第2話 動き出す異変

翌日、東京都内某所 

二人の男子学生が「だよな~」「だろ~」と他愛無い雑談をしていた。だが突然そのうちの一人が


「お前っ!!ムカつくんだよ。」


と言って殴りかかる。


「おい、いきなり何すんだよ」


殴られた男子生徒は状況が全く飲み込めず、只動揺するが殴った生徒は


「ムカつく・・・ムカつく!!」


と言い、更に執拗に暴力を振るう。その光景を目撃した通行人が警察に通報し、傷害事件として捜査を開始するが加害者の男子生徒は


「分かりません・・・突然衝動に刈られて・・・ずっと親友だったのに・・・」


と呟くのみでなぜ殴ったのかは検討もつかないと言う。


同日以降、同様の事件が日本のみならず世界中で多発するようになる。何れの事件においても加害者は突然衝動に刈られたと言い、被害者は決まって加害者の身近にいる親しい人物であった。さらに後日被害者と加害者の立場が逆転して同様の事件が起きるケースも多くなり、世界規模で発生していることも合間って徐々に社会問題として大きく取り上げられていくようになる。


同日、東京都内の某小学校学校裏


「おい、ちゃんと例の物は持ってきたのか?」


上級生らしき生徒が3人低学年らしき生徒を取り囲んでこう告げていた。


「ううん、持ってきてないよ」


低学年生徒はとあっけらかんとした口調で返答する。


「何!?」


上級生の脅迫めいた口調に対し


「だってあんた達に渡すお金なんて無いもん」


と更に続ける低学年生徒。


それを聞いた上級生は


「生意気な!!今日は何時も依りも酷い目に遭わせてやる、泣いても止めないからな」


そう言って低学年生徒に殴りかかるが低学年生徒はその腕を押さえ地面に叩きつけて骨を折る。


「うあああっ!!」


と叫び声を挙げる上級生を低学年生徒は殴る、蹴る行為を繰り返していく。更にそれは他二人にも飛び火し、内二人が意識を失い、脅迫めいた言葉をかけていた最初の上級生は尻込みする。


「ここには助けなんて来ないよお。それはあんたが一番よく知ってるよね」


上級生生徒にそう告げる低学年生徒、その顔は最早狂気とすら映る。


「ああ・・・た・・・助け・・・」


上級生の命乞いの言葉も虚しく


「ふふ・・・ダ・メ」


と低学年生徒は遮って行動を起こす。そして上級生の阿鼻叫喚が空しく響き渡った後、低学年生徒はその場から去っていく。同日放課後、見回りに来た教諭に発見された時上級生たちは意識を失い、どんな医療とリハビリをしても復活出来ない程に両手両足の骨が折られていた。だが彼らはその一連の問題について何も語らないと言う。各地の学校で徹底的に両手両足を破壊されると言う事件もこの一件を皮切りに世界中で発生する。

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