理解者が現れました 後編?

ユーディちゃんの執務室で本を読んで早数時間が経っていました。


「うーん ないなー」

いろいろと探した結果、魔法関係や魔術に関した本は見つかりませんでした。

どうやら、畑違いな様子で、その関係の本は置かれていない模様。


特段、魔術や魔法が禁止されていたり特殊な身分でのみ使用が出来る等の罰則はないらしい。


「そのには…」


ぐうっとすごい音が私の腹から聞こえてました。

どうやら、私は本を読むのに夢中になっていたようで、ご飯を完全に忘れていたようです。

そういえば色々ゴタゴタがあったせいで昼ご飯抜きなのでした…。


少し時間もたったので様子見でラピスちゃんの居る部屋に一旦戻って、ラピスちゃんと共に夕食にしましょうか。


ラピスちゃん(と私の)部屋の扉で立ち止まります。

私は幼女紳士というもの、このまま扉を不用意に開けてしまうと本日買った服をラピスちゃんが試着しようと着替え中でその幼い裸体を目撃してしまうという王道パターンが起きてしまうと予想が出来ます、ですが、私は紳士は紳士でも幼女紳士なのです…。


頭の中で紳士と幼女紳士が暴れまわっています。

親父とロリコンさんの勝負 ロリ…


しばしの間扉に手を掛けた状態で悩んでいると、扉が開きました…。


「あれ…? 私の苦悩は…?」


「あれ? お兄ちゃん…?

どうしたの?」

予想に反してラピスちゃんは着替えていませんでした。


「ううん… 何でもないよ?

そろそろ夕食の時間だし一緒に行こうかと思って」


「いこっ お兄ちゃん!

私、おなか空いちゃった!」


ラピスちゃんが私の手を取り、引っ張っていきます。



夕食を食べ終わり、ユーディちゃんとエバンスさんに魔法関係、錬金術等の本は無いかと聞くとこの屋敷には無いらしく、街とか他の場所で探さなければならないようです。



「アンバーを部屋に寝かしつけて…

昨日のような失敗はしないぞ…」

さすがにラピスちゃんと一緒にお風呂に入るのは童貞である、私にはまだまだ至難の業?ようなので別々に入ることを提案します。

当人であるラピスちゃんも恥ずかしがっていましたからね…。


お風呂の順番について屋敷の人たちと相談した結果、当主であるユーディちゃんが一番風呂、次にラピスちゃん、私と言う順番になりました。

エバンスさん達使用人には別にお風呂があるそうで、順番に関係は無いそうです。


お風呂の順番を聞いて私はとても嬉しくなりました。

「これは… 2人の幼女が入ったお風呂に ”私だけ” が入れる…

なんとも… 天国ですね…

お湯を飲んでもバレないでしょうか…?」


ついつい妄想が口に出てしまいます…。


ユーディちゃんに誘われお風呂にラピスちゃんが行ったので私はとても暇です。

部屋でアンバーと遊びながら時間を潰します。


「きゅー きゅー」

今度ドラゴンさんに会う時に食べ物、習慣など、色々聞いてみよう…。


そうやって待っていると浴衣ぽい姿のラピスちゃんが戻ってきました。

「ユーディちゃんに寝巻用の服をもらったよ

どう? お兄ちゃん」


そういってクルリと回転するラピスちゃん。

浴衣なような服装なので素敵な生足が裾から見えるというご褒美が起きました。

「うん… 最高だよ… ふう…」


「ありがとう お兄ちゃん」

よくよく考えれば浴衣というのは下に何も着ず羽織る服だったと思うので、今のラピスちゃんは裸体なのでしょうか…?


「お風呂に行ってくるよ」

前屈みになりつつ風呂に急ぐ私。


これから毎日この露天風呂に入れると思うとすごく幸せな気がします。

それも幼女2人が入った後なのです…。


お風呂をいろいろな意味で堪能します。

「ちょっと浸かり過ぎたかな…? ふう…

別の意味で疲れましたが…」


私とラピスちゃんに与えられた部屋の前に立ちます。

コンコンと扉をノックします。


「私だよ? ラピスちゃん 入っていい?」


返事はありませんでした…。

少し不審に思いつつそっと扉を開けて部屋の中に入ります。


ラピスちゃんのベッドを見ると人一人分の不自然な膨らみがあります。

どうやら寝ているのでしょうか?


アンバーは私のベッドで丸まって寝ています。


「ラピスちゃん、もう寝てるのかい?」

少し小声で聞いてみます。


「寝ておらぬ

それで幼一よ 一人か?」


「ああっ ルビーか 大丈夫だよ」


「そうか 起きるとしよう

私も幼一に話があるのだが…?」

そう言ってもぞもぞとシーツから顔を出すルビー。

亀みたいですごく可愛い。

そのまま、ベッドに腰掛けるルビー。


「そうだ! ルビー

ルビーに相談…と事後報告があるんだがいいかな?」


「なんだ? 幼一?

多分私の話と同じだと思うが…」


「うん… 分け合ってラピスちゃんに吸血鬼のハーフの事とルビーの事を話しちゃったよ…

ごめん、ルビーの許しや相談も無く、話してしまって…」

私は素直にルビーに頭を下げる。


「うむ… 私も少し考えたが、ラピスにも知る権利があると思うのでな…

自らに危険が潜んでいるのに理由も分からないとは… と思う節があるからな…

じゃが、私に相談なく、勝手にラピスに言った件は許さん」


幼女に睨まれるという貴重なシーンが来ました!

悶えてる場合では無いです。


「やっぱりか… 前に話した感じだとラピスちゃんには何も知らせず平和に生きてほしい

みたいな感じだったし…

本当にごめん」

日本人の必殺技 ”土下座” をしておきます。

ちゃんと心からの誠意で、”土下座”をしているのですよ?

別にルビーがベッドに腰掛けている状態なので下のほうから裾の間を覗けるとかそんなことはかんげえておりませんとも! ええ!


ルビーが私の誠意に気が付いたのか、両足をピッタリと閉じてしまいます…。


「うむむ… 確か幼一の故郷での謝罪方法だったよな…

その格好は… 別に他意があるわけではないのだなっ!」


「ああっ… ロリな神様の有瑠ちゃんに誓って!」

明らかに不審そうな目で見てきますが ”嘘は” 言っていません。


「いろいろと怪しいが信じよう…

許さないからな… それで幼一への私からの罰は…



ラピスを何があっても守れ、そして泣かすなじゃ…

それと、相談事があれば私とラピスにちゃんと相談すること、以上じゃ」



「ありがとう… ルビー」


「それで幼一の話は以上か?」


「違うよ… ルビーの件を知ったラピスちゃんには後で話そうと思っていたけど

ルビー、君はこのままじゃあまりにも不憫だ… 夜しか活動できない無いなんてさ…

出来るか分からないがルビーとラピスちゃんの二人が別々の存在で居られる方法を考えてる…」


「幼一… 気持ちはありがたいが…

そもそも難しい上に… 私は… 現状に満足… しておる…」


「そんな寂しそうな声を出して何が、”満足しておる” だ…

それにこの件はまだラピスちゃんに話してはないが、ルビーの事をすごく気にしていたからな…

ルビーが構わなくてもラピスちゃんが気にするぞ?」


「じゃが… 方法はあるのか?

そもそも…」


ルビーが喋っている途中だが割り込ませてもらった。

「諦めたらそこで終了だ…

俺の好きな言葉の一つだ、諦めないさ…

少しいい案もあるし… 同じ体を作るだけなら私の元居た世界にもあったからな…

あとは魔法とか魔術に期待して意識を分離して移す事が出来れば完璧だ」


「同じ体を作る… なんだか想像すると不気味だな…」


「不気味か、言われるとそうだな…

まあ人間での成功例は ”無い” とされてはいるがな…

吸血鬼やドラゴンまで居る世界で、魔法まで存在するんだ、絶対やってやる…」


「そこまで言われると… 賛同しなければ私が悪者みたいではないか!

酷いぞ!」

ぷんぷんといった感じで怒る幼女… とてもかわいい、そして、ごちそうさまです。


「それで… ルビー返事は?」


がっくりとうなだれた感じでルビーが一言。

「選択肢は無いようじゃの…

私も日の当たる世界を歩いてみたいかな…」

そういうと、話は終わったとばかりにルビーはベットに横たわる。


ルビーの承諾を得れたので ”明日から本気出す…” では無く魔術とか魔法関係の本を探しましょう。


「おやすみ ルビー」


「おやすみじゃ 幼一」


アンバーが先に寝ていたのでお休みを言っておきます。

「お休み アンバー 早く大きく? なるんだよ…

この場合大きくなって良いものか…?」

そういって私もベットインします。

有瑠ちゃんにまた会おう…。



そして、目が覚めると、毎度のごとくの真っ白空間。

その真っ白な空間に当然のように居る有瑠ちゃん。


「有瑠ちゃん、こんばんわー」


「幼一君、こんばんわー

どう? 何か面白いことでもあった?」

なんだか神様?なのにすごく俗的だけど気にしない。


「面白い話か… そういえば今日は襲撃にあったかな?」


「えっ? 襲撃? 幼一君、大丈夫だったの?」


「一応無傷で助かったよ…

神父さんて言う人が予想外に強くて私とラピスちゃんを助けてくれたんだよ…」


「神父さんって強いものなの?

私の知るところだと普通の人と変わりがなかったと思うけども…」


「漫画とか小説だと大体対吸血鬼の専門家で強いけど

普通はただの一般人だと思うよ…

あの神父さんが例外なだけで…」


「それと少し前に話した件に関する事だけど

ラピスちゃんにルビーの事を話したよ…」


「えっ…じゃあそのラピスちゃんはルビーちゃんの事驚いてたじゃないかな?」


「うん かなり戸惑っていたけど 納得したようで、ルビーのことを何とかしてあげたいって言ってたよ」


「いい子だね ラピスちゃんって子は…」


「それで本格的にルビーをどうにかしようと考えたわけ

有瑠ちゃんに言われたように別の器に移す案が今のところ有力案かな?」


「幼一君なら成し遂げると思うよ」


「ありがとう、やっぱり出来るか不安だったし」


「出来るという意思が大事だよ…」


「うん 頑張ってみるよ

でもそろそろ時間みたいだし、また明日?」


「幼一君、また明日ねー」


そうして私の意識は暗闇に落ちていく…。

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