彼女の答えは変わらなかった。数時間で心が変わるはずがないのだから当たり前だが。どれだけ拝み倒しても聞き入れてくれないとなると僕は俄かに怒りの感情が湧いてきた。就職活動で鬱屈した感情が蓄積していたのも原因の一つにはあったかもしれない。
思わず、僕は彼女を押し倒していた。
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