第7話 魔王の提案
そして暫く経ち、通学路を見つめていた聖達の目に飛び込んできたのは一緒に投稿してきた一日と命だった。
「あの男の子・・・最初の事件の後に行方不明になった葵命って子だ!!」
姿を見たテレサは思わず大声で叫ぶ。
「行方不明に合っている子が何で堂々と小学校に登校しているのよ?だったら保護者の方に報告している筈でしょう?」
ロザリーが疑問を呈すると
「それも事件の影響なのか?」
聖は一応の結論に落とし込む様な口調で発言する。
「どうする、接触する?」
動揺と興奮を抑えきれないチュアリ、だが聖はそんなチュアリを
「否、今の時点で下手に接触すると私達が不審者にされかねない。ここは遠方から調査するに留めよう」
と諭す。
そして日中小学校内の見える範囲で命を観察した聖達だが特に不審な点は見つけられず、何故行方不明になっているのかさえ理解出来なくなっていった。
「特に不審な行動は見られないわね。一体どうなっているのかしら?」
ロザリーの頭の中は益々混乱していた。
「学校に居る間は不審な点は無し・・・か。だが帰宅時以降に何かがあるのかもしれない。もう少し調べてみよう」
聖の言葉に一行は追跡を続ける。だがその後、命と一日が放課後の掃除を行っているのを見るが、その後帰宅する為に校舎入り口から出て来ることは無かった。
「!?どういう事だ?あの二人は入り口から出てこなかったぞ!!」
今朝とは違う意味で荒い声を上げるテレサ。
「私達に気付いたって言う事?でも・・・」
ロザリーが更に混乱する頭を辛うじて整理して言った言葉に
「ああ、仮に私達に気付いたとして、どうやって・・・裏口から出たのか?」
とあくまで冷静であろうとする聖。一行はその後裏口が無いかを調べる為校舎裏側に向かい、そこで裏口はあるものの、金網で閉ざされている事を確認する。
「ここを上って外に出たって事?でもそんな事をするよりも集団で下校する事を先生は教える筈。現に事件が起こっている最中の今日でも入り口で他の生徒は集団で下校していたわ」
走ってきた事で頭が整理されたのか、先程とは打って変わって冷静に言葉を発するロザリー、それに続けて
「ああ、もしその上でこうしたのだとしたら、やはりあの二人はただの小学生じゃない」
チュアリも確信を強めるのであった。
一方、密かに下校し帰宅した一日と命は何かを話していた。
「一日ちゃん、気付いた?」
そう命が発すると
「ええ、あれが問題のイレギュラーでしょうね。私達に気付いてここを突き止めたのか、偶然か・・・・これは足場固めを前倒しにした方がいいかもしれないわね。」
「足場固め・・・」
意味深な言葉と共に不気味な笑みを浮かべる一日、その顔はやはりただの小学生とは程遠い邪悪さに満ちていた。
そして数日後、この世界を唯一等しく覆う要素、空に突然、まるで水面の様に何かの映像が写し出される。当然其は世界中の人々の目に留まり、聖たちも目にすることになる。
「あれは・・・魔王フリーチェ・・・」
映し出された者に対し、真っ先にそう呟く聖。
空に写し出されたフリーチェは
「この世界に生きる全ての生命に伝達します。私はこの世界とは異なる世界より訪れたフリーチェと言う者。私たちの世界はあなた方の世界の文明、文化に大変興味があり、是非交流をさせていただく存じます。
もしこのお話を信じてくださるのであれば二週間後、私はあなた方との交渉を行いたいのです。その意思を表明していただけるのであれば祖の場所を指定してください」
と全世界それぞれの国の言語で告げて去っていく。当然この話を聞いた各国首脳は聖たちを交えて話し合いを行う
「一体どういう事なのでしょうか?魔王が直接交渉したい等・・・」
「何かを目論んでいるのは確実でしょうがそれが何なのか・・・」
各国のトップが揃って困惑と同様の声を挙げ、
「魔王が直接交渉を望んでいると言って来た事も気になります。本来なら受けるべきではないのでしょうが・・・」
聖達も困惑を隠せない。
「彼らはこの世界に対して直接侵略してきている訳ではありません。もしここで交渉をせず、其を口実に侵略を仕掛けてきた等と言う話になれば世界中で不満と失策に対する怒りが暴発することになります」
「つまり、罠だとは思いつつも交渉に応じるしかない・・・と言うことですか」
日本首相の発言に重さを感じるチュアリ、その言葉の疑惑は当然共有されていた。
「現状ではそれもやむを得ません・・・」
「場所を指定してくださいと言うのは会場はこちらで決めて構わないと言うことだろうな
「恐らく会場を此方に決めさせることで悪巧みを目論んでいる疑念を払拭するつもりでしょう」
フリーチェの狙いを推測し、その対策を打ち出そうとする各国トップと聖達。
「ええ、ですが全世界に伝えられたメッセージである以上、私たちは兎も角、民間でそれに気付ける人がどれだけいるか・・・」
韓国大統領の弱気な発言に
「なら、私たちが気付かせましょう」
とロザリーは強気に返すのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます