オークの装備が強いだと?




「ふぅ…さてどうしましょうか?」


俺達は今、とりあえず、といった感じだがあのギトギトオークを『解体』して手に入れた装備を両手で抱え、またあの魔封じの網の前まで戻ってきていた。


「ふむ…そうだのう。確実に素材を手に入れるのならば、このまま森に入ってしまえば素材えものが居るはずだし、ついでに鞄の外装部分は魔物や獣でも狩って皮でも取ってしまえばたりると思うのだか。この荷物だしな」


困ったのう、と言うように苦笑しながら言うアリア。


一様言っておくが、アリアが苦笑するのは、何も俺がコレクター魂に火がついてしまったわけでも。


ワガママを言い、ゲームで手に入らなかったオーク数匹分の装備(防具は触りたくなかったので捨てた)を持ってもらっている。


などという理由ではない。無いったらない。いいか、お前ら違うからな。


いや、まあ、実際転生して初めててにいれた装備なのだからそれなりにうれしいもので持っていたいとは思うのだが


でも今回はそうでは無いのだ。断じて無いのだ。


「しょうがないじゃないかアリア。

この装備をそのまま放置したら盗賊なんかのごろつきが装備を手に入れて、悪事を働くかも知れないじゃないか。これ、かなり強い武器だし」


そう、実際のところ八割ぐらいはこれが理由なのだ。


まあ、俺の性格上、俺の関係ないところで知らない人が襲われていたり、不幸になる者がいても笑っていられる。


他人の不幸は蜜の味とも言うしね。


俺の性格を知っている人がいたら「らしくない」と言われてしましそうな行動だが、


この話はそういう事ではないのだ。


まず、これを説明をするにはあのオーク共の強さについて説明しなくてはならない。


あの油ギトギトオーク達は、俺達のチートレベルの強さの人?からの評価なら強さはそれほどではなく雑魚とよべる強さなのだ。



だが、だがしかし。


純粋なこの世界の強者と呼ばれる者達から見ても結構強いのだ。


あのオーク達はアリアが言うには、ここら辺のレベル帯が初めっからこの世界では最上級であり


この森ではかなりの強者に位置しているらしいのだあのギトギトオークが。


なんとあの脂肪の塊が!


びっくりだよ!


驚愕だよ!


森の獣や魔獣の群れが数10匹程度なら2、3匹でしかも無傷で倒せる強さがあるらしい。


この世界の一般的な住人なら一匹ですら致命的だ。


しかも、あのギトギト装備は全てオーク達が自分で作った装備らしく

DFE,ATKの+1000上昇

という効果が付いていた。


それだけならまだいい。プレイヤーメイドでその程度の装備はゴロゴロあった。

しかし、問題なのは



初級魔法補助(大)




問題はこいつだ




この補助スキルが全ての装備に付与されていて装備自体もかなりのスペックを持っていたことだ。


ここで予断にはなるが、まず最初に説明するのは補助スキルのことだ。


補助スキルとは武具または防具を精錬または加工する時に一定確立または素材の質によってまれに追加されるスキルである。


補助というだけあってそれなり便利で強力な効果がつく事が多い。


そしてこれにもランクのようなものがあり小、中、大の3つで違いは威力や効果の上昇度の違いによって分けられている。


例をあげるならこの初級魔法補助もそうだが、一番わかりやすいのは武具にしかつかない火炎属性付与などの属性付与だ。


この属性付与がついた武具は相手を攻撃する時に、火炎属性ならMPを消費することなく武器に属性が付与される。


まず、


『小』ならうっすらと魔法の火を纏う。


『中』なら武具のが炎を纏い、攻撃範囲が広がる。


『大』なら武具より一回り大きいほどの火炎が放出される。



その上にATKにかなりの上昇がみられるのだ。


さらには鉄くらいなら『小』でも普通に焼ききれるといったでたらめな強力さだ。


大だったら蒸発する。


通常そういうものは通称として剣なら魔剣と呼ばれても名前負けし無いほど、馬鹿みたいな威力なのだ。


寄り道というか道草になるのだが、


かつて、属性を『光』に傾かせるために、無理くり素材を突っ込みまくり


『エクスカリバー』と銘打った剣を作り


一振りするたびに範囲攻撃を行うチート剣を作り上げた猛者がいた。とかい無いとか。




閑話休題それはおいといて





やはり、というかなんというか素材の質でかなり確立を上げて作ろうと思っても

馬鹿らしくなってくるくらいに、強い魔物や聖獣などがゴロゴロいる場所で採取される鉱物や樹木が必要になり、

そうでなくとも馬鹿みたいにドロップ率が低かったので、なかなか見つからなかった。


当然の事ながら危険過ぎていける人が少なくなってしまう。


そんな理由で


偶然できた物が市場に出回ったりすることが稀にあったらしいが、手に入れるためには、それこそ屋敷が一軒建つほどの

お金が必要になってくるらしい(アリア談)


次に初級魔法補助という補助スキルは、ゲームでは初級魔法の威力上昇だったのだが、この世界では、アリアいわくそのままの意味になっているらしく。


例をあげるとするなら、まずこの世界では初めに俺が魔法を使うのに魔力の流れを感じる、という動作を行ったように魔術を使うためには魔力の流れを感じられてからようやく初めて『ジョブ・魔法師(見習い)』が追加され魔法を使えるようになのだが


そのためには通常才能があれば半年から1、2年、才能がなくても数10年程度の修行で感じ取れる


だが、初級魔法補助の装備がある場合ではその限りではない。


なんと、魔力の流れを装備して才能ある者で、


『小』なら半月から1、2ヶ月


『中』なら3日と半日から1週間


『大』なら、一瞬から数分


などという風に異常に魔法を使う修行にかかる時間がかなり短縮されるのだ。


しかも、それに加えて『大』にもなると初級魔法の呪文だけなら覚える必要もなく。

初めっから『無詠唱』で発動が可能らしい。


はっきり言って公式チート状態である。


ちなみに俺の場合は装備にそういう類いの補助スキルはついていないのに何故数秒でできたかといいますと、この身体にはゲームでの経験がもとから現実だったと認識がされているらしく

「そういうものだ、と既にわかっていたからできたのじゃろう」、とアリアが言っていた。


考えても仕方がないですね。これぞご都合主義!


つまり、先程から某竜があまり関係無いクエストのスライムでも倒すように簡単な流れ作業の如く


燃やしたり


凍らせたり


切り刻んだり


というかもはや、プチプチを潰すほうがまだ有益に時間を使えるのではないかと言うレベル。


とは言っても


オークの装備は、はっきり言ってそこらのごろつき共が、なんの手違いか拾った瞬間ときから王都への行商人やら旅人が襲われまくって国単位で経済が混乱し、下手をすれば物流が止まり餓死者すらでかねない。


さらにはこれから気ままに旅でもしようかなと思っている俺のもとへ

ゲームでの実績(討伐履歴など)がそのまま現実になったこの世界では、そんな厄介者の討伐に召集されたりなんて言う、面倒事が巡りめぐって帰ってくる可能性があるのだ。


というか

全ての武具に補助スキルのしかも(大)が付いていて、しかも同じ補助スキルが付いているのはオーク達の仲間の誰かが相当鍛治特価型のステータスと装備でかなりの幸運なのかそれとも


「うむ、確実に存在しているじゃろうな。

というかな。

確実になければこの装備は説明がつかないじゃろう?のう、あるじ様?

確実にこの森にはAランクかSランクの素材が容易に、それこそピクニックに行くような気軽さで採取できるポイントが存在しているはずじゃ」


そう、鍛治師の運がよすぎる。


なんていう非現実的な理由わけなどではない理由があるとしか考えられ無い。


しかも、それ以外にその存在を決定的なものにしているのは全ての武具に同じスキルがついていることだ。


通常付いていることすら滅多に無く。

かなりのレア物で、今持っている物を全て売りさばけくだけで、かなり広い土地を買って、その土地に見合う家わんを建ててもお釣りがくるであろう金額を余裕で得られる。


かなりの高ランクアイテムならばスキルがつく確立が9割近くなるし、同じ素材からばかり作れば、同じスキルになる確率は上がっていく。


それと余談ではあるが、アリアが素材を樹木と断定して言ったのは

オーク達の防具が木製で武具は刃の部分だけが金属で覆った程度の物だったからだ。


「そうですね。確かにあの形状なら樹木とみて間違いないと思います。

あ、あと荷物なんだが持ち運びの方法を考えなきゃいけませんね」


そう、ないわけではない、ないわけではないのではないのですが


「ん?どうしたのじゃ?あるじ様。何か言いにくい事なのかのう?」


「いえ、別に言いにくいわけではないないのですが。

この魔封じの網は隙間がそれほど大きくないですし、大きさもかなりのものですから、これを大きめな風呂敷のようにして持って行きたいのですが。

これ、異常に重いんですよね。どうしましょう?」


そう、魔封じの網は最初に説明した通りに、魔道具専門のNPCショップやプレイヤーショップで売られている。


その中でも、その効果からか無駄に値段が高く設定されていて、プレイヤーショップでも売られているので作れるのだが


これまた、無駄に強いうえ、鈍足効果のある糸を吐き出す巨大な蜘蛛のドロップアイテムなど。


なんと無く重鈍そうなモンスターの素材ばかりから作るせいなのか、真相はわから無いが


『とにかく重い網、だが、ステータスを大幅に下げられるうえ、一定確立で魔物がそのまま捕獲可能である(ステータスダウン+テイム効果)』(アイテム説明より抜粋)


という説明がつくほどに重くて高いのだ。


ここで、予断だが、クエスト用はテイム効果ではなくそのまま捕獲に変わっていて捕獲したら何故かアイテムボックスに収納できた。


前にも言ったがきっと、モン○ターボールか何かのノリなんだろう。


だが、ゲーム時には持たせたまま戦闘しても動く速さが多少遅くなるだけだった。


だが今は現実だ。


とにかく重い網がどこまでの重量になり、どこまで行動を制限するのかさえ

まだわからないのだ。


ちなみにこの世界にはATKが高ければ高いほど重いものでも簡単に持てるらしい。


ゲームでは、幼女が捕獲した巨大モンスターを軽々と持ち上げていた。


なので、持ったまま戦闘をするのはかなりの不安を伴うだろうと思っていたので最終案くらいの気持ちで言ってみたのだが


「ん?なんじゃ、そういうことか。なら我が持てば万事解決じゃ」


「え?い、いえ、だめですよ!?アリア。女性に持たせるわけにはいきませんし私が持ちます!私にも男のプライドってものがあるんです!」


そう、さらっと紳士的な発言をアリアは言ってくる。


アリアには悪いが俺は今は見た目は完璧に女の子になってしまったが、

こういうところで持たせてしまったら

かなりギリギリのラインで保っている男としてのアイデンティティーが完全に亡くなってしまう(誤字にあらず)


「何を言っておるのじゃ、あるじ様。今は主も女性ではないか。

それにあるじ様は戦闘のちゅーとりあるの真っ最中じゃしの、咄嗟に反応できなくて怪我でもしてしまったら大変じゃ。このくらいじゃったら、この眷属めにお任せあれ!」


が、正論で返され、めっちゃ心配された。

アリアさんマジ男前!


そこにシビれる、憧れる!


「まあ、荷物持ちくらいなら対して邪魔にもならん。伊達にこの世界であるじ様より長く生きておらんよ。

なぁーに、心配するでないこのくらい余裕じゃ」


と、言い返せないでいると

ウインクをしてきたのにドキドキしてしまった。

くぅ!俺の眷属マジでかわいいぜ!


しかし、あの細腕のどこにそんな力があるんだろうな?


まあ、今の俺じゃあ人のことは言え無いが


今なら全力で地面殴れば割れんじゃね?


それはいいとして、どれくらいの重さか興味がわいたので質問して見ることにした。


「そうなのか。なあ?それでどれくらいの重さなの?」


「うむ、そうじゃのう。あるじ様のもといた世界で言うところのインド象3頭分と言ったところかのう?」


「インド象3頭分?」


「む?ちとわかりにくかったか。だいだい、9000kgから15000kgってところじゃ」


「そ、そんなに。重くないの?」


「うむ、そうだな。多少は重いが大した問題にはならんじゃろう。

しかも、あるじ様が心配してくれるなら百人力じゃ!」


「へ、へぇ」


ちょっと、唖然としてしまいながら心配になったので聞いてみたのだが

冗談を言う余裕すらあるようだし大丈夫なのだろう。


冗談だよね?


「かなり力持ちなんですねアリアは」


「なにをおかしな事をいっておる。

あるじ様の手にかかれば拳一つでこの星を砕けるじゃろうて」


「あっ、やっぱり?」


「うむ、マジじゃ」


「えっと、とにかく大丈夫なら行きましょうか、アリア!」


うん!聞かなかった事にしよう!


必殺・現実逃避


アリアに声をかけて足早に背を向け森の奥へ歩いていく。


「かっかっか!やっぱりあるじ様は面白いのう。

っと置いて行かないでくれないか、あるじ様!?」



その、後ろからアリアの叫んでいるのが聞こえた気がしたがとりあえず今は気にしないことにした。


全く、あるじをなんだと思っているんでしょう!


プリプリ










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