第六話 模試直後

「三村ぁ、どうだった?」

「ショック……」

「いかんかったん?」

「はああ。甘くねーなあ」

「どこ志望?」

「S大の経済」

「今まではいけてたの?」

「ぎりぎりな。いっつもC判だったんだけど、今回はたぶん届かん」

「間に合うのか?」

「言わんといて。年明け一週間は睡眠ゼロでやらな」

「って、おまい、まだバイトすんの!? それはなんぼなんでもヤバいでしょ!」

「だあかあらあ。天からカネが降ってくるなら喜んで受験勉強すっけどよ。そうはいかねえんだって」

「うああ」


◇ ◇ ◇


「うけけ。模試の教室からつまみ出されるなんてさー。恥ずいやつ」

「からからからからうっさいなーと思ったら、鉛筆サイコロ転がす音? ばっかじゃないの?」

「うちのがっこの恥よねー」

「あれだけ遊び回ってりゃもう満足でしょ? 一生クソニートやってりゃいいじゃん」

「大学行くなんて、冗談でしょー? それもS大の経済ー? 年末ジャンボで一等前後賞当たるより率低いね」

「あんたが行けるなら、サルでも行けるわ」

「きゃははははははっ!」

「何よ、その目」

「りこ、ほっとこ」

「んだ」

「行こ行こ。受験前にバカがうつったら大変だもん」

「そうよねー。どうせ、わたしらのこともうざいんだろうしさ」


◇ ◇ ◇


 惨敗だ……。


 ね、寝ちまった。


◇ ◇ ◇


「ぐすっ、ぐすっ」

「ちょっとぉ、すずぅ。そんな泣くほどひどかったの?」

「ぶむ。さ、最初の……問題……に……集中して」

「うん」

「それしか……できな……かったの」

「あーあ」

「ぐすっ」

「S大の経済だっけ?」

「ぶむ」

「志望校……変えたら?」



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