黒衣のフレア(前)
朝、ベッドについている電子時計の目覚ましの音と日差しの明るさに目が覚めた。時間は6時だった。目をこすりながら眠気を覚ましていると扉からコンコン・・・という音が聞こえてわたしは扉を静かに開けた。すると目の前に皐月さんがいた。
「起きてた。これ制服よ」
皐月さんの手に持っいる箱の中には、袋に入った制服と鞄、パンプスなどの学園生活で必要な用具が入っていた。わたしはそれを受け取ると皐月さんが教えてくれた。
「制服に着替えたら、下に降りてきてね。朝食は7時からだから覚えておいてね」
部屋に戻ると、袋を開け制服を取り出した。真っ新なワンピースの制服はすごく綺麗だった。着替え終わるとわたしは部屋を出た。そして階段のあたりに差し掛かると柚と出くわした。
「おはよう理架。その制服凄く似合ってる」
わたしの姿を見て、微笑んで感想を教えてくれた。
そんな会話をしていると後ろからなずなが抱き着いてきた。
「おはよー・・・理架、ん・・・ねむぃ」
まだ半分寝ているような声で目をこすりながら、わたしにあいさつをした。
「えっ、ちょ・・・なずな」
抱き着かれ動かないなずなにわたしは困り果てていると柚がなずなのほっぺをつねった。
「早く起きて、怒るよ」
「んー・・・痛い」
そうしてわたしから離れていくなずなを見て柚が
「ごめんなさい、なずなって低血圧みたいで朝は弱いのよ。午後からは極端に元気だから安心して」
「そうなんだ、教えてくれてありがとう」
琴音ちゃんはすでに学校に行ってしまったようで朝には会えなかった。
学校に着くと、昨日と同じように普通の授業が始まった。そしてお昼休みのチャイムが鳴ると、クラスの全員が教室から出て行ってしまった。
その様子にわたしはえっ、何?と驚いていると前に座っているなずなもイスから立ちあがり
「理架、何ぽけっとしてるの。早く体育館に行きましょう」
「体育館・・・なんで」
「なずな、理架は演習の授業初めてなんだから困っているわよ」
「あ、そっか。昨日はなかったもんね」
わたしは二人に演習の授業を教えてもらいながら教室から出て、校舎の裏にある体育館に向かって廊下を歩き出した。
「演習っていうのは、簡単に言うと魔法の授業かな」
そういってわたしの左指の薬指につけている指輪を見て続きを言った。
「その指輪デバイスでしょ。んー濃い紫色?それを使っての魔法を練習する授業よ」
言いながら、なずなは制服中から小さな葉っぱの形の若草色の結晶を見せてくれた。
「お昼ご飯は、食べないの?」
ふと、思い出したことを口にすると二人はクスクス笑った。
「いつも昼から演習があるときはみんな体育館の近くにある食堂で食べるって感じかな。わたしのオススメは親子丼かな、美味しんだよねー」
「なずなはいつもソレじゃない。卵料理食べ過ぎ」
わたしは柚の言葉にふと、思い返した。昨日の夕食のオムライス、朝はそういえばなずなは卵焼きに目玉焼き。ほんとに卵ばっかり食べてた・・・。と苦笑いしてしまった。
そうするとなずなは頬を膨らませて
「いいじゃん、好きなんだもんっ」
と、可愛らしく拗ねてしまった。
そんな会話をし、昼食を食べわたしたちは体育館に向かった。
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