エピローグ

 聖夜が過ぎ、サンタからクリスマスプレゼントを受け取った人々の歓喜の声が溢れた翌日。大役を無事終えてバカンスに入るはずのマスターは、何度も溜息を漏らしながら、分厚いノートの上にせっせと羽ペンを走らせていた。


「ルーテスのやつ。何度追試を受ければ気が済むのじゃ! その度にわしが新しい問題を作らねばならぬ。今度で十度目じゃぞ? 十度目! ポイントカードのスタンプじゃあるまいし! いい加減合格してくれい!」


 その頃ルーテスはガラスの檻の中で反省文を書かされていたが、筋金入りに強情なルーテスが間違っても反省なんかするはずはなかった。ルーテスは、薄笑いを浮かべながらつらっと書き連ねた。


『予定調和は、驚きと感動を薄めます。サプライズは、的を外すと最悪のアクシデントになります。望んだ以上だと萎縮をもたらし。望み以下だと軽視されてしまいます。ぴったりのものなんか、見つかるはずがありません。


 お仕着せのプレゼントなんか、しょせんそんなものです。能無し運送屋のサンタ如きが、待ち焦がれていたものをあなたにお届けしますだって? ただのでくのぼうが、なあにを偉そうに! べっかんこ!』


 あーあ……だーめだこりゃー。


◇ ◇ ◇


 あなたは。


 どういうプレゼントを捧げましたか?

 どういうプレゼントをもらいましたか?

 それはあなたにとって、どういう意味がありましたか?


 どうか。

 あなたが誰かに捧げた心が、残らず受け止めてもらえますように。

 誰かがあなたに捧げた心に、あなたが気付きますように。


 心からの祈りを込めて。

 わたしからみなさんへの、ささやかなプレゼントです。


 メリークリスマス!



 ☆☆ FIN ☆☆



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