第3話
火葬も終わり、精進落としに親戚がぞろぞろと和食処こころに入って行く。
駐車場にある喫煙所で一服していると俊樹君が隣に座ってきた。
「ねえ、お姉さん。なんて名前?」
「琴音。篠原琴音って言うの。俊樹君・・・だよね?」
名前を教えると驚いたような目をしたが
すぐに元のぼんやりとした表情に戻り、
「やっぱり僕の名前は知っているんだね。当たり前か。」
「そうね。皆知ってるもんね。ごめんなさい、気分を悪くしたかしら?」
「いいんだ。でも、琴音さんは他の親戚の人達とは全然違う顔をしているね」
頭の良くない私はすぐにその意味が理解できなかった。
「顔が似てないってこと?」
俊樹君は一瞬呆れたような顔になり
「違う違う。そんな話じゃないんだ。」
そういうと目線を宙に漂わせ、文字を探した。
「僕にもまだ言葉にできないのだけれど。」
ふうん。
そういうと、俊樹君は颯爽と和食処こころの扉を開け、入って行った。
私もお腹が空いたな。
そんなことを思いながらぼんやりと俊樹君に続いた。
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