「ジョーカーとかずるい。ずるいよね。本当」

闇夜を見通し、真っ直ぐに自分に向かってくる魔法刑事を前に、彼女は怯えているのだろうか。それともすっかり観念してしまっているのだろうか。

僕も彼女の姿を見るこてとはできないが、澄んだ声だけが闇夜に響く

「私は命じます。自らの体を焼きなさい。私に近寄る人間を皆殺しになさい」

数秒後、グラウンドに赤い光が灯った。

ガソリンを被った死体が何体か自らに火をつけたのだ。

光源に向かって移動する少女の姿が見えた。

彼女だけではない。

幾体もの死体がグラウンドに集結しようとしている。

「さてさて、まだ１００体ほどは残っていますよ」

それでも。凛ならば後れをとることはあるまい。

いや、あの動く死体に構うことなんてない。一気に風吹先輩に近づいて、捉えてしまうことくらい凛ならできるだろう。

だが、僕が視線を向けた凛は満身創痍の状態だった。

制服はボロボロに破れていた。

至る所に切り傷があり、髪も乱れている。

右腕はブランと垂れ下がり動く様子がない。

「凛、その体……」

「大丈夫ですよ。あと少しです。終わったら有給とりますから……ええ、ええ」

その声は消え要りそうだった。

グラウンドに集まる死体の中には、お岩さんの姿もあった。

人形たちの姿もあった。

「人形屋さんが……死んだ」

ヘッドフォンを当てた海野先輩がそう呟いた。

満身創痍の凛、木野先輩、僕

残されたこちらのカードは３枚

敵は

動く死体

動く死体　動く死体

動く死体　動く死体　動く死体

動く死体　動く死体　動く死体　動く死体

動く死体　動く死体　動く死体　動く死体　動く死体

動く死体　動く死体　動く死体　動く死体　動く死体　動く死体

動く死体　動く死体　動く死体　動く死体　動く死体　動く死体　動く死体

その数１００体以上

お岩さんがいる

阿久津がいる　石川がいる

井上がいる　江藤がいる

王寺がいる　加賀（彰）がいる

木戸がいる　木下がいる

倉沢がいる　久保がいる

佐久間がいる　佐々木がいる

柴田がいる　須藤がいる

高田がいる　舘がいる

田中（雅）がいる　田中（祐）がいる

徳永がいる　中西がいる

馬場がいる　原がいる

布川がいる　藤原（智）がいる

藤原がいる（良）　

前田がいる　桃谷がいる

八木がいる　

明智がいる　飯田がいる

岩瀬がいる　内田がいる

宇野がいる　遠藤がいる

織田がいる　小野寺がいる

貝塚がいる　加賀（秋帆）がいる

金子河田がいる

滝がいる　谷村がいる

津田がいる　新田がいる

橋本がいる　日野がいる

平手がいる　辺見がいる

堀内がいる　溝田がいる

三浦がいる　三瀬がいる

守山がいる　吉田（鈴）

吉田がいる（薫）渡邊（京）がいる

渡邊がいる（節）　渡辺（奈）がいる

精神的にもきついだろ、コレ

「俺は最後までフォローする。背中は任せて、いってこい」

木野先輩。

「小町は私が看てるから。最後まであきらめんなよ」

海野先輩。

「大丈夫、守りますよ。」

凛。

最後の戦いだ。

生者と死者

その戦いは命のやりとりとは言えない。

一方的に奪うものと、奪われまいとする者の戦い

戦いがあった。戦いがあった。戦いがあった。戦いがあった。戦いがあった。

僕らは足掻いた。僕らは足掻いた。僕らは足掻いた。僕らは足掻いた。

でも、僕らの剣は届かなかった。

「逢坂さん！、日本刀を私に」

「凛。頼む。生きて……生きて」

戦いがあった。戦いがあった。戦いがあった。戦いがあった。戦いがあった。

僕らは足掻いた。僕らは足掻いた。僕らは足掻いた。僕らは足掻いた。

でも、僕らの剣は届かなかった。

あと少し

剣は

ついに、届くことなく

少女は地面に伏して倒れた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　◇

残るものは死

完全なる敗北

パァァァァァッァァァァン

一発の銃声が響いた。

見覚えのある男がいた。

野槌だ。

その手には黒い拳銃が握られている。

「死ねよ。魔女が」

風吹先輩がどうと倒れる。

ブラウスがみるみる赤く染まる。

「あ・・・あ・・・」

彼女の指が足掻くようにグラウンドの砂を書き

最後には動きを止めた

「ざまぁあ」

高笑いをする野槌。

しかし、その彼も背後から迫った燃え盛る死体の熱い抱擁に抱かれ

炎の柱となって消滅した。

こうして、僕らの戦いは、予想外に幕を下ろした。

最後に残るは墓標

死と死

死と死と死

死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と死と