秘めやかな願い事

「城乃・・・くん」

わたしは杖をぎゅっと握りしめ、城乃くんの方を見つめた。

「お前、何して・・・さっさとしまえよソレ」

わたしの持っている杖を指して言った。

わたしは杖を見てなんとなく消えてと、願った。その瞬間、杖は不透明になりその場から消え去った。

それと同時に下で光っていた魔法陣も消えだした。

「あ・・・消えた」

下を見てそう言うわたしを見て、城乃くんは不思議そうに

「それで、こんな時間でこんな所で魔法の練習かふざけてるのか」

と、少し苛立ちを込めた込めた声でわたしに問いかけた。

「いや・・・その」

どう説明したらいいかわからず、わたしは困り果てた。

黙っていると、城乃くんはため息をつき

「お前は一体、どういう理由でここに来たんだよ。何かしらの目的があって来たんだろ、立ち止まるなよ」

「えっ・・・」

城乃くんはわたしに近づいてきて

「叶えたい願のために、することがあるだろう」

「叶えたい・・・願い」

わたしはずっと思っていることを城乃くんの前で話してしまった。


「わたしは、世界を否定したい」


その言葉を聞くと、城乃くんは驚きもせず

「じゃあ、強くなれよ。すべてを屈服させられるぐらい圧倒的に強く」

上を見て、決意に満ちたその言葉を城乃くんは発した。


「城乃くんも強くなりたいの・・・?」

「いや、俺は・・・兄さんをむしばむこの世界を壊したい」


真剣なその言葉に、わたしは笑いもせずまっすぐ城乃くんを見つめた。

「まったく、こんな独り言・・・誰にも言ったことないのに。今言ったこと絶対兄さんに言うなよ約束だからな」

「うん・・・わかった」


二人はそう誓いをかわし、その場を後にした。


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