魔法使い?サリーちゃんのアトリエ ~センチネルの街~ EP1

なんだがお腹が苦しい気がしますが気のせいでしょう。

寝ぼけ眼で胸元を見ると、赤髪、ぼさぼさといった感じそれも腰まで届くスーパーロングの幼女が生まれたままの姿で私に跨っている…!? いろいろ見えてますYO!!


頭を振りつつ状況把握に努めますが、無理なようです。

目をつむりよくよく考えます。

どういう状況でしょう…!? 幽霊とか?

クールになるんだ… 幼一 OK!


次に目を開けた時はその光景を魂に焼き付けようと誓います。

目を再度目を開けて周りを見てみます。


胸の苦しさは取れ、先ほど目撃した裸でなおかつ、私に騎乗位していた幼女の姿はもうありません…。

妄想だったのでしょうか…?


「あれ…? 何だったのでしょう?」

はい、気持ちのいい朝です。


ユーディちゃんという可愛らしく聡明な幼女に近くのベッドにはラピスちゃんという幼女が寝ています。

ここはなんという天国なのでしょうか。


「きゅー きゅー」

私の横で寝転がっていたアンバーが目覚めたようで、私の顔を舐めてきます、たぶんですが、私を起こしているのでしょうか?

アンバーの頭を撫でてあげます。


ラピスちゃんがまだ寝ているようなので素早く昨日買った服に着替えます。


さっきまで来ているいた服とスーツを洗濯… スーツは本来洗濯出来ませんが贅沢は言えません。

廊下に出て誰か見つけて服とかを洗濯したいです…。

適当に屋敷の中を歩いていると、メイドのマリさんが居たので声を掛けておきます。


「おはようございます マリさん」


「おっ おはようございます、幼一さん

朝早いのですね」


「もとより早起きだったもので…

それでこの服を洗濯をしたいのですが…」


「それでしたら、私が洗濯しておきますよ?

この家の洗濯は私がしていいますので」


「お願いしますね マリさん」


「はい」

そういうと、私は服をマリさんに預ける。

自分で洗濯しようと考えていたが、これで手間が省けた。


やる事が無くなったので、時間つぶしに散歩してからラピスちゃんを起こしてご飯を食べようと思います。


部屋に戻るとラピスちゃんは昨日服屋で購入した ”童貞を殺す服” を着ていました…。

すごく、清楚な雰囲気が出ていて、かわいいです。


「どう? お兄ちゃん?」


「とてもとても 素晴らしいです 清楚な感じがしてGOOD!」

かなりテンションが上がってしまって変な口調ですが気にしないでください。

対照的にラピスちゃんは服が褒められたことがうれしいのか大変喜んでいる様子。


「えへへっ お兄ちゃんが喜んでくれたよ…」


こんな可愛らしい服を着たラピスちゃんとデート(本とかを探すために街を散策)出来るとはとても喜ばしいことですよ。


朝食を食べ終わり、エバンスさんとユーディちゃんに魔法関係に詳しいところは無いかと聞いてみると首都にある魔法アカデミーが一番だと言う事らしい。


いつものようにアンバーを抱っこヒモに入れてと、準備完了です。

「きゅー きゅー」

アンバー一人留守番はかわしそうですからね。

うーん ドラゴンさんの子供と再会イベントを済ましてからか一度訪れてみましょうかね?


「今度は街のどのあたりを散策しようかな…?」

そう、呟きつつ屋敷から出ようとしていたらユーディちゃんに声を掛けられました。


「幼一に、ラピス 少し待てっ

確か魔法関係の本とかを探すと言っていたなっ

少し心あたりがあるのだっ」


「本当!? ユーディちゃん?」


「ああっ 今頃思い出したのだっ

私の持っているケルベロス2号を作ったのも奴だ

この街にその奴の店があるのだ、そこになら魔法関係の書物があると思うっ」


「助かったよ ユーディちゃん」


そうして、ラピスちゃんと楽しいお散歩デート。

ユーディちゃんに教えられたとおりに歩くと、住宅街の外れのほうに一軒だけ煙突の付いたお店のような建物を発見しました。

見た目的には何々のアトリエみたいな感じで、多分ですが錬金術師の家だと思うので確かめてみようと思います。

「ラピスちゃん あのアトリエのような店に行ってもいいかな?」


「うん…?

お兄ちゃん、わざわざ私に断りを入れなくても大丈夫だよ

あれがユーディちゃんが話していたお店でしょ?」


アトリエだと思わしき家の中に入ります。

看板には ”サリーちゃんのアトリエ” と書かれていましたので、やはりアトリエで正解のようです。

たぶん経営してるのはサリーちゃんという名前の錬金術師なのでしょう、主な攻撃手段がダイナマイトなのでしょうか、それにマハリクマハーリタ。

心の中で危険な想像をしてしまいます。


「すみませーん

だれかいますか…?」

人の気配はしますが、返事はありません。

奥のほうで物音はするのですが、忙しいのでしょうか…。


「お兄ちゃん… 返事がないね…」

店の中を見回してみると様々な薬品の瓶や薬草、水晶などが雑多に所狭しと並べられています。


ボンッと軽快な音を立てて店の奥にある扉より煙が噴き出し、人物が現れます。

「こほっ こほっ… うわーんー… またっ 失敗しちゃったよー…」

なんともお約束な感じの爆発から黒煙、それに続く煤まみれの錬金術師が、”失敗した”と言いつつ出てくるという完璧すぎる演出です。

爆発音に驚いたのかアンバーが暴れます。

「きゅっ きゅっ」


「落ち着いて、アンバー…」

慌ててアンバーを落ち着かせます。


「あのー ごめんなさい…」


「ああっ! お客さん!? わわっ

あわわわっ」


焦ったためか凄い物音と共にこけているらしい錬金術師さん… この人かなり天然な予感がするのですが。

「あの人… 大丈夫かな?」

あまりのこけ方にラピスちゃんに心配される始末。


煙が完全に晴れて錬金術師さんの姿が明らかになります。

茶色色の髪で、三つ編みおさげを二房にした髪型の幼女が顔中煤まみれで居ました。

その幼女と目が合いました…。


「大丈夫かな?」


「だっ だいじょうぶでぅ」

焦った様子でしゃべるから舌を噛んだようだ…。


「あー… うん… 焦らなくて良いよ

待ってるから」


コクコクと頭を上下に振る三つ編みおさげ幼女…。

しばし待っていると舌の痛みから回復したのかしゃべり出す。

「そっ その ごめんなさい…」


「えーと このお店には魔法とかの本とか置いてるかな?」


「すっ 少ないけど ありますよ」


三つ編みおさげ幼女の指さす方向に少ないながら本が並べられています。


ラピスちゃんは適当にアトリエの中を回っていろいろな物を見ては驚いています。

「なにこれ…?」

反応がかわいいのですが、私は本来の目的を遂行しようと思います。


適当に本を取って軽く読んでみます。

「かなりわかりやすいな…」


本棚に並べられている本の背表紙に書かれてる著者に気が付きます。

「あれ…? これ…?

全部の本同じ著者?

ブリッジ・ストーン著と書いてる…」


三つ編みおさげ幼女が教えてくれる。

「そこの本はというかこのお店にある本は全部師匠が書いた物です」


「師匠?」

三つ編みおさげ幼女に振り向むく。


「そうです、このお店はもともと師匠が始めたお店なんですよ

それを私が今受け継いでるのです!」

三つ編みおさげ幼女が杖を掲げる。


「じゃあ君がサリーちゃん?」


「そうです」


「小さいのに偉いねー」


「むっ 小さいって言うなー」

ぽかぽかと幼女に体と叩かれます。


こころなしニヤニヤしてるとラピスちゃんがやってきて服の裾が引っ張られます。

ラピスちゃんが綺麗な石を紐で結んだ首飾りを持って私に見せびらかせてきます。

欲しいのでしょうか、やはり女の子ですから宝石とか飾り物は好きなのでしょう、ここは私の甲斐を見せるところでしょう。

「これが欲しいの?

ラピスちゃん?」


「うん… 気に入ったの…」

小さく呟きながら頷くラピスちゃん。


値段は銀貨1枚なのでそこまで高くはない?のでプレゼントしようと思います。

ラピスちゃん用の首飾りと本を二冊買いましょう。


「これをお願いします」

そう言ってカウンターへ行きます。

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